レッドブル・レーシングのヘルムート・マルコとチーム代表ローラン・メキースは、2026年のドライバーラインアップ決定を当初の計画から延期し、アブダビGP前後に発表する方針であることを明らかにした。チームは現在、マックス・フェルスタッペンのタイトル争いに全力を注いでおり、ドライバー人事は一時的に保留される形となる。
マルコは英オートスポーツ誌に対し「我々はまずチャンピオンシップに集中したい。だから決定をシーズン終了まで延期した」と語り、「発表は最終戦後ではないが、アブダビ前後になる」と説明した。「急ぐ理由はない」──メキースが説明メキースも「発表はアブダビGP前になる」としつつ、「判断にはもう少し時間をかけることにした。角田裕毅は前進しているし、他の若手(アイザック・ハジャー、リアム・ローソン)も進歩している。焦る必要はない」と述べた。レッドブルが急がない理由は、関係する全ドライバーが依然としてレッドブル・グループの契約下にあり、必要に応じて柔軟に入れ替えが可能だからだ。関係者によると、ドライバーたちにはすでに決定延期が伝えられ、引き続き協力を求められているという。メキースは「もちろん皆すぐに決めてほしいと思っているだろう。しかし我々は時間をかける。彼らにはできるだけ多くの機会を与え、コース上で実力を示してもらう」と説明した。リンドブラッド、FP1で好印象を残す決定の候補には、角田裕毅とレーシングブルズの2人(ハジャー、ローソン)に加え、F2ドライバーのアービッド・リンドブラッドも含まれる。メキシコGPのFP1でフェルスタッペンのマシン(RB21)をドライブしたリンドブラッドについて、メキースは次のように評価した。「彼は本当に素晴らしい仕事をした。FP1であれだけ冷静に、しかも限られた周回数で正確なフィードバックを出せたのは立派だ。何も壊さなかったしね!」と笑いながら語った。フェルスタッペン側のガレージはこれでルーキー走行義務を果たしたが、角田裕毅はまだ1回残っており、リンドブラッドが再びその候補となっている。年末のアブダビで行われるヤングドライバーテストでも彼に走行機会が与えられる見込みだ。2つの椅子はすでに固まりつつあるマルコとメキースは「複数の決定が残っている」と繰り返しているが、舞台裏では構図が明確になりつつある。ハジャーがフェルスタッペンのチームメイトとしてレッドブル昇格に最有力で、ほぼ確定的と見られている。リンドブラッドもレーシングブルズ昇格の筆頭候補だ。F2での成績こそ平凡だが、レッドブル首脳陣はF2の評価が「エンジン性能に左右されやすい」として、むしろF1での実走を重視している。これまでのリンドブラッドの走行は高く評価されており、昇格の流れは揺るぎない。こうした流れの中で、実質的に1つの枠だけが未定となっている。角田裕毅とローソンがそのポジションを争っており、最終的な判断は今後のパフォーマンスと、ホンダがどの程度支援を続けるかにも左右される見通しだ。アブダビ決戦まで続く“静かなデュエル”レッドブルが決断を先送りしたことは、角田裕毅とローソンの双方にとって「最後のアピール期間」が延長されたことを意味する。角田はここ数戦で安定したパフォーマンスとチーム貢献を見せており、経験値と成熟度で優位。一方のローソンは冷静かつ堅実な走りで評価を維持している。残る3戦では、チームの戦略理解力・タイヤマネジメント・レースクラフトなど、総合力が問われる。特にローラン・メキースが「トラック上で証明してほしい」と明言したように、実績よりも“今”の走りが決め手になる。アブダビGP前後──タイトル争いの決着とともに、レッドブルの2026年体制もいよいよ形を現すことになるだろう。
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