2025年F1シーズンの第9戦スペインGPに向けて、各チームが最新のアップグレードパッケージを投入した。カタロニア・サーキットは空力性能が試される技術的に難しいコースとして知られ、例年多くのチームがここで重要な技術更新を行う。今回はフロントウイングの剛性規定の強化もあり、その対応を含むアップデートが多く見られた。以下に各チームの主な変更点を解説する。
アルピーヌF1チームアルピーヌはフロア構造に重点を置いた2点のアップデートを導入。■ フロアフェンス:局所的な空力性能を高めるため再設計され、アンダーフロア全体への気流の供給が改善された。■ フロアボディ:微細な形状変更を施し、フェンスと連動してフローフィールドの質を向上。アストンマーティンアストンマーティンはフロントウイング先端の形状を見直し、技術指令TD018Hへの適合も図った。■ フロントウイング:翼端とエレメント間のディテールを変更し、外側の空力負荷を向上。構造的な理由による断面変更も含む。スクーデリア・フェラーリフェラーリは技術規則の改定に合わせてフロントウイングとリアウイングを更新。■ フロントウイング:規則3.15.4および3.15.5の更新に対応した新仕様で、翼の負荷分布と端部のロール形状を最適化。■ リアウイング:2024年からの高ダウンフォース仕様に改良を加え、効率的なダウンフォース向上を実現。ハースF1チームフロントウイングの構造変更は、新たな剛性基準への対応を目的としている。■ フロントウイング:2025年4月に更新された規則に適合するため、フラップのたわみ要件に合わせて構造を一新。メルセデスメルセデスは床周りとリアウイングにわたる包括的な改良を実施。■ フロアエッジ:バネ付きの追加ベーンにより前方床下の空気流量を増加、局所ダウンフォースを向上。■ フロアフェンス:渦流分布を見直し、より良い初期流れを確保。■ リアウイング:バルセロナ向けにカンバー角を増加、効率勾配に沿ったドラッグとダウンフォース獲得を目指す。レーシングブルズフロント部に大規模な空力改良を投入し、風洞での結果に対応。■ フロントウイング:中央セクションを下げた新設計で、下流の流れを調整。剛性向上にも対応。■ エンドプレート:翼端周辺のロスを抑えるために接続部を最適化。■ ノーズ:先端を下げ、下側を持ち上げることでフロントウイング中央の負荷を増加させ、流れの改善を狙う。レッドブル・レーシング技術規則に沿ったフロントウイングの形状変更を実施。■ フロントウイング:主に第1・第2エレメントの断面変更で剛性を強化。その後のフラップと翼端はその変更に追随する形。ザウバーF1チーム空力全体のバランス改善に向けた3点の更新を導入。■ フロアボディ:フェンスやエッジ、ディフューザーを含む広範な変更で、下部全体の流れを最適化。■ エンジンカバー:新しいフロア構造との相互作用に適応するため側面形状を修正。■ フロントウイング:メインプレーンとエンドプレートの接続部を微調整し、下流の気流改善を促す。ウィリアムズ・レーシング新たな冷却コンセプトと空力規制対応のためのアップデートを導入。■ フロントウイング:新剛性規則に対応しつつ、リアフラップとエンドプレートも再設計。空力パターンを調整。■ リアコーナー:ブレーキダクト出口の形状を変更し、冷却性能をバルセロナの制動特性に適合。■ クーリングルーバー:大型ルーバーを多数配置できる新しい冷却パネルをオプションで導入。冷却効果は高いがダウンフォースを犠牲にする。まとめ今回のスペインGPに向けては、2025年の新たな技術規則(特にフロントウイングの剛性制限)に適応するための更新が多数見られた。加えて、フロア構造やウイング類の局所的な空力性能向上、さらにはバルセロナ特有のブレーキや冷却負荷への対策も目立っている。中盤戦に差し掛かる今、アップデートの効果が明確に現れる重要な1戦となりそうだ。
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