トロロッソ・ホンダのピエール・ガスリーとブレンドン・ハートレー、ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治が、2018年のF1 第10戦 イギリスGPへの意気込みと舞台となるシルバーストン・サーキットについて語った。シルバーストンはファクトリーがあるミルトン・キーンズから近く、ホンダにとって特別なサーキット。F1のグランプリが初めて行われた場所であり、その精神を体現したサーキットでもある。
エンジン全開のコーナーがあり、レースの65%がフルスロットルで争われるこのサーキットでは、パワーユニットがいつも以上の働きをすることになる。ピエール・ガスリー「シルバーストンに戻ってくるのは、少し複雑な気分です。前回ここでレースをしたのは、2016年にGP2で初優勝を飾ったときでした。それ自体は良かったのですが、その週末は金曜に両親と一緒に移動している際に大きな交通事故に遭ってしまいました。僕は椎骨を骨折し、母は重傷のために、2ヶ月も集中治療室に入院して、もうダメかと思ったほどでした。そのレースウイークは、あらゆる感情を背負って戦ったのです。ただ、サーキットは大好きです。レイアウトは複雑で、有名なコーナーがたくさんあります。現代のF1マシンでマゴッツからべケッツへ駆け抜けるのは、本当に感動的な光景になるでしょう。加えて、英国の情熱的なファンが特別な雰囲気を作り出してくれます。最高のレースウイークになると思うので、とても楽しみです。今はトロロッソの風洞施設があるビスターに滞在していますが、レースウイークが始まる前には、ミルトン・キーンズにあるホンダのファクトリーを初訪問する予定です。そこで、残りのシーズンでの改善に向けて懸命にプッシュしてくれている仲間たちを激励しようと思います。また、水曜日には、レッドブルドライバー全員がクリスティアン・ホーナーに招かれてクレーピジョン射撃をするんです。僕は初めてなので、間違えて他の人を撃たないようにしなければいけませんね(笑)。実は、数年前にミルトン・キーンズに1年半暮らしていたんです。そのときはレッドブル Racingのシミュレーター作業をたくさん行いました。その意味でも、シルバーストンに帰るのが楽しみです」ブレンドン・ハートレー「シルバーストンからほど近くのミルトン・キーンズには約7年間暮らしたことがあり、いい思い出ばかりです。このあたりは多くのチームが拠点を構えており、F1のホームタウンとも言える場所で、僕たちトロロッソの風洞施設もすぐ近くのビスターという街にあるんです。シルバーストン・サーキットでは何度もレースをしましたし、好結果を残すこともできました。長い歴史を持つサーキットで、コプス~マゴッツ~べケッツといった高速コーナーでの走りは多くの人に愛されています。今年は路面が再舗装されたので、これまでよりもグリップが増すでしょう。高速コーナーが多いということは、オーバーテイクは難しくなるので、予選が重要です。カナダで投入されたパワーユニットのアップグレードには手ごたえを感じています、オーストリアでの空力アップデートも、ここはより多くのダウンフォースが必要となるコースなので、いいタイミングだったと思います。このサーキットを今のF1マシンで走るのが本当に楽しみです。シルバーストンは真のドライバーズサーキットで、天候もあいまって素晴らしいレースを生み出します。F1にとって原点ともいえるトラックですし、さまざまな特性を持ち、雰囲気は最高です。力強い走りができればと思いますし、ここ数戦よりも少し運に恵まれることを願っています」田辺豊治 (ホンダF1 テクニカルディレクター)「今回は3連戦最後となる英国でのレースです。ホンダ はF1参戦時、第2期にラングレー、第3期にブラックネル、現在はミルトン・キーンズと、英国に最前線基地とも呼べる拠点を置いてきました。したがって、英国GPは日本GPと同じく我々のホームレースと言えます。現在、そのレースチームの拠点となるミルトン・キーンズでは、パワーユニットのメンテナンスやエンジンベンチでのテストに加え、バッテリーパックの開発も行っています。今回のレースには、それらの開発に関わる同僚やその家族、友人などが応援に来てくれる予定です。そして、同じく英国にあるホンダの欧州本社や研究所、スウィンドン工場からも多くの仲間が来てくれます。今回のレースの地となるシルバーストン・サーキットは、スロットル全開率が65%近く、パワーユニットのパワーが重要となる高速サーキットですし、ストレートでの戦闘力を得るためのエネルギーマネジメントなども併せて重要となります。ここ2戦は難しい戦いが続きましたが、3連戦の最後となるシルバーストンではホームの観衆にいいレースを見てもらえるように、万全の準備をして臨みたいと思います」関連:2018年 F1イギリスGP テレビ放送時間&タイムスケジュール
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