TOYOTA GAZOO Racingは、2017年5月25日(木)から28日(日)にかけてドイツ、ニュルブルクリンクで開催された第45回ニュルブルクリンク24時間耐久レースにLEXUS RC(170号車:井口卓人/松井孝允/蒲生尚弥/矢吹久)で参戦し、SP3Tクラス2位、総合26位で完走した。 25日(木)の予選1回目、26日(金)の予選2回目を終え、LEXUS RCは9分02秒157を記録し、SP3Tクラス2位、総合52位で決勝を迎えた。
157台が参戦した決勝レースは、27日(土)現地時間15時30分にスタートし、LEXUS RCは井口選手がステアリングを握った。その後、ドライバーは松井選手、蒲生選手、矢吹選手とたすきをつなぎ、順調に周回を重ねた。約6時間経過した頃、他車との接触でボディにダメージを受けたが、手際の良いピット作業によりコース復帰。その後、完全に日が落ち、ナイトセクションに入ったが、大きなトラブルもなく走行を続け、スバル、アウディとSP3Tクラス上位争いを演じた。クルマが順調に走行する中、社員メカニックとエンジニアは自分たちの役割を確実に果たし、約14時間経過して28日(日)の日の出を迎えた。最終スティントは松井選手がドライブし、28日(日)15時30分にチェッカーフラッグは振られ、LEXUS RCはSP3Tクラス2位、総合26位でフィニッシュ。昨年無念のリタイアとなった雪辱を果たした。また、TOYOTA GAZOO Racing THAILAND(TOYOTA MOTOR THAILAND)から参戦したCOROLLA ALTISは、TOYOTA GAZOO Racingドライバーの木下隆之選手がドライバーを務めた124号車がSP3クラス9位(総合116位)、123号車が同クラス8位(総合115位)でフィニッシュした。 2007年に開始したこの活動も今年で11年目を迎え、これまで活動に参加してきた社員メカニックおよびエンジニア、車両評価ドライバーは、レース活動での知見を生かし、さまざまな車両開発の現場で活躍している。過去には、LEXUS LFAやTOYOTA 86、TOYOTA C-HRが参戦し、その後の市販車としての性能向上、商品性向上に生かしてきた。ニュルブルクリンク24時間耐久レースへの挑戦は「人を鍛え、クルマを鍛える」ことが目的であり、TOYOTA GAZOO Racingの活動の原点である。井口卓人目標だった“完走”を達成したのは嬉しいですが、“勝ち”も見えていたので悔しさもあります。ただ、「また来年、勝ちに来なさい」とニュルに言われたような気がします。実はレース中にトラブル続きだったテストを思い出し、あのLEXUS RCがアウディTT RSやスバルWRX STIと戦える所に来たと実感しました。エンジニア、メカニックが頑張ってくれたので、僕らも攻めの走りができたと思います。矢吹久 (トヨタ自動車社員)普段の車両開発業務とは違い、極限の状態で他のドライバーと競い合って走ることで、私が普段気にしている「どのような路面」、「どのような状況」、「どのような速度域」でも安心、安全に気持ち良く運転できることは、レーシングカーも量産車も同じ事が解りました。今回LEXUS RCに乗っていいクルマだと感じた部分はたくさんあります。しかしナンバー付きモデルにそのままにフィードバックするのは難しいので、市販車に落とし込んだときのアイデアを考え、トライし続ける事を、いつもの職場に戻り挑戦し続けたいです。平田泰男 チーフメカニック(トヨタ自動車社員)レース中のルーティン作業や準備は全て若手メカニックの自主性に任せました。個人個人ではまだまだ課題はありますが、みんなで協力することでパワーが引き出せ、本当によくやってくれたと思っています。ただ、彼らはこれが本業ではないので、元の職場に戻った時に、「与えられたからやる」ではなく「自分から提案してやる」と言う気持ちを持って業務を行なって欲しいです。ここでは出来ていたわけですから必ずできるはずです。茶谷 圭祐 車両エンジニア(トヨタ自動車社員)24時間止まることなく走り続けたことは嬉しいですし、この活動に関わった方・応援してくれた方を含めてチームメンバーには本当に感謝しています。レース中もチーム内では作業の無駄を1秒でもなくし、1秒でも速く、1秒でも長くながく走るアイデアを出し合い実施していました。その結果、最後はトップに迫ることができ、最後の最後まで極限の状態を保ち、ニュルでクルマと自分達を鍛え合えることができました。今回得た経験・技術を元にメンバーの職場にいい刺激を与え、もっといいクルマづくりを加速させてくれると、信じています。友山 茂樹:GAZOO Racing Company President順位よりも24時間走り切り、完走できたことが嬉しい。ドライバー、メカニック、エンジニア、サポートスタッフがそれぞれの役割を果たし、心ひとつにたすきをつないだ結果だと思う。この活動を支えてくださったサプライヤー企業およびパートナー企業の皆さま、応援してくださった多くのファンの方々に感謝します。そして、ニュルに挑戦し続ける同士であるスバルさんとの競い合いで、我々は多くの刺激と学びを得ることができました。スバルさんの結果はとても残念でしたが、感謝と敬意を表したいと思います。トヨタの「もっといいクルマづくり」と、それを支える「人づくり(人材育成)」に終わりはありません。「人を鍛え、クルマを鍛える」ために、これからもニュルへの挑戦を続けていきたい。
全文を読む