ルノーF1のチーム代表を務めるシリル・アビテブールは、マクラーレンへの移籍が決定しているダニエル・リカルドを2020年にのけ者にしたり、エステバン・オコンを優先したりすることは“まったく意味がない”ことだと語る。2019年にルノーF1に加入したダニエル・リカルドだが、2シーズン目を開始する前にチームを去ることを選択肢、2021年からマクラーレンと契約を結んだ。
ルノーF1は、金銭的に有利な契約とワークスプロジェクトの魅力によって、レッドブルからダニエル・リカルドを引き抜くことに成功したが、2019年はエンジンカスタマーであるマクラーレンに敗れ、コンストラクターズ選手権5位に後退した。しかし、シリル・アビテブールは、1年ぶりに復帰を果たすエステバン・オコンを優遇したリ、チームを去ることが決定しているダニエル・リカルドに異なる扱いするような議論はないと語る。「決定に基づいて、エステバンとダニエルとの間に優遇措置はない」とシリル・アビテブールは語る。「それはチームの方針ではない。必要もない。我々はチャンピオンシップのために戦っているわけではないからね」。だから、そうすることはまったく意味がない」「ダニエルはマシンの開発プロセスに全面的に関与する。なぜなら、マシンは来年にむけてほぼ凍結されるし、マクラーレンは純粋なシャーシとエンジンの統合にトークンを使用する必要があるため、そこでのパフォーマンス開発はないからだ」「そのため、ダニエルとかなりノーマルに仕事をする機会が与えられる」シリル・アビテブールが言及したのは新たに導入されるトークンシステムだ。新型コロナウイルス危機によって次世代F1マシンの導入は2022年に延期となり、2021年も今季のシャシーが使用される。コストを削減するために主要コンポーネントは2020年から2021年に持ち越され、F1チームは2つのトークンを使用しなければシャシーを開発することはできない。マクラーレンはルノーからメルセデスにF1パワーユニットを乗せ換えるためのシャシーの改良にその2つのトークンを使用することになる。ダニエル・リカルドは、マクラーレンに有益となる開発上の秘密を伝えることができず、ルノーF1はリカルドに作業をさせても無傷となる。「2022年のことを彼に晒すことはないが、いずれにしろ彼が関与することはないだろう。なぜなら、我々の労働力のかなりの部分が2022年に向いているが、ドライバーの観点からはまだ少し離れているからだ」ルノーF1は、ダニエル・リカルドの後任としてかつてチームと2度のF1ワールドチャンピオンを獲得したフェルナンド・アロンソを検討していることを認める一方で、アカデミーのドライバーを昇格させることも視野に入れている。シリル・アビテブールは、ダニエル・リカルドの後任について言及することはなく、単に“ダニエルは素晴らしいドライバーで素晴らしいパーソナリティの持ち主”であり、“それが次にやってくるドライバーにとってのプロファイルになる”と語るにとどめた。ダニエル・リカルドの離脱によっては、エステバン・オコンにはルノーF1で地位を確立する機会が与えられたが、F1グリッドに戻る前に“それについてはまったく考えていなかった”とエステバン・オコンは語る。「現時点では、シーズンを再開すること自体がすでに素晴らしいことだ」とエステバン・オコンは語る。「僕たちは目標が何であるか、コース上で何を達成したいかをわかっている。それに僕の仕事は、マシンを改善すること、良いフィードバックを提供すること、改善するための情報を提供することだ」「チームにはナンバー1もナンバー2もない。僕たちは皆同じステップにいる」ダニエル・リカルドのマクラーレンへの移籍に対し、ルノーF1が発表した声明は率直なものだった。だが、ダニエル・リカルドはチーム内で問題になるとは考えていない。ダニエル・リカルドは、ルノーF1への移籍を発表したときにもレッドブルで同様の経験をしたと語り、緊張関係が生まれたとしても、素早く解消できると考えている。「チームで久しぶりに会う人とは、ぎこちなく感じる瞬間があるかもしれない」とダニエル・リカルドは語る。「でも、僕はそれを数年前にも経験している。ニュースが発表されてから時間が経っているし、会っていなかったチームメンバーとも話をした。実際、仕事に戻っている。僕たち全員が再びレースをすることに興奮している」「今シーズンを力強い終える機会を得られることを期待している」「僕の側から言えば、そのことは脇に置いているし、考えてもない。来年になるまで考えることはないだろう。僕たちは一緒に戦っていくだけだ」「数日間シミュレーターで過ごているし、ファクトリーの何人かのとも会っている。目の周りの黒あざはできていないし、腹をパンチされることもなかったよ。僕たち全員がすべて進んでいるし、残りのシーズンために全力を尽くしていく」