メルセデスのジョージ・ラッセルが2026年F1第8戦オーストリアGPを制し、今季2勝目、通算7勝目を飾った。終盤にはレッドブルのマックス・フェルスタッペンが猛烈な追い上げを見せ、さらにランキング首位のアンドレア・キミ・アントネッリも加わる三つ巴の優勝争いとなったが、最後まで首位を守り切ったラッセルがレッドブル・リンクで歓喜のチェッカーを受けた。
アントネッリはスタート直後のミスやタイミングの悪いバーチャル・セーフティカー(VSC)に苦しみながらも終盤に驚異的なペースを披露。フェルスタッペンとの差を最終ラップまで削ったものの0.375秒届かず3位となった。それでもランキングでは40ポイントのリードを維持し、タイトル争いで主導権を握り続けている。猛暑のシュピールベルクで幕を開けた決勝気温・路面温度ともに高いコンディションとなったレッドブル・リンク。22台中20台がミディアムタイヤを選択し、ガブリエル・ボルトレトとカルロス・サインツJr.のみソフトタイヤでスタートした。ポールポジションのラッセルは完璧な蹴り出しを決めてホールショットを奪う。一方、4番手スタートのアントネッリはターン1で大きくコースアウト。その後もワイドランを繰り返し、序盤だけで3度もコース外へ飛び出す苦しい立ち上がりとなった。フェラーリ勢ではルイス・ハミルトンがシャルル・ルクレールを攻略して2番手へ浮上。予選クラッシュから巻き返しを狙うフェルスタッペンも着実に順位を上げ、序盤から優勝争いに加わった。フェルスタッペン対ハミルトン 激しい攻防レース序盤最大の見どころはフェルスタッペンとハミルトンによる2位争いだった。ターンごとにポジションを奪い合う激しい攻防が続き、一度はフェルスタッペンが前へ出るものの、ハミルトンがクロスラインで奪い返す場面もあった。フェルスタッペンは無線で「ペナルティものだ」と不満を漏らしたが、スチュワードは調査対象とせず。その後の再戦ではフェルスタッペンが完全に攻略し、2番手へ浮上した。この間にもラッセルは着実にリードを築き、一時は5秒以上の差を確保してレースをコントロールしていた。戦略を狂わせたVSCレース中盤、サインツJr.のウィリアムズがメインストレートでストップしVSCが導入される。だが、その直前にピットへ飛び込んでいたアントネッリは"無料"のピットストップを逃してしまう最悪のタイミングとなった。メルセデスのピート・ボニントンからはブレーキバランスの異常を知らされ、「ブレーキがどうなっている?」と無線で確認する場面もあった。それでもアントネッリは徐々にペースを取り戻し、ルクレールを攻略して3番手へ浮上。優勝争いへ復帰していく。ラッセル対フェルスタッペン 最終決戦2度目のピットストップ後、レースは新たな局面を迎える。フェルスタッペンは新品ハードタイヤで猛烈な勢いを見せ、ラッセルとの差を8秒、6秒、4秒と次々に縮めていく。一方でラッセルはタイヤマネジメントを優先しながらも冷静にギャップをコントロール。「彼らがスティントを延ばせば僕たちが危険になる」と無線で戦略を分析する余裕も見せた。残り5周では差は3.7秒。さらに背後ではアントネッリも自己ベストを連発し、フェルスタッペンとの差を一気に削り始める。最後の1周は三つ巴の攻防ファイナルラップ。ラッセルはフェルスタッペンの追撃を受けながらも一度もミスを犯さない。その一方でフェルスタッペンはミラーいっぱいに映るアントネッリへの対応にも追われることとなる。チェッカーではラッセルが1.611秒差で逃げ切り優勝。そのわずか0.375秒後ろではアントネッリがフェルスタッペンのDRS圏内まで迫ったが、あと一歩届かなかった。トップ3がわずか2秒以内に並ぶ今季屈指のフィニッシュとなった。マクラーレンとフェラーリは明暗オスカー・ピアストリは安定したレース運びで4位を確保。一方、フェラーリはハミルトンが5位まで巻き返したものの、ルクレールはタイヤに苦しみ8位。無線では「このタイヤは最悪だ」と不満を漏らすなど、苦しい週末となった。レーシングブルズはアイザック・ハジャーが6位、リアム・ローソンが9位、アービッド・リンドブラッドが10位と3台すべてが存在感を示した。トラブル続出の下位勢ウィリアムズはサインツJr.が電気系トラブルでリタイア。アストンマーティンはランス・ストロールがERSトラブルで戦列を離れ、フェルナンド・アロンソはピットレーン速度違反による5秒加算も響き18位に終わった。キャデラック勢はさらに深刻で、セルジオ・ペレス、バルテリ・ボッタスともにブレーキのオーバーヒートで序盤リタイア。チームにとって厳しい一戦となった。ランキング争いは新たな局面へこの勝利でラッセルはドライバーズランキング2位へ返り咲き、タイトル争いへ再浮上した。しかしランキング首位のアントネッリも3位表彰台を獲得し、リードは40ポイントを維持。メルセデス勢がワン・スリー・フィニッシュを飾ったことで、タイトル争いは依然としてメルセデス勢が優位な構図となっている。F1はこのまま連戦となり、舞台は伝統のシルバーストンへ。次戦イギリスGPでは、勢いを取り戻したラッセルが地元優勝を狙う一方、フェルスタッペン、そしてランキング首位アントネッリとの三つ巴の戦いが再び注目を集めそうだ。
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