トヨタは、FIA世界耐久選手権(WEC)第2戦スパ・フランコルシャン6時間レースの公式予選が行われ、トヨタ・レーシングの2台のTS030 HYBRIDは予選4番手、5番手という残念な結果に終わった。 トヨタ・レーシングはこのレースに2013年モデルのTS030 HYBRIDを1台初めて投入、ル・マン24時間レースに向けて低ダウンフォース仕様に仕上げたこの#7のステアリングは、アレックス・ブルツ、ニコラス・ラピエール、中嶋一貴の3人が握った。
アンソニー・デビッドソン、ステファン・サラザン、セバスチャン・ブエミの駆る#8は2012年仕様のTS030 HYBRIDで、今シーズン開幕戦シルバーストン6時間レースで3位に入賞した高ダウンフォース仕様のままだった。 しかし、両車とも満足のいくダウンフォース性能を発揮することが出来ず、#7がブルツと中嶋のタイムアタックで、#8がサラザンとデビッドソンのタイムアタックでそれぞれ4番手、5番手の決勝グリッドを獲得したに留まった。 午前中には2時間の練習走行が2回行われ、濡れた路面にもかかわらず2台のTS030 HYBRIDは大きなトラブル無く走り切った。 午後に行われた30分間の公式予選では、2人のドライバーが2周ずつのタイムアタックを行い、その平均タイムでグリッドが決まった。 公式予選は、一時、コースアウトするマシンがあり、赤旗提示で一時中断されたが、陽が落ちてからもコースは乾いたままだった。4人のドライバーはコンスタントな走行を行うものの、僅かにトップ3につけることが出来なかった。 明日は、午前9時(日本時間午後4時)から20分間のウォームアップが行われ、午後2時30分(同午後9時30分)に6時間レースの火蓋が切られる。 パスカル・バセロン テクニカル・ディレクター: 2台のTS030 HYBRIDは同じ仕様でない上、ル・マン仕様はここではダウンフォースが不足気味であり、今日は、本来のパフォーマンスを最大限に引き出せなかったので非常に残念だ。日程が非常にタイトで、十分な分析をするだけの時間が無かったが、要するに、見込みが少々甘かったということだ。幸運にも我々は、明朝のウォームアップ走行でいくつか異なるセッティングを試すことが出来るので、それで明日はとにかくラップタイムの短縮に取り組み、特にセクター2でのタイムアップを図りたい。 TS030 HYBRID #7:(アレックス・ブルツ/ニコラス・ラピエール/中嶋一貴)公式練習第1回目:4番手(2分2秒856)37周公式練習第2回目:5番手(2分2秒332)49周予選:4番手(平均2分0秒947) アレックス・ブルツ #7: 我々の公式予選は、完璧とは言えなかったが、中嶋一貴と私に特に失敗は無かった。4回のタイムアタックを平均した結果であり、今日のコンディションでのパフォーマンスといえる。新しい仕様のダウンフォースは、納得のいくレベルであり、予選は望んでいた結果では無いが、明日の決勝レースでは、さらなる結果へとプッシュする。 ニコラス・ラピエール #7: 我々にとっては忙しい一日となった。TS030 HYBRIDにとって初めて走るサーキットであり、適切なセットアップを得るのに苦労した。2台の異なる仕様を走らせたことで、いくつかの興味深い比較データも得ることが出来た。しかし、これは求めていたものではなく、明日はタフなレースになるだろう。我々は明朝のウォームアップ走行で、さらに適切なバランスを見付けることを試みる。長丁場のレースであり、最良の順位でフィニッシュするために最善を尽くし、この週末に諦めることはない。 中嶋一貴 #7: 難しいセッションだった。我々は出来ることはすべてやったが、アウディは速かった。朝の練習走行から我々はベストバランスとグリップを得る努力をした。いくつか異なるセットアップを試し、公式予選では手応えを感じたが、問題を完全に解決することは出来なかった。しかし、レースで好結果をあげるために戦いの手を緩めることは出来ない。 TS030 HYBRID #8:(アンソニー・デビッドソン/ステファン・サラザン/セバスチャン・ブエミ)公式練習第1回目:6番手(2分3秒143)40周公式練習第2回目:6番手(2分2秒524)44周予選:5番手(平均2分1秒203) アンソニー・デビッドソン #8: ポールポジション獲得を目指して頑張った公式予選で5番手の順位しか得られなかったので悔しいが、明日はまた別だ。決勝レースではタイヤのマネージメントが重要だが、多くの速度の遅い車の追い越しも問題になる。簡単なレースではないはずだ。特にコース上の混雑に関して頭を働かせ、レースの前半では邪魔されない走りをしたい。そうすれば最後に良い結果を手に入れることが出来るはずだ。 ステファン・サラザン #8: 公式予選前半には赤旗のせいで数周しかタイムアタックが出来ず、タイムに響いた。2013年仕様のアウディやTS030 HYBRIDの最新仕様に対し、2012年仕様では苦労することは分かっていたが、とにかく全力は尽くした。しかし、高ダウンフォース仕様はスパのコースには向いていなかった。明日はプッシュするだけだ。 セバスチャン・ブエミ #8: 2013年仕様でないため、今回は#8には厳しいだろうとは思っていた。従って、5番手には満足していないが全く予想していなかったわけではない。レースは長いし何が起きるか分からないが、それにしても我々は少しだけ後ろからのスタートとなる。 レースでは持てる性能をフルに引き出すことに専念したい。TS030 HYBRIDのことは良く分かっているので、更なる改善に挑戦していく。
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