レッドブル RB5が満を持して登場した。レッドブルは、他チームよりギリギリまで設計に時間をかける戦略をとった。エイドリアン・ニューウェイによりデザインされたRB5は、ニューウェイらしい大胆なデザインが特徴だ。RB5は、マシン全体の面積を最小限に抑えて重心を低く抑えることで、縮小されたディフューザへの気流に重点を置いて設計されているように思われる。
RB5は、フロントウイングから非常に複雑な形状を採用している。基本的にメインプレートは、2段にスリッドが入れられ、3つのエレメントで構成されたデザインとなっている。その上に、エンドプレートから2つに分割されたフラップが装着され、部分的に可変する仕組みとなっている。エンドプレートは、外側に湾曲しフロントタイヤ周りの気流を整える。 細いノーズは、トヨタTF109のように高い位置に設定されるが、RB5はノーズ先端が長く前方に伸びている。丸みを帯びた形状が美しい。ノーズ上部の処理は非常に特徴的。中央部がえぐられ、両端が張り出した形状となっている。ある種ホーンウイング的な処理を狙っているように感じられる。ノーズ下部は、美しい曲線で絞り込まれ、後方にはゴルフクラブのヘッドのようなツールが装着されているが、これはデータ収集用のセンサーとのこと。ステアリングアームは、上下のウィッシュボーンの間に設置されている。 サイドポッドは、フェラーリF60のように前方を短くし、大型のポッドウイングとタニングベーンが装着される。サイドミラーは、サイドポッドに脚部を取り付け設置。RB4でも初期にこの形を採用したが、その後コックピット脇に移動された。吸気口は広く高い形状。これは冷却よりも整流を重視した形状といえる。マシン後半は、どこかマクラーレンを連想させるデザイン。サイドポッド自体は非常に小さく、後方に向かって低く細く絞り込まれ、リアホイールとの間のスペースを最大化している。下部にアンダーカットは施されず、その代わりに床面がリアタイヤ周囲に広げられている。 インダクションボックス下部には、マクラーレンのように下部に2本の支柱が設置される。エンジンカバーにシャークフィンは採用されていないが、後部が極端に落ち込んだ独特の形状を採用している。エンジンカバーの両側には、熱気を逃すための取りはずし可能な2枚のパネルがある。1枚はエンジンカバーの先端近くにあり、もう1枚は排気管上のペイントされていない部分にある。RB5のリア部分はかなりコンパクトにまとめられており、リアダンパーにはプルロッドのような解釈が用いられている。アームは、ホイールからエンジンとギアボックスに向けて下向きに通してあり、マシンの重心を低く抑えている。 ディフューザ形状は、上向きに傾斜しており、トヨタと同様の解釈といえる。ビームウイングは、上部ウィッシュボーンの巧妙な形状により補強され、完全にギアボックスの上に位置している。こうすることにより合法的なウイングレットとなり、ビームウイングに対する気流を改善できる。リアウイングにも独自の解釈がみられ、エンドプレートはディフューザの高さまで延長されている。主要諸元表:レッドブル RB5
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