富士スピードウェイで開催されたSUPER GT第2戦は、スタート直後の雷雨で一旦は赤旗中断となるもその後回復していく中で激戦が展開。7番手グリッドから追い上げた立川 祐路/石浦 宏明組 ZENT CERUMO LC500 38号車が終盤劇的な逆転を果たし、得意の「ホーム」富士で2年ぶりの勝利を飾った。SUPER GT第2戦「FUJI GT 500km RACE」が5月3日(金)、4日(土)の両日、静岡県の富士スピードウェイで開催された。
悪天候に翻弄された開幕戦の岡山大会から3週間。SUPER GTは恒例のゴールデンウィーク開催となる第2戦富士を迎えた。国内のモータースポーツで最高の人気を誇るSUPER GTの中でも、毎年特に多くの観客が集まるGWの富士大会。今年は特に10連休、そして天候に恵まれたこともあり、2日間で9万人以上ものモータースポーツファンの皆様が集結し、熱いレースを堪能した。前戦岡山大会は悪天候のために長いセーフティカーランの末に2度目の赤旗で短縮終了となった。今季がLEXUS LC500での参戦ラストシーズンとなるLEXUS勢は予選から苦戦を強いられ、最上位が6位に終わった。第2戦となる富士大会は、通常の300kmよりも長い500kmでの開催。2度のドライバー交代が義務づけられる。開幕戦がハーフポイント獲得に終わったため、各車のウェイトハンデも例年に比べると差のない状況での長丁場のレース、ホームコースであるLEXUS勢の巻き返しに期待がかかった。今大会、au TOM'S LC500 36号車の中嶋一貴はWEC(世界耐久選手権)第7戦スパ6時間のために欠場。代わりにGT300クラスに出場している宮田莉朋が36号車の第2ドライバーとして、GT500クラスにデビューすることとなった。予選3日(金)は好天に恵まれ、暖かさを感じる気温22度、路面温度33度というコンディションで午後2時30分より予選が行われた。15分間で行われたQ1では、セッション開始から5分ほど全車待機してコースイン。数周でタイヤを暖め、セッション終盤にタイムが更新され、順位が目まぐるしく入れ替わっていったLEXUS勢は38号車の石浦がまず1分27秒台に入れてトップに立つと、KeePer TOM'S LC500 37号車の平川亮が好タイムでこれを塗り替えた。しかし、その後ライバルに0.007秒上回られ、平川が2番手、石浦が3番手、そして、前戦は予選、決勝共に走行のチャンスがなかったDENSO KOBELCO SARD LC500 39号車の中山雄一が初のGT500クラス予選アタックで見事7番手タイムをマークし、Q2進出を果たした。WAKO'S 4CR LC500 6号車の大嶋和也は僅か0.037秒及ばず9番手。36号車が11番手、WedsSport ADVAN LC500 19号車が14番手でQ1敗退となった。Q2(10分間)は15時33分から開始され、やや路面温度も下がる中、セッション終盤に僅差での激しいアタック合戦が繰り広げられた。LEXUS勢ではQ1でも最上位につけた37号車のニック・キャシディが、これまでの予選コースレコードを上回る好タイムをマーク。ライバル勢もレコードを更新し食い下がるが、キャシディのタイムには届かず、ポールポジション獲得かと思われたが、最後の最後に上回られ、37号車は最前列2番手グリッド。ヘイキ・コバライネンがアタックした39号車が5番手、立川祐路の38号車が7番手グリッドから明日の決勝に臨むこととなった。GT300クラスでは、開幕戦岡山のQ2で、SUPER GTデビュー戦ながらコースレコードを更新する走りで2番手につける好走を見せた19歳の阪口晴南が、当落線ぎりぎりの16番手タイムをマークし(その後走路外走行により1台降格となったため15番手)唯一のQ2進出。Q2では96号車のベテラン新田守男が12番手グリッドを獲得した。他のLEXUS/トヨタ勢4台はQ2進出ならず。今回、第3ドライバーとして、小高一斗が加わったTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT 30号車が20番手、宮田に代わってドミニク・ファーンバッハーと吉本大樹が組むSYNTIUM LMcorsa RC F GT3 60号車が22番手。昨年まで同車両をドライブしていたナタウッド・ジャルーンスルカワッタナが3人目のドライバーとして加わるarto RC F GT3 35号車が24番手、TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT 31号車が26番手グリッドとなった。決勝4日(土)も午前中までは好天で、昼のウォームアップ走行時は暑いほどのコンディションだったが、スタート前のグリッドウォーク中に雨がぱらつき始め、午後2時半の決勝スタート時には路面はウェットコンディションに。雷雨の予報もあり、各チームタイヤ選択に悩むこととなった。雨の中、セーフティカー先導で500kmで争われるレースがスタート。2周を終えたところでグリーンフラッグが振られ各車全開でのバトルが開始された。LEXUS勢最上位の2番手からスタートを切った37号車キャシディは、水煙の中で前車をかわし首位浮上。後方では7番手スタートの38号車立川が好スタートを切り、4位争いを展開した。その後、雨が強くなっていき、37号車キャシディはコースオフを喫するなどで3位へと後退。変わって13周目に38号車が首位に立った。その直後、強くなった雨のためにセーフティカーが導入され、15周目にレースは赤旗中断。30分ほどの中断を経て午後3時30分過ぎにセーフティカー先導で走行が再開された。冷え切ったタイヤを温め直し、19周目、残り92周でバトルが再開。38号車、37号車とライバルによる三つ巴の首位争いが繰り広げられた。その後路面は乾いていき、40周目終了時に38号車がピットイン。立川から石浦へとドライバーチェンジ。ほかの車両も次々にピットインし、全車が1度目のドライバー交代を終えた時点で38号車が2位、ピットアウト直後にコースオフを喫した37号車は7位、中山雄一へと交代した39号車が8位で中盤戦を迎えた。LEXUS勢はピットアウト直後は苦戦したものの、タイヤが充分に暖まってからはライバルを上回るペースでの追い上げを開始。59周目には38号車の石浦が首位を奪還した。前戦岡山では予選、決勝共に走るチャンスのなかった39号車の中山雄一は、7位でコバライネンから39号車のステアリングを引き継ぐと、次々にライバルをパスしていき68周目には元F1チャンピオンのジェンソン・バトンが駆るNSX 1号車をパスし4位へポジションを上げて、コバライネンへと再び交代した。78周終了時点で首位を行く石浦の38号車もピットイン。しかし、このピットのタイミングでライバルの先行を許し、立川は2位でコースに復帰。立川は4秒以上あった首位との差をじりじりと詰めて行き、残り15周でテール・トゥ・ノーズの状態まで持ち込んだ。ベテラン同士の見応えある首位争いが数周にわたって繰り広げられたが、「富士マイスター」の称号で知られる立川が残り12周、9...