レッドブル・ホンダF1は、先週末のF1トルコGPで新たなアップデートを投入。Formula1.com でマーク・ヒューズが解説した。今シーズンはほぼ終了し、両方のタイトルをメルセデスが獲得した。しかし、レッドブル・ホンダは、F1トルコGPでの新しいアップグレードでマシンからさらにパフォーマンスを引き出そうとする努力をやめていない。
イスタンブール・パークで確認された2つの小さな変更は、シーズン終盤でもレッドブル・ホンダが、非常に洗練されているものの、時折気難しさを見せるRB16からフルにポテンシャルを引き出すために未だに全力で取り組んでいることを示している。レッドブル・ホンダが今年のRB16で初めて導入したノーズケープは、メルセデスが発明したデバイス。フロントウイングからの渦流を操作するためのノーズ前面下にスロットを付けたくさび形のパーツであり、アンダーフロアに送る気流を加速させる。これは強力なデバイスになり得るが、レッドブル・ホンダは一貫性を持たせるのに明らかに苦労している。特にシーズン序盤のマシンは、低速コーナーでは非常に速かったが、グリップが変動するように見えた。そのため、マックス・フェルスタッペンとアレクサンダー・・アルボンは、リアグリップが突然失われることに対処しようとして何度もスピンしていた。低速ではステアリング角が大きく、レッドブル・ホンダのようにハイレーキのマシンでは特にリアの車高が高くなるため、気流が非常に失速しやすくなり、アンダーフロアのパフォーマンスが一貫していないように見えた。レッドブル・ホンダは、フロントウイング、ケープ、バージボード・ベーンからの各種の渦流で生成されるアンダーボディへの気流を低速でさらに安定させ、失速しにくくすることに取り組んできた。F1トルコでは、ノーズの両側にひとつずつスロットがあるツインスロットのケープを導入した。ノーズ両側にひとつずつスロットがあるツインスロットの新ケープこれらのスロットは、バージボードベーンに向かう気流の向きを変えるケープの一部の効果を奪うが、その気流の一部をメインアンダーフロアに向けて放出する。こうすることで、低速でも、一貫性のないリアグリップを生じさせる突然の失速なしに以前よりも気流を付着させることを狙っている。もうひとつの小さな変更はマシン後部のエキゾースト周りに加えられた。ケープスロットで生じる新たなアンダーフロア気流と関連しているのかもしれない。下図では、左側はトルコ前の配置、右側はトルコで導入された新しい配置を示す。左側はトルコ前の配置、右側はトルコで導入された新しい配置ウェイストゲートの排気口の位置は主要エキゾーストの上から下に変更(1)され、リアサスペンションの上部ウィッシュボーンの下に配置されている。ターボ内のウェイストゲートはタービンの回転速度を制御する。常に作動しているわけではないが、メインのエキゾーストと同様に空力に影響を与える。エアロダイナミシストは、ディフューザーから排出させる上向きのウオッシュ気流を、リアウイングの下に向かう気流とつなげようとしている。リアウイングに到達する気流が多くなればなるほど、ウイングの上面と下面の間の圧力差が大きくなり、生成されるダウンフォースも大きくなる。MGU-Hモーターは、アクセルを踏んでいないときにアンチラグデバイスとしてタービンを回すために利用することができるが、ウェイストゲートに少量のガスを流して、空力に影響を及ぼすこともできる。その位置が変わったことで、エンジンカバーのボディワークはさらに下に伸ばされた(2)。これらの組み合わせにより、エキゾースト周囲の気流をリアウイングに向けるのではなく、さらに下に向かわせ、ディフューザーから出てくる気流を活性化させる効果があるようだ。アンダーフロアの気流は遅くなるが、車高が最も高くなる低速においてより活性化された気流により、ディフューザーを失速しにくくする。ディフューザー中心部が熱偏向材料を備えていることも(3)も、この下向き気流の再編成を裏付けるとなるだろう。