トヨタがFIA世界耐久選手権(WEC)の2016年シーズンに挑戦する新型車両『TS050 ハイブリッド』は“ほぼ全てのパートを変更”した意欲作となっている。2012年のWEC復帰以来3代目の新型車両となるTS050 HYBRIDの最大の変更点は、2.4リッターのV型6気筒直噴ツインターボガソリンエンジンと8MJへと性能アップしたハイブリッド・システム。
昨年まで使用していたスーパーキャパシタからハイパワー型リチウムイオンへの変更は、8MJへの対応を機に、ここ数年の顕著な技術の進化が反映された。レーシングハイブリッド・プロジェクトリーダーを務める村田久武は「今シーズンのレギュレーションでは、燃料流量と燃料の総エネルギー量が約7.5パーセント削減されます」と説明。「モータースポーツのエンジニアとして、我々は常にパワートレインのパフォーマンス向上を望んでいます。そのため、より一層パワフルで効率的なパワートレインで対応することが重要でした」「我々はV型6気筒直噴ツインターボガソリンエンジンこそが、新たなレギュレーションにおいて最もパワーと効率のバランスが良いと信じています。8MJを選択したハイブリッド・システムとの組み合わせは、これまでのパワートレインと比較しても際だって大きなトルクの向上を与えてくれるはずで、それこそが新型車両のキーとなる目標です」「新しいパワートレインによって特に重量軽減と冷却の面でいくつかのチャレンジが課されました。しかし、東富士とケルンのチームスタッフは非常にハードな努力でこれに取り組み、対応出来たと信じています」テクニカル・ディレクターを務めるパスカル・バセロンは「これまでの知見を活かしながら、前年に先行投入された一部を除き、ほぼ全てのパートを変更しました」とコメント。「パワートレインや空力をはじめとする多くの箇所でコンセプト自体が変わりました。空力コンセプトについては、特に車両前部が大きく変わりました。我々は膨大な時間を新たなコンセプト開発に費やし、さらに改良を続けました」「フロントのダウンフォースを生みだす構造によって後方の空気の流れも大きく変わりました。パッケージ面で全く新しいアイデアを導入することによりレベルアップが難しい近年のWECにおいても大きな進歩を遂げられたと思っています。TS050 HYBRIDはこうした基盤の上に開発されました」TOYOTA GAZOO Racingのチーム代表佐藤俊男は「今年、TOYOTA GAZOO Racingは新たなパワートレインコンセプトを含む、全く新しい車両を投入します。我々にとって非常にエキサイティングなシーズンになると思いますし、今回の変更は、現在の市販車のトレンドも反映していることから、さらにノウハウや技術をトヨタの市販車開発に活かすチャンスが得られると思います」とコメント。「我々のWEC活動は技術と人を育てる事にあり、これまでにもその結果が市販車に活かされています。しかし、トヨタはもっといいクルマづくりと同様、勝利を望んでいます」「残念な結果となった2015年シーズンの後、我々の明確な目標は、再びシリーズで上位を争うことです。東富士とケルンでは今シーズンに向け多大な努力が続けられ、スタッフ全員が非常に高い意欲で再び表彰台の中心に立つべく努力を続けています」関連:トヨタ、TS050 ハイブリッドを発表 / WEC世界耐久選手権
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