4月9日午後、2017 AUTOBACS SUPER GT第1戦「OKAYAMA GT 300km RACE」の決勝レースが岡山国際サーキットで行なわれた。GT500クラスは予選3位からスタートしたNo.37 KeePer TOM'S LC500(平川亮/ニックキャシディ)が、新型車LC500に初勝利をもたらした。GT300クラスではNo.4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也)が3年ぶりの優勝を手にした。
速さに勝るグッドスマイル 初音ミク AMGが序盤にトップを奪う前日は不順な天候に見舞われた岡山国際サーキットだったが、日曜日の午後、決勝レースが近づいた頃には晴れ間が拡がるレース日和となった。決勝レースは予定通り、午後2時34分、岡山県警の白バイにリードされたパレードラップが始まった。しかしGT500クラスの車両が、このパレードラップ中にストップ。赤旗が出てスタートはディレイ(延期)。一度ホームストレートで隊列を整え直した後、周回数を1周減算の81周で、セーフティカーに先導のスタートとなった。レースがスタートするとポールのNo.65 LEON CVSTOS AMG (黒澤治樹)の背後にNo.4 グッドスマイル 初音ミク AMG(片岡龍也)が迫っていく。だが、ピットスタートのNo.52 埼玉トヨペットGreenBraveマークX MC(番場琢)がダブルヘアピンの立ち上がりでクラッシュ。これのため再度セーフティカーが入る。レースが再開するとNo.65 LEON CVSTOS AMG(黒澤治樹)とNo.4 グッドスマイル 初音ミク AMG(片岡龍也)、No.25 VivaC 86 MC(山下健太)がトップ3を形成していたが、それぞれの間隔が少し開いたり、反対に詰まったりを繰り返しながら周回を続けた。この大勢が動いたのは18周目。トップの65号車をテール・ツー・ノーズ、ある時はサイド・バイ・サイドとプッシュしていた4号車が、ついにパスしてトップに立った。このまま4号車の片岡は後続を引き離し、2番手争いが65号車と25号車、少し開いてNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(山内英輝)とNo.51 JMS P.MU LMcorsa RC F GT3(中山雄一)が続いた。トップに立った4号車は快調に先を急ぐ。レース後「蓋さえ取れれば速いペースで走れた」と語った通り、後続との差はじわじわ拡がっていった。トップグループで最初にルーティンのピット作業を行ったのは3番手のVivaC 86 MC。27周終了時点でピットに向かい、松井孝允に交代。左側のタイヤ2本のみを交換し、素早くレースに復帰する。次の周にはNo.65 LEON CVSTOS AMGはタイヤ4本を交換し、蒲生尚弥を25号車の前に戻した。だが、タイヤが温まり切るまでに25号車に先行される。29周にはトップのNo.4グッドスマイル 初音ミク AMGもピットイン。彼らは25号車と同じ左2本交換の作戦を決断。ピットの作業時間そのものでは25号車の方が早かったが、ピットイン前の走りで片岡がんばり、実質上のトップをキープして谷口信輝をコースに戻した。 終盤、4号車はトップ独走。65号車と25号車の2番手争いが激化No.4 グッドスマイル 初音ミク AMGの谷口は混雑するコースを好ペースで周回し、前走車すべてがピットインした49周目には、本物のトップに立つ。2番手を争うNo.65 LEON CVSTOS AMGとNo.25 VivaC 86 MCに10秒以上の差があった。だが、ポイント圏内で健闘していたNo.51 Ferrari 488 GT3(新田守男)が、49周目に2コーナーでNo.64 Epson Modulo NSX-GTと接触。50号車はコースアウトしてウォールにクラッシュ。これで3度目のセーフティカーランとなってしまう 。セーフティカーが退去し、レースは残り20周のスプリントとなる。トップのグッドスマイル 初音ミク AMG(谷口)はマージンほとんどゼロから、懸命の走りで後続を引き離していく。その後方で、観客の注目を一身に浴びることになったのはNo.65 LEON CVSTOS AMGの蒲生と、No.25 VivaC 86 MCの松井によるサイド・バイ・サイドの好バトルだった。岡山県は倉敷市出身で昨年大会のウィナーとなった蒲生と、お隣広島県は福山市の出身ながら、ここ岡山でレースデビューを果たし、昨年はシリーズチャンピオンに輝いた松井は、ニュルブルクリンクではチームメイトでもあり個人的にも親しい間柄。レースウィークに入る前日には2人揃って美作警察署を表敬訪問していたが、そんな好敵手同士のバトルはまさに、レース後半のハイライトとなった。後方からチャージする蒲生が、AMGのノーズを86のサイドに押し込もうとするのだが、松井がチャンピオンの意地を見せ何とかこれを封じ込める。そんな手に汗握るバトルは10周近く続けられた。しかし、67周目のダブルヘアピンで、GT500のトップグループにラップ遅れにされる際の混乱で、25号車が他車と接触してスピン。すぐに再スタートするが、4番手までポジションを下げてしまった。No.4 グッドスマイル 初音ミク AMGは危なげなく逃げ切って、2014年5月の第2戦富士以来の、メルセデスにマシンを変えて初めての優勝となった。2位にはNo.65 LEON CVSTOS AMG。3位にはNo.9 GULF NAC PORSCHE 911(ジョノ・レスター。後半は峰尾恭輔)となった。谷口 信輝 (No.4 グッドスマイル 初音ミク AMG)サーキットに来る前に勝つ準備ができていた。今回はそんなレースになりました。予選でポールを獲ることができませんでしたが、それは決勝を考えてハード目のタイヤを選んだから。ポールを狙うだけなら、また別の作戦もあったと思います。ともかくクルマとタイヤが素晴らしかった。それに尽きます。反対にレースの流れは僕ら向きじゃなかった。クルマとタイヤが良かったので、何もなければ絶対に勝てる! そう思っていたのですが、色々あり過ぎました(苦笑)。もう、どれだけイレギュラーがあるんだ、と。だから、外で見ているほどには余裕がなかったのも事実ですが、今回は本当に、クルマとタイヤで勝てたレースでした。そもそも、今回の舞台である岡山国際サーキットは、僕らが乗っているAMG GT3とは相性のいいサーキット。だから、ここでキッチリ勝てたことは大きいと思います。僕たちのチームは2011年にチャンピオンになって、3年後の2014年にもタイトルを獲っています。だから、それから3年たった今年はチャンピオンになれるんじゃないか、そう思っています。 片岡 龍也 (No.4 グッドスマイル 初音ミク AMG)今回は、正直いってテストから手応えがありました。レースウィークに入る前からポール争いと優勝争いをするイメージが湧いていました。だから昨日、ポールを獲れなかったのはとても悔しかったのですが、その分、今日のレースに強い気持ちで臨みました。僕らが選んだタイヤは、温めるのが大...
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