ザウバーF1のチーム代表ジョナサン・ウィートリーは、2025年のF1シーズンにおけるパフォーマンス向上への取り組みが、アウディ体制となる2026年に向けた準備に悪影響を及ぼすのではないかという懸念を否定した。今季からヒンウィルのチームに加わったウィートリーは、アウディのワークスチーム化を控えるサウバーにおいて、現在のC45マシンの開発と長期的な計画は並行して進められており、どちらかが他方を損なうようなことはないと主張している。
サウバーはここ最近、大きな勢いを見せており、スペインGP以降は立て続けにアップグレードを投入。その結果、競争力は劇的に向上している。ニコ・ヒュルケンベルグはシルバーストンで初表彰台を獲得し、3戦連続ポイントを記録。レッドブル・リンクではダブル入賞も果たし、コンストラクターズ選手権ではサウバーを6位に押し上げ、5位ウィリアムズを射程圏内に捉えている。「この選手権はまだ終わっていない」現在のポジションに対する楽観的な見方が高まる中、ウィートリーはサウバーの目標は単に時折ポイントを獲ることではないと強調した。「まだ何も決まっていないし、この選手権は終わっていない。我々はまだ諦めていない」とウィートリーはシルバーストンでメディアに語った。「我々は数合わせをしに来ているわけではない。我々には野心があり、達成すべき目標がある」それでも、2026年にはF1の技術規則が大きく変わり、アウディの正式参入も控えている中、2025年にここまでリソースを注ぎ込むことが長期計画を犠牲にするのではないかという疑問も生じている。しかしウィートリーは、そうした考えを一蹴した。「今のところ、何の影響も出ていないと感じている──まあ、マッティア(・ビノット)は影響はないと言っているよ」とウィートリーは語り、CEOのマッティア・ビノットに言及した。「マッティアやファクトリーのチームには、クルマの進化に向けた活力があり、正しい方向に進んでいる感覚がある」「アブダビまでずっとこの調子が続くとは言わないが、現時点では励みになる状況だ」アップグレードで高まるドライバーの自信ウィートリーは、最近の技術的進歩により、より一貫性のある扱いやすいマシンが実現できたことを評価している。特にその兆候が見られたのはバルセロナ以降だという。ピーキーな挙動に悩まされていたC45は、現在ではより安定したプラットフォームとなり、ドライバーが自信を持ってパフォーマンスを引き出せるようになっている。「バルセロナ以降、両ドライバーに明らかに自信が戻ってきたのが分かると思う」とウィートリーは説明した。「あれがポイントだった──それ以前はかなりピーキーだった。予選で安定してタイムを縮めていくのが難しかったのは、皆さんもご存じのとおりだ」「ジェッダでは、ターン1のブレーキングですら2人とも問題を抱えていた。でも今では、そういった話題すら出ない」この新たな自信が結果に結びつき、ヒュルケンベルグとチームメイトのガブリエル・ボルトレトは、予選でも決勝でもより攻めの姿勢を取れるようになった。これは、マシンの作動領域が広がり、挙動が予測しやすくなったことによるものだ。5位を見据えつつも、地に足をつけてサウバーがコンストラクターズ5位を本気で狙えるかどうかについて問われると、ウィートリーは慎重な姿勢を崩さなかった。「地に足をつけていくよ」と彼は語った。「昨日、ドライレースだったらどうだったかと聞かれたら、まったく違う状況になっていただろうね」「我々は一戦一戦を楽しんでいる。今週末もまたクルマにパフォーマンスを追加してきた。スパで何が起きるか見てみよう」勢いに乗りつつも、アウディ・プロジェクトが静かに進行する中で、サウバーは短期的な競争力と長期的な野心の両立を実現しつつある──これは多くのチームが移行期に苦戦する部分だ。いまのところ、ウィートリーが発するメッセージは明確だ。目の前のポイントを貪欲に狙いつつ、未来もしっかりと見据えている。