スーパーアグリの佐藤琢磨が、マクラーレンの王者フェルナンド・アロンソを最終コーナーでぶち抜いた2007年のF1カナダGPはファンの間で語り草となっている。“純日本チーム”として鈴木亜久里を代表に2006年にF1に乗り込んだスーパーアグリ。初年度は苦戦を強いられたものの、事実上ホンダF1のワークスチームが前年に1勝を挙げたRA106がベースとなる2007年マシンSA07は序盤に競争力を発揮。第4戦スペインGPで新車に苦戦するホンダF1のワークスチームより先にポイントを獲得していた。
迎えた第6戦カナダGP。11番グリッドからスタートした佐藤琢磨は、得意のスタートを決めて、ヤルノ・トゥルーリ(トヨタ)を抜いて10番手に浮上する。22周目にセーフティカーが導入される。その後、ピットが開かれ、25周目には佐藤琢磨をはじめ8台が次々にピットに飛び込んでいく。27周目には、ロバート・クビサの大事故で、2度目のセーフティカーが導入。その後レースは再開され、11番手の佐藤琢磨は、キミ・ライコネン(フェラーリ)を抜いて10番手に順位を上げ、その差を広げていく。50周目、55周目と、さらに2度、セーフティカーが導入される。チェッカーまで残り10周の60周目の時点で、佐藤琢磨は9番手につけ、ラルフ・シューマッハ(トヨタ)に激しく迫る。そして、66周目に佐藤琢磨は最終コーナーで見事にシューマッハを抜き去り、7番手に。さらに明らかにペースの劣るフェルナンド・アロンソに、あっという間に追いつく。その2周後には同じ最終コーナーで、ワールドチャンピオンとのブレーキング競争に勝ち、鮮やかに抜いていく。これで6番手となった佐藤琢磨はそのまま70周を走り切り、12台完走という波乱のレースで3ポイントを獲得した。佐藤琢磨(6位)「すばらしい週末だった。今回のレースではさまざまな出来事があった。クビツァのことは本当に心配だったが、彼の無事を聞いてホッとしている。F1のセーフティチームに心から感謝したい。あのアクシデントのあと、僕はレースに再び集中した。激しい戦いとセーフティカーの導入が渾然一体となったレースになったけれど、僕たちの戦略が成功した。あるときはセーフティカーが導入された直後のチャンスを見計らってピットインすることができた。ピットレーンがまだ開いていたんだ。チームも状況を把握していて、すぐに対応してくれた。最後の数周は最高の気分だった。トップ集団と戦うことができたし、自信を持ってオーバーテイクして、ポジションを取り戻すことができた。僕のこれまでのレースキャリアの中でも最高にすばらしい日だったし、本当にすばらしいリザルトを手に入れることができた。チームのメンバー、そして僕たちを支援してくれているすべての人々に心から感謝したい」鈴木亜久里「完ぺきな一日だった。チームも琢磨も3ポイントを獲得することができた。今日のチームの仕事ぶりは本当にすばらしかった。アンソニーも本当によくがんばったと思うが、レースの最中に動物が当たって、マシンにダメージを負ってしまったのは運が悪かった。今日もチームの全員がすばらしい仕事をしてくれた。彼らのことを心から誇りに思う」 この投稿をInstagramで見る F1-Gate.com(@f1gate)がシェアした投稿 - 2020年 4月月15日午後7時36分PDT
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