9月12日(土)~13日(日)、ツインリンクもてぎ(栃木県)で2020年度SUPER GTシリーズ第4戦が開催され、GT500クラスに5台の2020年型NSX-GT、GT300クラスに3台のNSX GT3が出走した。今回も新型コロナウイルス感染拡大対策として無観客開催となった。土曜日のツインリンクもてぎの上空には厚い雲がかかり、雨は時折り細かく降っては止むという状況。幸いにしてドライコンディションで行われた土曜午前中の公式練習で、NSX-GT勢は好調な走りをみせる。
GT500では#64 Modulo NSX-GT(伊沢拓也/大津弘樹)が2番手、#16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤英紀/笹原右京)が3番手、#8 ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺)が4番手と、上位につけるタイムを記録した。午後の公式予選Q1セッションは、直前に降った小雨も上がりドライコンディションで始まったものの、ウォームアップが終わる頃にコースの一部で雨が降り始め、難しいコンディションとなった。各車ドライタイヤのままタイムアタックに入り、快調の#64 Modulo NSX-GT(大津)が2番手、#17 KEIHIN NSX-GT(バゲット)が3番手、#100 RAYBRIG NSX-GT(山本)が4番手、#16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(笹原)、#8 ARTA NSX-GT(野尻)が7番手。Q2に進出できる上位8台の中にNAX-GTの5台全車が残る結果となった。Q2セッションを前に霧雨が再び降り始めてコースコンディションは難しい状態になり、各車レインタイヤに履き替えてタイムアタックを行った。その結果、#17 KEIHIN NSX-GT(塚越)が2番手、#8 ARTA NSX-GT(福住)が3番手、#64 Modulo NSX-GT(伊沢)が5番手、#100 RAYBRIG NSX-GT(牧野)が6番手、#16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤)と続き、NSX-GTは、開幕以降4大会全戦でフロントロウから決勝レースに臨むこととなった。日曜日のツインリンクもてぎは曇天ながらドライコンディションとなったが、レース終盤になると降雨の可能性もあると予報される中、決勝レースのスタートが切られた。2番手スタートの#17 KEIHIN NSX-GT(バゲット)は、ポールポジションからスタートして先頭を走る38号車の背後につけて攻め続けると、8周目のヘアピン立ち上がりから並びかかり、90度コーナーで先頭に躍り出た。38号車を挟んで、その後ろには、スタートで3番手に進出した#64 Modulo NSX-GT(伊沢)、#8 ARTA NSX-GT(野尻)、#16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤)が続いた。10周目にコース上で発生したアクシデントによりセーフティカーが介入したが、レース再開後も#17 KEIHIN NSX-GT(バゲット)は首位を守って2番手の38号車との間隔を開いていき、24周を走ってピットインすると給油、タイヤ交換を行い、レースに復帰した。一方、3番手につけていた#64 Modulo NSX-GT(伊沢)はペースが上がらず、トラブルを抱えた#8 ARTA NSX-GT(野尻)とともに少しずつ後退、代わって#16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤)が順位を上げて3番手に進出した。GT500全車がドライバー交代を終えた段階で#17 KEIHIN NSX-GT(塚越)は2番手の38号車に対し約4.5秒以上の差をつけて首位を守り、また少しずつ38号車を引き離し始めた。ドライバー交代を終えた#16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(笹原)は38号車の後方で3番手を守り、ハンデが重い#100 RAYBRIG NSX-GT(山本)はいったん9番手にまで順位を落としたものの、バックマーカーを巧みに利用しながらじりじりと追い上げを始めた。45周終了時点で再びセーフティカーが介入、レースは振り出しに戻ったものの、再スタート後も#17 KEIHIN NSX-GT(塚越)のペースは衰えず、38号車との間隔を再び広げ始めた。結局#17 KEIHIN NSX-GT(塚越)はそのままだれにも脅かされることなく63周のレースを首位のまま走りきって今シーズン2勝目を記録し、2点差でシリーズポイントランキング首位に立った。3位のチェッカーフラッグは、#16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(笹原)が受け、NSX-GTが2台、表彰台に上がる結果となった。5位には重いハンディを背負いながら着実に追い上げた#100 RAYBRIG NSX-GT(山本)が続き、#64 Modulo NSX-GT(大津)は10位でレースを完走したが、#8 ARTA NSX-GT(福住)はアクシデントによりリタイアを喫した。次戦シリーズ第5戦は10月3日から4日、富士スピードウェイで5000名限定ながら一般観客を迎えて開催される。株式会社本田技術研究所 Honda GT プロジェクトリーダー 佐伯昌浩「今年1基目のエンジンはドライバビリティー向上に力を入れて用意したので、パーシャルを多用するこのコースでいい成果が得られたのだと思います。予選での一発ばかりではなく、レースでも粘り強く戦って、17号車が2勝目を挙げたばかりではなく、ほかのマシンも選手権ポイントを稼ぐことによって、ライバルに行くポイントをこちらへ持ってくることができ、17号車がランキングトップになれました。我々にとってはいいレースになりました。でも、これで我々もウエイトハンディが増していきますので、ここから先の戦いはより厳しいものになると考えています。富士スピードウェイに戻って開催される次戦には、気を引き締め直して臨みます」塚越広大(優勝)「予選でバゲットとお互いいい仕事をした結果、レースは2番手からスタートできました。前半バゲットがすごくいい走りをしてくれました。マシンを引き継いでからも調子がよかったので自信を持って走れました。第2戦の富士で勝ったときは『あ、勝っちゃった』というような気分だったのですが、今回は自分たちの力で勝ち取ったという手応えがあります。バゲットともチャンピオンを獲ろうね、と言い合っていて、今回はその通過点だと思っています。第5戦はウエイトが増えて楽ではないでしょうが、全力でがんばります。今年は2回も勝ったのにファンの皆さんがいらっしゃらなくて寂しい思いをしました。(入場者数が限られているとはいえ、次戦から)ファンの前でレースできるのが楽しみです」ベルトラン・バゲット(優勝)「46kgのハンディを背負っていたので、第2戦で勝ったときよりうれしいです。マシンの調子がよく、序盤のうちに前を行く38号車を抜いてしまいたかったのですが無理はできず、相手にプレッシャーを与えている間に少しフロントタイヤを使いすぎてしまいました。チャンスを見つけて前に出られてよかったです。ポイントリーダーにはなりましたが、今後のレースはタフになるでしょう。苦しい中でもポイントを確実に取るのが大事だと思っています。次回は、5000人限定とはいえ、ファンの皆さんの前でレースができるというのでスーパーハッピーです。これが、コロナ禍を克服するための第一歩だと思います。皆さんの前でベストを尽くしたいと思います」
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