レッドブル・ホンダの2020年F1マシン『RB16』は、久々にエイドリアン・ニューウェイの手腕が随所に光るアプローチがとられている。特に“鼻孔”を含めた巧妙なトリックが詰め込まれた細いノーズをはじめとするフロント周りは革新的だと言える。しかし、細かく画像を調べると見落とせないウイングがある。エアボックスの下に備えられた水平のウイングだ。黄色にペインとされた水平ウイングはコックピット両側に1つずつ、2つの盛り上がったエッジがつけられている。
2つのウイングの相互作用により、可能な限り空気を効率的にリアウイングを導くことを狙ったものと考えられるが、過去のF1マシンで同様のウイングが見られたことはない。一方、フェラーリは、SF1000でエアボックス横に垂直のウイングを搭載しているが、レッドブルに比べるとボディワークの高い位置に搭載されている。これはBMWザウバーの2008年マシン『F1.08』で見られた“バイキング・ウイング”を連想させる。2020年のF1レギュレーションは昨年と変わらないが、デザイナーは新しい抜け穴を見つけたようだ。