レッドブル・レーシングは4月17日、技術部門の組織改編を発表し、設計と車両性能の連携を強める新たな体制に移行した。近年は主要人物の離脱が相次いでおり、チームとしては技術リーダーシップの再構築を急ぐ局面に入っている。今回の変更では、ベン・ウォーターハウスが即日付で「チーフ・パフォーマンス&デザイン・エンジニア」に就任し、設計部門と車両性能部門を横断して統括する役割を担う。レッドブは、この再編によって部門間の統合を強め、競争力の高いソリューション開発を加速させる狙いだとしている。
相次ぐ離脱を受けた技術体制の再編レッドブルでは近年、組織の中核を担ってきた人物たちの離脱が続いていた。長年チームを率いてきたクリスチャン・ホーナーをはじめ、モータースポーツアドバイザーのヘルムート・マルコ、スポーティングディレクターのジョナサン・ウィートリー、チーフ・エンジニアリング・オフィサーのロブ・マーシャル、レース戦略責任者のウィル・コートネイ、チーフデザイナーのクレイグ・スキナーらがチームを去っている。さらに最近では、マックス・フェルスタッペンのレースエンジニアを務めてきたジャンピエロ・ランビアーゼも、契約満了となる2028年末でマクラーレンへ移籍することが決まった。こうした流れのなかで、今回の組織変更は単なる役職の入れ替えではなく、レッドブル・レーシングが次の時代に向けて技術部門の土台を組み直す動きと受け取れる。ウォーターハウスに設計と車両性能の統括権限新体制の柱となるのが、ベン・ウォーターハウスの役割拡大だ。ウォーターハウスは今後、設計と車両性能にまたがる「包括的な責任」を持つ立場となり、テクニカルディレクターのピエール・ワシェにレポートする。ウォーターハウスは2014年にBMWザウバーからレッドブル系組織に加わり、当初はトロロッソで副テクニカルディレクターを務めた。その後、2017年からはレッドブル・レーシングのパフォーマンスエンジニアリング責任者として活動しており、内部事情と現場運用の両方を理解する人材として重用されてきた。レッドブル・レーシングは今回の発表で、「この進化は、これらの領域の統合を強化し、競争力が高く高性能なソリューションの開発を加速させる」と説明している。設計とパフォーマンスをこれまで以上に密接に結びつけることで、開発の意思決定を速める意図がにじむ。フェラーリとレーシングブルズ経験者も新加入さらに7月1日からは、アンドレア・ランディがヘッド・オブ・パフォーマンスとしてチームに加わる。ランディはウォーターハウスの直属となり、実務面でのパフォーマンス部門を担う形となる。ランディはこれまでフェラーリで副ヘッド・オブ・ビークル・パフォーマンスを務めたほか、レーシングブルズでは副テクニカルディレクターも歴任してきた。異なるチームで積んだ経験を持つ人材を招き入れることで、レッドブルは社内昇格だけでなく外部からの知見も取り込もうとしている。チームは今回の変更について、「これらの変更はチームの長期的な技術的野心を支えるものであり、内部人材の育成を続けながら、スポーツ界全体から優れた専門性を引きつける姿勢を反映している」と強調した。レッドブル・レーシングが示した“次の技術組織”の方向性今回の発表で明確になったのは、レッドブル・レーシングが離脱者の穴を単純に埋めるのではなく、組織構造そのものを見直しながら再構築を進めていることだ。ウォーターハウスの権限拡大は、設計と車両性能をより一体化させる象徴的な人事と言える。同時に、ランディの加入は外部の経験を取り込みながら技術部門の厚みを増す狙いを示している。主要人物の退任が続いたあとでも、レッドブル・レーシングが技術力の低下を避け、次の競争局面に備えようとしている姿勢が今回の組織改編には表れている。