レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーが、マックス・フェルスタッペンのスペイングランプリ終盤のピットストップについて、戦略面の狙いと結果的な失敗の背景を詳細に語った。レース序盤、フェルスタッペンはランド・ノリスの出遅れを突いてマクラーレン勢の間に割って入り2番手を走行。しかし12周目にはノリスに抜かれ、ポジションを失う。
レッドブルはこの段階でピットインを決断し、マクラーレンが即座に反応しなかったことでアンダーカットに成功。フェルスタッペンは首位に浮上する。その後30周目に2度目のピットストップを行ったことで、マクラーレン勢より1回多い3ストップ戦略をとることが事実上決定づけられた。フェルスタッペンは48周目のピットアウト後にノリスのDRS圏内に迫ったものの、ペースを維持することができなかった。ホーナーはこの戦略について、次のように説明している。「レース展開を見たうえで、私たちは3ストップに切り替えることを早めに決断した。マクラーレンと純粋な力比べをしてもタイヤの面でもスピードの面でも勝ち目がないと分かっていたからだ」「たしか12周目に1回目のストップ、そして28~29周目に2回目のストップを行ったと思う。その時点でマクラーレンは2ストップにコミットしていた」「彼らは私たちに対してリアクションを取らず、私たちは3ストップに突き進んだ。その時点では、そのほうが速い戦略だったと思う」「ただし問題は、我々のタイヤの持ちが十分ではなかったこと、そしてマクラーレンのミドルスティントが特に強力だったことだ」「唯一可能性があったのは、最後のスティントでマックスがソフトタイヤでアンダーカットを仕掛けることだったが、マクラーレンはノリスとピアストリの両方でそれに対応してきた」レース終盤、フェルスタッペンを襲った戦略的苦境11周を残したところで導入されたセーフティカーが、レッドブルの戦略を大きく狂わせた。3ストップを選択していたことで、フェルスタッペンに残されたのは新品のハードタイヤしかなく、リスタート後に大きな不利を被ることになった。この結果、彼はジョージ・ラッセルとの接触を招き、10秒ペナルティを科されることになった。ホーナーはこのタイヤ選択について、次のように説明する。「54周目にセーフティカーが出たのは、戦略的には最悪のタイミングだった」「我々は選択を迫られた。すでに8周使ったソフトタイヤでそのまま行くのか、それとも残っている唯一の新品ハードに交換するのか」「その時点で、再開後には10周程度のレースが残ると見込んでいた。酷使されたソフトでは再スタートであっという間に抜かれてしまうだろうと考えた」「そこで、我々が持っていた唯一の新品ハードを選んだ。それがベストな選択だと判断した」「それまでの展開はすべて順調だった。ピットストップも良かったし、戦略も間違っていなかった」「しかし、あのタイミングでセーフティカーが出てしまった。周囲が新品タイヤを入れるのは明らかだったし、私たちだけが使い古しのソフトで残るのは避けたかった」「残っていたのは、新品のハード。しかもそれがどの程度の性能か、明確なデータはなかった」「今思えば…」と語るも、当時は最善判断と主張「今振り返ってみれば、彼をピットに入れずにそのまま残すべきだったかもしれない」「そうすればマクラーレンの2台には抜かれただろう。でもルクレールにも抜かれたかどうかは分からない。それはすべて仮定の話だ」「その時点で手元にある情報をもとに、我々は判断した」「3ストップ戦略を選んだ時点で、終盤にセーフティカーが出たらリスクがあることは分かっていた。その通りの展開になった」「新品のハードか、8周使ったソフトか。酷使されたソフトで残るのが正解だったのかは今となっては分からない。残れば3位だったか4位だったか…それも分からない」「我々にできるのは、持っている情報でベストを尽くすことだけだ」
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