ステファンGPは、F1参戦を目指すセルビアのチーム。ステファンGPを率いるのは、ゾラン・ステファノビッチという人物。ステファノビッチは、セルビアを本拠地とするAMCOという企業のCEOを務めている。AMCOは、ハイテク技術を生産するエンジニアリング企業であり、軍用航空機やヘリコプターから宇宙開発などまで手掛けており、しっかりとした財政基盤を持っている。レーシングカーの部品も生産しており、フォーミュラ・フォードやスポーツプロトタイプのギアボックスなどを生産している。
レーシングチームとしては無名であるステファンGPが脚光を浴びているのは、F1を撤退したトヨタF1チームとの関係にある。ステファンGPは、トヨタと2010年用の新車TF110のプロジェクトの買収について交渉を行っており、買収交渉が成立した場合は、ケルンにあるTMGを間借りし、トヨタの余剰スタッフの100名を雇用するとしている。トヨタ側は、TF110の設計図を無償で提供する代わりにTDPドライバーである中嶋一貴を乗せることを交換条件として提示しており、ステファンGPのF1参戦が叶えば、中嶋一貴のF1シートは確保されることになる。しかし、問題はF1参戦権。すでに13チームの参戦枠は埋まっており、ステファンGPは“14番目のチーム”として参戦枠が空くのを待っている状態。一部ではUSF1のグリッドに並ぶのは不可能だとみられており、繰り上げで参戦権を得るというのがステファンGPの狙いだ。だが、USF1を含めた新チームはすでにシャシーの制作を進めており、参戦枠が空く可能性は極めて低いといえる。また、参戦するにはコンコルド協定で全チームの承認を受ける必要があり、時間的にも厳しい。ただ、ステファンGPは、2010年のF1参戦が叶わなくとも2011年以降の参戦を目指すとしており、その場合は2010年を通してマシンをテストするとしており、中嶋一貴がテストドライバーを務める可能性もある。ステファンGPのマシン開発は、元マクラーレンのチームデザイナーであるマイク・コフランが担当するとしている。関連:中嶋一貴、ステファンGPでF1残留の可能性