岡山県・美作市の岡山国際サーキット(1周3.703km)で行われたSUPER GT開幕戦300kmレース決勝で、#1 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)が見事な追い上げで優勝。#46 S Road CRAFTSPORTS GT-R(本山哲/千代勝正)も3位入賞を果たし、2台のGT-Rが表彰台に上がった。3番手グリッドからスタートした#1 GT-Rは、スタートドライバーのロニー・クインタレッリが好走。レースが大きく動いたのはスタートから20周余りを過ぎた頃だった。
ロニー・クインタレッリが周回遅れを利用して2位のマシンに0.3秒差にまで迫ると、そこから先はテールトゥノーズの接近戦を展開。28周目のヘアピンコーナーで先行するマシンに猛チャージをかけ、2位進出に成功したロニー・クインタレッリは、さらにトップのマシンに迫っていった。35周を終えたところでトップのマシンがルーティーンのピット作業を行う間に、ロニー・クインタレッリはハイペースで周回。38周を走り終えたところでピットに向かった。ここではチームが最高の仕事ぶりを見せ、ライバルより短い40秒という作業時間で後半担当の松田次生をレースに送り出すことに成功。ピットアウトした松田次生は逆転首位に立ち、ホームストレート1本分のギャップを築いた。そしてその後は自らのペースで安定した周回を続け、独走でトップチェッカー。シリーズ3連覇に向け最高の滑り出しとなった。#1 GT-R以上に、ファンから大声援を受けることになったのが#46 GT-Rだった。今回がGT500クラスのデビュー戦となった千代勝正は、前日の公式予選でもQ1でトップタイムをマークして注目を集めていたが、この日の決勝レースでは前日以上の歓声を浴びることになった。前半を担当したベテランの本山哲がポジションをキープしたまま35周を終えてピットイン。後半をルーキーの千代勝正に託した。大先輩からステアリングを引き継いだ千代勝正は、勢いのある走りで前を行くマシンを追い詰めていった。そして、50周目のヘアピンコーナーで前のマシンに並びかけると、そのままダブルヘアピンまでサイドバイサイドの超接近戦を繰り広げスタンドを沸かせた。この時は逆転には至らなかったが、2周後に再びヘアピンコーナーで隙を狙うと、今度はあっさりと相手をかわし3位に浮上。その後、2位を行くマシンに照準を合わせた千代勝正は、こちらもテールトゥノーズの接近戦を展開した。結局、逆転することは叶わなかったが、堂々の3位チェッカーを受け見事なデビュー戦となった。#1 GT-Rドライバー 松田次生「開幕前のテストではライバルたちが速かったのですが、この週末は僕たちのクルマの仕上がりがとても良かったです。前半スティントではロニー選手がいい走りで追い上げてくれて、ピット作業も早くて大きな差をつけて逆転できました。後ろの千代選手がすごく注目されていたようだったので、僕は2位以下にどれだけタイム差をつけることができるか、それをモチベーションにして頑張りました。本当にいい流れで勝つことができました」#1 GT-Rドライバー ロニー・クインタレッリ「僕は開幕戦で勝つのも、岡山で勝つのも今回が初めてですが、正直に言えばまだ勝った実感がありません。この週末、チームがいいクルマに仕上げてくれたし、ミシュランタイヤもいいパフォーマンスを発揮してくれました。勝因は、タイヤ選択。クルマとタイヤをコンディションに合わせることができれば速いと分かったので、ウェイトハンディを積む次戦以降も頑張ります」#46 GT-Rドライバー 本山哲「千代は期待以上の活躍でした。テストの段階では途中でスランプもありましたが、GT500に上がって何も戸惑うことはないと思います。(千代が)Q1でトップタイムを獲得できたのは路面温度がタイヤ的に合っていたこともありますが、流れも運も持っていますね。#6 RC Fとのバトルは危ないところもありましたが、抜く時はうまかった。自分のスティントとは違って柔らかめのタイヤを履いて行ったのですが、不安なく攻めていけるタイヤでしたし、ペースは明らかに良かったので安心して見ていられました」#46 GT-Rドライバー 千代勝正「#6 RC Fはブロックも上手で追い抜くのに手間取りましたが、アトウッドからヘアピンにかけてはこちらの方が速かったのでいけると思っていました。#37 RC Fを追い抜くには決定打に欠けてしまったので、これは経験不足だと思います。縁石をはみ出してしまうこともありましたが、集中して前だけを追いかけて無心で走りました。GT500参戦が決まってから、チームや本山先輩からいろんなことを教えていただき感謝しています。本山先輩に"最高"だったと言われたのはとても嬉しかったです」