レッドブル・レーシングとマックス・フェルスタッペンは、タイトル最終決戦となるアブダビGPで姉妹チームのレーシングブルズからの“援護”を期待すべきではない──そう強調したのは、レーシングブルズのCEOピーター・バイエルだ。フェルスタッペンは現在、ランキング首位ランド・ノリスに対して12ポイント差を追う立場。勝利しても、ノリスが3位以内に入れば逆転は成立しない状況となっており、本人にもチームにも“奇跡”が求められる最終戦だ。
レーシングブルズは「完全に自分たちの戦いに集中」噂として浮上しがちなのは、同じレッドブル傘下であるレーシングブルズ(アイザック・ハジャーとリアム・ローソンが所属)が、タイトル争いでビッグブラザーを支援するのではないかという点だ。しかし、ピーター・バイエルはSky Sport Deutschlandの取材に対し、こうした疑念を明確に否定した。「まったくない。我々には我々の心配事がある。アストンマーティンが12ポイント差まで迫っている」と、バイエルはコンストラクターズ6位争いを最優先事項として強調した。「誰もタイトル争いに干渉したくはない」番組に同席していたラルフ・シューマッハも議論に加わり、「もちろん互いにぶつかったりはしない。それは誰だってしない。タイトル争いに介入したくないのは当然だ。考えてみてほしい──チャンピオンシップリーダーを弾き飛ばすなんて正気の沙汰じゃない」と述べた。ここでバイエルは、2021年のアブダビGP終盤でのニコラス・ラティフィのクラッシュを引き合いに出す。「ラティフィのことはいつも頭に浮かぶ。あの件は何年経っても語られる」とバイエル。あのレースでのクラッシュはセーフティカー導入を招き、最終1周でフェルスタッペンがルイス・ハミルトンを逆転するという歴史的展開を生んだ。同時に、ラティフィ本人や当時のレースディレクター、マイケル・マシには激しい批判や脅迫が寄せられる事態にもなった。「マックスを応援はするが、協力関係はない」バイエルは最後に次のように締めくくった。「我々は皆、スポーツマンであり、ライバルであり、レーサーだ。誰もが自分と自分のチームのために最善を尽くしたい。もちろん、マックスのことを嬉しく思うし、応援もしている──それは正直に言う。しかし、協力関係やそれに類するものは一切ない」レーシングブルズは“独立した戦い”に集中する姿勢を崩さず、アブダビでの決着を迎えるフェルスタッペンのタイトル挑戦は、あくまでレッドブル・レーシング単独での戦いとなる。