レッドブルF1のモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、2021年のF1ドライバーとしてジュニアドライバーの起用を検討することをほのめかしたメルセデスF1のチーム代表トト・ヴォルフを嘲笑した。先週、4回のF1ワールドチャンピオンであるセバスチャン・ベッテルが2020年シーズン限りでフェラーリF1を離脱することを発表。ベッテルにとって2021年の唯一の競争力のある移籍先としてメルセデスF1への加入が噂されている。
メルセデスのF1チーム代表を務めるトト・ヴォルフは、セバスチャン・ベッテルがチームに加入する可能性を否定はしていない。「もちろん、ドイツのマシンにドイツ人ドライバーが乗ることはマーケティング的に良いストーリーだ。しかしながら、メルセデスで我々は純粋に成功に焦点を合わせている。もちろんセバスチャンは本当に優れたドライバーだがね」と語ったトト・ヴォルフは、現行ドライバーであるルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタスの継続に次に優先するのは同チームのジュニアドライバーであることを示唆した。「それからもちろんジュニアの問題がある。レッドブルは(マックス)フェルスタッペン、フェラーリは(シャルル)ルクレール、マクラーレンは(ランド)ノリス、ルノーは(エステバン)オコンとあらゆるチームが、将来、新世代のスターに所属する可能性のあるジュニアに契約している。だからこそ、我々はジョージ・ラッセルと一緒に何をしていくかを自問している。もちろん、ベッテルのオプションも検討中だ。しかし、我々はまずは現在のドライバーに集中したいので、それは現時点では第一の議題ではない」だが、メルセデスが10年前にワークスチームとしてF1に復帰して以降、起用したドライバーはミハエル・シューマッハ、ニコ・ロズベルグ、ルイス・ハミルトン、そして、2017年に加入したバルテリ・ボッタスの4名だけ。チームの安定性と一貫性は称賛できるものの、彼らはメルセデスのジュニアプログラムを通過していない。これまでメルセデスはジュニアドライバーのパスカル・ウェーレイン、エステバン・オコン、ジョージ・ラッセルをF1に導いた。しかし、パスカル・ウェーレインはF1で2シーズンしか続かず、エステバン・オコンは昨年にバルテリ・ボッタスとの交代が報じられたものの、最終的にメルセデスはボッタスを選択。F1シートを失ったオコンは1年間リザーブドライバーとしてレースをせずに過ごした後、今年からルノーF1チームに移籍した。ジョージ・ラッセルは、グリッドで最も遅いウィリアムズと2021年まで契約を結んでいる。ラッセルはメルセデスF1への昇格を熱望しているが、最終的にそれはチームの判断となる。ヘルムート・マルコは、トト・ヴォルフのこの発言を嘲笑。レッドブルはジュニアドライバーをトロロッソで育成してトップチームに送り込んできた実績がある。「トトが彼ら自身の若手ドライバーも検討すると言っているのはおかしいなことだ。今までメルセデスのジュニアがファーストチームのコックピットに到達したことがない」とヘルムート・マルコはコメント。「もちろん、まだそれが実現する可能性はあるが、当分の間は起こりそうもない」一方、レッドブルは、かつてのドライバーであるセバスチャン・ベッテルに対して復帰のドアを閉ざしている。その理由として、財政面、そして、マックス・フェルスタッペンのナンバー1体制を敷いているチームに2人のアルファドライバーは必要としていないことを挙げている。