佐藤琢磨が、ダブルヘッダーで行わえたインディカー 第7・8戦 デトロイトのレース週末を振り返った。佐藤琢磨は金曜日の走り出しから好調だった。フリープラクティスでは9番手で、改良されたエアロキットを持ち込んだホンダ勢のなかでは最速だった。「安全上の理由から、ホンダはフロントウィングを変更しなければならなくなりました」と佐藤琢磨。
「見ておわかりのとおり、ホンダのフロントウィングはこれまで非常に複雑な形状をしていました。翼端板にもたくさんの空力パーツが取り付けられていたため、インディカー・シリーズはそれらを取り外してよりシンプルな形状にするように命じたのです。そうするとダウンフォースが減少するので、信頼性を向上させながら空力性能を取り戻すためにホンダは大変な作業をこなさなければいけませんでした。このためエアロバランスも変化したので、僕たちはたくさんのテストを行うこととなったのです」佐藤琢磨は、第1セグメントと第2セグメントを突破してファイアストン・ファスト6に進出し、第1レースの4番グリッドを手に入れた。「本当に嬉しいです。セットアップの面でも、コンパウンドが柔らかめで優れたグリップを発揮するファイアストンのレッドタイアの使い方という面でも、僕たちは正しい判断を下し、素晴らしいパフォーマンスを引き出すことができました。路面はとても滑りやすいように思われました。ソフトコンパウンドを装着するとグリップ・レベルが上がるので、たいていはアンダーステアを示します。僕たちのセッティングを施して第1セグメントに挑んだところ、ひどいオーバーステアを示し、最初のラップではひやっとする場面がありました。そのまま2ラップ目に臨まなくてはいけませんでしたが、幸いにも第2セグメントに進出できるいいタイムを記録できました」「第2セグメントが始まる前に、僕たちはスプリング・セットを変更したほか、アライメントも一部見直しましたが、おかげでマシンのパフォーマンスを大きく向上することができました。続いてQ3のタイムアタックに臨んだわけですが、これもいいラップで、4番手になることができました。これはチームにとってもいい結果だったと思います」土曜日、ミシガンの空は厚い雲に覆われていった。「暗い雲がやってきて雨が降り始めたとき、僕は『イエス!』と声に出して言いました」「本当のところ、僕たちのマシンはドライでも速かったので、天候はどちらでも構いませんでした。僕が期待していたのは、もしも雨が降るならしっかりとウェットコンディションになって、周囲が濡れていて走行ラインだけが乾いているためにマシンが1列になって走るなんていう中途半端な降り方にならなければいいというものでした。実際、レースが始まったときはウェットでしたが、水しぶきのためにインディカーは1列になってスタートすることを決めたのです」「僕はいいスタートを切りましたが、目の前にはペンスキーの3台が巨大な壁のようになって立ちはだかっていました。背後に迫っていたパジェノーも同じペンスキーです。マシンのフィーリングは良好で、モントーヤが少し姿勢を乱した隙を突いて彼のスリップストリームに入り、ヘアピンのターン3でそのインに飛び込みました。続いてバックストレートを素早く駆け抜けた僕はエリオ・カストロネヴェスを攻略し、またもやポジションを上げました。残るはウィル・パワーだけです。ウィル、モントーヤ、そしてエリオとバトルをするのは、いつでも楽しいものです。いずれもタフなドライバーですが、リスキーなことをすることなく、見事なレースを見せてくれるからです! 2周目のターン1で素晴らしいチャンスを感じたので、僕はアウト側に回り込みました。4速で回るそのコーナーを最高の気分でクリアすると、ターン2ではサイド・バイ・サイドのまま今度は僕がイン側となりました。これでトップに立ちました。僕たちにとっては本当に嬉しい瞬間でした!」だが、新しいコンクリートの舗装はまたたく間に乾き始め、数台のマシンがスリックに交換するためピットインを行った。「No.14のメカニックたちはバツグンの働きをしてくれました。僕はいちばんにピットに飛び込み、誰にも抜かされることなくピットレーンから加速することができたのです」ジョセフ・ニューガーデンの後につけていた佐藤琢磨は、運悪く彼と接触してフロントウィングにダメージを負ってしまう。「僕はニューガーデンの強引なドライビングが好きではありません。僕はすでに彼と並んでいたのに、彼が覆い被さってきて、僕は縁石に乗り上げる形になりました。この縁石が高かったためにモノコックと接触し、路面に着地したときには十分なグリップを得ることができずに絡み、フロントウィングを引っかけてしまいました。この様子を後から見ていたエリオは、レース後に僕のところにやってくると、ニューガーデンはインディ・グランプリであれとまったく同じことを僕にしたと話してくれました」「フロントウィングの半分を失ったものの、僕はエリオに抜かされただけでした。やがてイエローになったので、チャンスとばかりにタイアを交換し、新しいノーズを装着することにしました」しばらくすると、再び上空は暗い雲に覆われていった。最初の雨粒がピットスタンドに舞い降りたとき、ほとんどのチームはドライバーにレインタイアへの交換を呼びかけたが、それはすぐに早計だったことが明らかになる。「あれは苦しい状況でした! ドライ路面をウェットタイアで走っている僕たちは、みんなタイアを滑らせながらレースをしていました。僕は何人かをオーバーテイクしましたが、スリックタイアを履いているドライバーを抑え込むのは不可能でした」やがて本格的な雨が降り始めると、佐藤琢磨は新しいレインタイアに履き替えるためにピットに飛び込み、イエローが提示される直前にコースに復帰することに成功する。「最後まで走りきれるだけの燃料を積んでいました。それに、僕が本当に順位を争っているドライバーは目の前の5人だけで、他のドライバーは全員、もう1度ピットストップを行わなければいけないこともわかっていました」だが、激しい雷鳴が轟くようになってレースは中断され、佐藤琢磨は11位でフィニッシュした。第2レースの予選は激しい雨のためにキャンセルとなり、その時点までの獲得ポイント順に整列してスタートする判断が下された。これで佐藤琢磨が駆るNo.14は15番グリッドからレースに臨むことが決まった。「僕がどのくらい...
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