マクラーレンF1のCEOであるザク・ブラウンは、これまでもレッドブル・レーシングとレーシングブルズの関係性について、公平性の観点から疑問を呈してきた。両チームはいずれもオーストリアのエナジードリンク企業が所有し、ドライバー育成から技術、人材面に至るまで密接なつながりを持つ構造が続いている。レッドブルのドライバープログラム出身者は、まずレーシングブルズでF1キャリアをスタートさせ、結果次第でトップチーム昇格を目指す流れが定着してきた。
2025年には、ファエンツァを拠点とするレーシングブルズからローラン・メキースが離れ、クリスチャン・ホーナーの後任としてレッドブルの要職に就いたことも象徴的な出来事だった。両チームはかつて異なるパワーユニットを使用していたが、2019年から2025年にかけてはともにホンダ製パワーユニットを搭載。2026年からは、レーシングブルズがレッドブル・パワートレインズの最初の“カスタマー”となり、技術的な結びつきはさらに強まる。40人規模のスタッフ移動が示す一体運営の実態FIAの規則では、レッドブルとレーシングブルズは独立したチームとして運営されなければならない。しかし、舞台裏で起きている動きは「一つの巨大組織」を想起させるものだ。イタリアの専門メディアによれば、2026年シーズンを前に両チーム間で継続的な人材移動が行われており、すでに40人のスタッフが相互に移籍しているという。マーケティング部門だけでなく、エンジニアリング分野の重要人物も含まれている点は、ライバルチームにとって看過できない。FIAは現時点で両チームを「規則順守」と判断しており、大規模な人材交換そのものを明確に禁止する条文も存在しない。それでも、競技上の公平性という観点からは、ブラウンが統括団体であるFIAに問題提起する余地は十分にある。“Bチーム”構造がもたらす優位性ブラウンは以前から、レーシングブルズをレッドブルの「Bチーム」と位置づけ、この構造がF1の競技的完全性を損なっていると主張してきた。実質的に4台分の情報と人材が共有される体制は、他チームにはないアドバンテージとなる。2025年にホーナーが更迭された際、メキースがガーデニングリーブなしで即座に後任に就いた事例は、その柔軟性を如実に示している。レーシングブルズの価値と他陣営との対比レッドブルは昨年、レーシングブルズ売却に関する約17億ポンド規模のオファーを拒否したと報じられている。2005年に旧ミナルディを約2600万ポンドで買収したことを考えれば、これはレッドブルにとって最良の投資の一つだったと言える。一方で、フェラーリは当時ミナルディ買収の機会を見送った。現在はハースF1チームとの技術提携を進め、2026年には新規参戦のキャデラックF1へパワーユニットを供給するが、レッドブル陣営ほど包括的な人材共有体制は持たない。レッドブルとレーシングブルズの関係は、規則上は合法でも、競技の公正さという根源的な問題を突きつけている。だからこそ、ザク・ブラウンがFIAに正式な問題提起を行い、将来的な規則整備を求めるべきだという声が高まっている。
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