2026年スーパーフォーミュラ開幕戦(もてぎ)は、長時間のセーフティカーと赤旗によりレースの大半が制限される異例の展開となった。その中で勝利を掴んだのは、予選2番手からスタートした太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)だった。ポールポジションの岩佐歩夢(TEAM MUGEN AUTOBACS)をリスタート直後に攻略し、その一撃で勝負を決めた。限られたグリーン区間での判断が結果を左右したレースだった。
太田格之進はまた、今季開幕戦に向けた精神的な準備の難しさについても明かした。「去年(タイトルを獲り逃して)、本当に悔しい思いをして“燃え尽き症候群”みたいになって、そこから今年、イチから戦うことに対して、メンタル的な部分をこの開幕戦にバシッと合わせることが例年以上に難しかったと思っています」「やっとここに戻ってきたなという感じですね。それで優勝できたので良かったと思います」観察から組み立てたリスタート戦略今回のレースは、実質的な勝負がごく限られた周回に集約される展開だった。そのため、リスタートの一瞬にすべてを合わせる必要があった。太田はセーフティカー中の走行からライバルの状態を見極め、OTS(オーバーテイクシステム)の使用判断にも言及した。「ホイールスピンの感じを見ていて、少しウォームアップに苦戦しているような感じがあって、SC明けの最終コーナーの立ち上がりは結構チャンスになるのかなというところで、立ち上がりでOTSを使っていくというのも戦略として考えたという感じです」「いつ、レースが再開されるか分からない状況だったので、とにかく準備できることをしていました」「少しギャンブル的というか、歯を食いしばっていくしかないようなシチュエーションをなんとか自分なりに気合いでいけたなと思っています」ウォームアップ状況の差を読み取り、最終コーナー立ち上がりでの加速勝負にすべてを合わせた。その判断と実行が勝敗を分けた。岩佐歩夢の失速は複合要因2位の岩佐歩夢は、リスタートでの失速について複数の要因があったと示唆した。「結果はもちろん悔しいですけど、抜かれた要因としてはいろいろな原因があって、ここでは詳しく話しませんが、自分がコントロールできない範囲のことなども起こっているので、自分としては今日のことは忘れて、明日に切り替えて、ポール・トゥ・ウインを目指したいと思います。」「エンジンがずっとバラついてしまって、直線のエンドまでずっと吹けない状態が続いていたことが大きかったですね。その原因はまったく分からないので、今後に向けてしっかり分析してもらって改善していかなければならないと思っています。」トラクションとエンジンの問題が重なり、防御が成立しない状況に陥っていた。佐藤蓮は堅実に3位を確保3位の佐藤蓮は、マシンポテンシャルの差を認めつつも、難しいコンディションでの結果を評価した。「マシンのポテンシャル的にはまだトップ2には足りていないと思うので、そこをどうツメていくかが明日に向けての課題かなと思います」「そのなかでしっかりと走り切って、ポイントを持って帰れたのは良かったと思います」また、新舗装による影響についても言及した。「舗装が変わって、水はけもかなり悪くなっていて、それは鈴鹿テストでもあったことなので想定はしていたんですが」“1回の判断”が勝敗を決めた開幕戦今回のレースは、純粋な速さではなく、状況対応力と判断力が結果を左右した。限られたチャンスの中で、観察・準備・決断をすべて成立させた太田が勝利を掴んだ。太田はそのすべてを成立させ、「今年の目標は『チャンピオン』しかない」と語るシーズンの第一歩を完璧な形で踏み出した。