11月5日(日)、上海国際サーキットで行われたFIA世界耐久選手権(WEC) 第8戦 上海6時間レースでトヨタ・TS050 HYBRID #8号車が完勝で今季4勝目を飾った。中嶋一貴、セバスチャン・ブエミ、アンソニー・デビッドソンのトリオが駆った#8号車は、スタートから30分ほど経過した時点でポールポジションから飛び出した#7号車(小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペス)を抜き去りトップに立ち、その後は堅調な走りを維持してトップでゴールに飛び込んだ。
決勝レースの序盤は、ポールポジションから飛び出したロペスの駆る#7号車がリード、3番手グリッドの#8号車ブエミはスタートで出遅れ4位に落ちたが、その後、前を行く2台のライバル勢をかわして13周目にはトヨタの1&2態勢に。しかし30分ほどが経過したところで、トップを走る#7号車がLMP2クラスの車両と接触し3位に転落。代わって#8号車が首位浮上。その後、#7号車もライバルを抜き返し、再びTS050 HYBRIDの1&2態勢となった。スタートでは#7号車がソフトタイヤ、#8号車がハードタイヤを選択したが、気温が高く路面温度も高い時間にはハードコンパウンドが合っており、1時間を経過した時点で行われたピットストップでは、#7号車はロペスから小林に代わるタイミングでハードタイヤに替えた。2回目のピットストップで#8号車はブエミからデビッドソンに交替。再び#7号車が#8号車の前に出てレースをリードした。その時点では2台のTS050 HYBRIDはライバルに大きな差を開き、そのうちの1台を周回遅れにする速さを見せた。レースが半ばを過ぎると路面温度が急激に下がり、2台のTS050 HYBRIDは揃ってソフトタイヤに交換してレースを続けた。最初のスティントで2台に異なったタイヤを装着して走らせたおかげでソフトタイヤの性格も十分に博しており、終盤に向けてのタイヤチョイスに迷いはなかった。しかし、マーブル(タイヤかす)の多いコースだけに、周回遅れを追い越すときに走行ラインを変えるとそのマーブルを拾い、途端にグリップ不足に陥る。ゴールまで1時間を迎えて最後のピットストップ。#8号車は中嶋からブエミに交替し、#7号車はロペスがドライブを続け、トップに立った。ところが、#7号車は直後、GTクラス車両との接触によって、サスペンションにダメージを負い、修理のためのピットインを余儀なくされ、その後レースに復帰したが、#8号車から7周遅れの4位となった。ブエミの#8号車は、最後まで力強く走行を続けトップでゴール。2位のライバル#2号車に1周の差を付ける余裕の勝利だった。このレースはTOYOTA GAZOO Racingにとって、マニュファクチャラーズ選手権のタイトル獲得をかけたレースでもあった。2台のTS050 HYBRIDが1&2位に入賞すれば最終戦でライバルとタイトルを争う可能性が残されていた。そして、その可能性はレース終了寸前まで生きていたが、#7号車のアクシデントによってタイトル獲得はならなかった。ドライバーズ選手権に関しても、最終戦を待たず2位に入ったライバル#2号車のドライバーが、優勝した#8号車クルーの中嶋/ブエミ/デビッドソンを上回り、タイトルを獲得した。2017年のWECもいよいよ残すところ最終戦バーレーン6時間のみ。4年間戦ったライバルとの最後のバトルになるが、TOYOTA GAZOO Racingは最善を尽くして3連勝(今シーズン5勝目)を狙う。レースは11月18日に行われる。TS050 HYBRID #8号車:(中嶋一貴、セバスチャン・ブエミ、アンソニー・デビッドソン)決勝: 1位、 195周、ピットストップ 6回、スターティンググリッド:3番手、最速ラップ(1分45秒892)TS050 HYBRID #7号車:(小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペス)決勝: 4位、 188周、ピットストップ 7回、スターティンググリッド:1番手、最速ラップ(1分46秒033)村田久武 (TOYOTA GAZOO Racing WECチーム代表)今シーズン4回目の優勝は格別な気分です。この週末を通して、チーム全員が素晴らしい働きをしてくれました。3日間の全セッションでトップタイムを叩き出し、ポールポジションと優勝を獲得しました。ゴール寸前のところで他車との接触によって1&2フィニッシュが実現出来なかったのは残念でした。ポルシェチームのドライバーズ、マニュファクチャラーズ両タイトル獲得にお祝いを申し上げます。今シーズンの残る最終戦を優勝で閉めくくれる様に最後まで頑張ります。小林可夢偉 (TS050 HYBRID #7号車)#7号車にとってはとても残念なレースになってしまいました。我々のTS050 HYBRIDは好調だったのですが、今日は、タイヤの摩耗に少々苦戦しました。それでも充分に勝利を争える位置で、諦めずに戦い続けましたが、最後の接触で4位までポジションを落としてしまったのは悔しいです。最終戦バーレーンでは必ず良い結果が出るようにプッシュを続けます。マイク・コンウェイ (TS050 HYBRID #7号車)今日のレースはタイヤのマネージメントが大変でした。特に2回目のスティントは苦しかったのですが、全力を尽くしました。残念ながら#7号車は2度のアクシデントで首位の座を明け渡すことになってしまいました。アクシデントがなければチームが1&2フィニッシュを果たして最大ポイントが獲得出来るはずだっただけに悔しい結果です。優勝した#8号車を祝福します。彼らの今日戦いぶりは充分に勝利に値します。ホセ・マリア・ロペス (TS050 HYBRID #7号車)私の2回目のスティントは、タイヤがとても厳しい状況で、GT車両と接触してしまいました。私のミスなのは確かですが、かわすのは難しい状況でした。ターン13でのアクシデントは、これまでにも様々なレースで何度も経験してきた状況で、その都度、避けてこれました。今回の映像を見直して徹底的に対策し、更に強くなって戻って来ます。中嶋一貴 (TS050 HYBRID #8号車)TS050 HYBRIDを最高に仕上げてくれたスタッフとチームクルーに本当に感謝します。セバスチャンとアンソニーはとても良い走りをしてくれましたが、私自身はコース上の混雑と、コース上に散ったタイヤかすに苦しみました。それにより若干のタイムロスもあったと思いますが、最後まで頑張りました。今日は勝てるだけの速さがあったので、優勝という結果はとても嬉しいです。次の目標は今シーズンの最終戦での5度目の勝利です。セバスチャン・ブエミ (TS050 HYBRID #8号車)#8号車には素晴らしい結果になりました。レース終盤までチームメイトの#7号車とフェアなトップ争いを繰り広げ、1&2フィニッシュも見えていましたが、不運なアクシデントでそれは叶いませんでした。シーズン中盤、厳しいレースもありましたが、諦めずに努力を続けてく...
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