レッドブルのテクニカルディレクターであるエイドリアン・ニューウェイが、自らデザインしたレッドブル RB4のここまでの戦いを評価した。すでに開幕5戦が終了しましたが、これまでの進捗状況をどのように評価しますか?「シーズンの四分の一を終えた今このポジションにいるということには満足して良いだろう。接戦の戦いになってきているが、昨年と比べると上位に近づいている。ポールポジションやレース優勝者のタイムと我々のラップタイムを比較すると分かるだろう。トップ3チームの後ろは厳しい接戦の戦いで、Q2では8位から14位まで...
予定以上にRB4の開発に力を入れている点はありますか?「クルマは期待通りに仕上がっているので、全体的には満足している。トラクションの点で少し苦しんでいる部分もあるが、原因究明の作業に取り組んでいる最中だ。それ以外のパッケージ全体のパフォーマンスは期待通りだと言える。空力面も狙い通りだ。昨年は風洞テストの数値とコースでの数値の違いに苦しまされたが、今年はその点でも昨年よりも良い結果が出ている。まだいくらか数値に差があり、これは解決したいと思っているが、昨年ほど著しいものではない」次のモナコとカナダは特別な取り組みが必要になると思いますが、この2戦のためにクルマに加えた変更は?「もちろんモナコは高ダウンフォースのサーキットなので、ダウンフォースの高いリヤウイングとのバランスを取るための新しいフロントウイングを今週末は投入する。まだダウンフォースを最大にして走らせてはいないが、リヤウイングはすでに投入しているものだ。カナダは今年すでに経験している低ダウンフォースのサーキットなので、トルコで使ったフロントウイングを調整したものを用いる。この程度のスペック変更は通常の範囲内だが、その他にモナコは先週のポールリカールのテストで評価を行った改良型サスペンション・パッケージなど、新しい空力及びメカニカル・パーツを用意している。そのいくつかは、すでに話したトラクションの問題を解決するためのものだ。モナコはブレーキ・キャリパーの冷却システムにもかなり負担が大きいレースだ。ブレーキの冷却自体には問題がないのに、何度となく軽くブレーキを踏むのでキャリパーが高い熱を帯びるという不思議なサーキットなんだ。他のカギとなる要素は、アンジュレーションが特徴的なサーキットなので、クルマのメカニカル・セットアップが重要となる点だ」わずかなミスがバリヤへの衝突を引き起こしたりするサーキットですし、週末雨が降る可能性もあります。トラクションコントロールなしのクルマでドライバーはこのようなコンディションに対応しなければならないわけですが、何か対策はありますか?「トラクションコントロールがないことを補うには、クルマの様々な領域における開発作業が必要だ。まずはエンジンマッピングだ。エンジンのドライバビリティを最大限に引き出すために、どのエンジンメーカーもこの作業に取り組んでいる。最終的にはシャシーの性能もエンジンの出力に影響を受けるので、我々も無関係ではない。次に重要なのは、基本的なハンドリングという意味でドライバーに優しいクルマにするということ。これは、サスペンションと空力次第だ。トラクションコントロールが無くなったことばかりが注目されているが、実際は電子制御ドライバー補助システムが禁止になった。代表的なのはコーナー出口のエンジン・パワーを制御するシステムだが、以前はコーナーのエントリーの安定性をコントロールするためにエンジンを補助的に使っていたというのも同じように重要なポイントだ。どのチームもリヤホイールにABSを使っていたので、リヤホイールがロックアップし始めると、それを止めるためにエンジンが加速した。コーナーのエントリー・ステージではそれがある程度継続したが、もうこれもない。以前は電子制御できたことをカバーするためにシャシーがより重要視されている」モナコの週末を楽しみにしていますか?「誰だってモナコは楽しみだと思う。特別な場所だからね。他とは異なるだけに、期待も大きくなるんだよ」
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