レーシングブルズは2026年シーズンに向け、リアム・ローソンとアービッド・リンドブラッドという“育成の核”となる2名を起用する判断を下した。リンドブラッドはF2からの大抜擢、ローソンは2025年に波のあるパフォーマンスを見せながらも高い潜在能力を評価され、残留を勝ち取った。両者を選んだ背景には、角田裕毅との争いがあった。初期段階では角田が有力と見られていたが、最終的にローソンが僅差の評価を制したとされる。
チーム代表アラン・パーメインは、F1.comに対してこのラインナップの狙いを語り、リンドブラッドの昇格を後押しした「メキシコFP1での走り」や、ローソンが持つ「高いピークの再現性を引き出すための課題」について詳細に説明した。リンドブラッド起用の決め手は「メキシコFP1の衝撃」レッドブルとレーシングブルズは2026年に向け、アービッド・リンドブラッドを18歳で昇格させる決断を下した。パーメインによると、もっとも強い印象を残したのはメキシコでのFP1走行だった。パーメインは次のように語る。「彼はメキシコのFP1で非常に優れた走りを見せた。とても速く、レッドブルもレーシングブルズもあの走行には強く感心していた。彼の昇格に至るまでには多くの要素があるが、あのパフォーマンスは特に大きかった」パーメインはリンドブラッドについて「フィードバックが良く、知的で、会話をすればすぐにそれが分かる」と評価する。「余力を持って走れるドライバーというのは常に武器だ」とも述べ、若いルーキーがF1に適応できるだけの“処理能力”を備えていると確信している。ローソン vs 角田裕毅──残留を勝ち取った理由リンドブラッド昇格により残り1席となったレーシングブルズでは、リアム・ローソンと角田裕毅の争いが起きた。初期の段階では角田裕毅が有力と見られていたが、最終的に選ばれたのはローソンだった。今季は序盤こそ不安定だったローソンだが、バクー5位、オーストリア6位、オースティンのスプリント/決勝で連続7位と「高いピーク」を示したことが大きかった。パーメインはこう語る。「リアムは才能がある。本当に才能があるんだ。我々の使命は、準備が整った時に彼が発揮できるレベルに安定して到達させることだ」特に難しい状況での強さを評価しているという。「今年もっとも厳しかった状況──ラスベガス予選やバクー予選のような場面で、彼は素晴らしいパフォーマンスを見せた。強力なレースも何度もある。彼がそれを毎回のように発揮できれば、非常に優れたF1ドライバーになる」ローソンは週末の立て直し能力も向上していると指摘する。カタールでは金曜の不調を引きずることなく土曜に改善し、日曜のレースでは“フリーエアのラップタイムで前方3〜4台を上回った”と述べ、潜在的な速さは十分だと強調した。ローソンの存在がリンドブラッドの助けに2026年は車体・パワーユニットともに大幅レギュレーション変更となるが、パーメインは「継続性は本当に助けになる」と語り、ローソン続投が新体制に安定をもたらすと説明する。また、ローソンにはリンドブラッドの“メンター役”を求めてはいないが、経験値によるサポートを期待しているという。「彼には1年半のF1経験がある。アービッドが困難な状況に直面した時、特に序盤のテストやシーズン初期に、助けになるだろう」ハジャー昇格に“誇り”──レーシングブルズの存在意義2025年にF1で10回のポイント獲得とザントフォールト表彰台を達成したアイザック・ハジャーは、2026年にレッドブルへ昇格する。パーメインはこれを「非常に誇らしい」と語る。「我々は才能のインキュベーターでありたい。ドライバーだけでなくエンジニアリング面でも同じだ。ハジャーがレッドブル・レーシングへ進むというのは、彼らが十分な実力を認めたということ。心から成功を願っている」リンドブラッド×ローソン体制の狙い──“育成と即戦力”の両立こうして決まった2026年のラインナップは、・高いピークと改善能力を持つローソン(即戦力)・急速に伸び、処理能力の高いリンドブラッド(未来の主力)という構図となる。リンドブラッドの早期昇格はリスクも伴うが、メキシコのFP1で示した即戦性と、マルコら首脳陣の強い後押しが決断を後押しした。一方でローソンは“波を抑え、ピークを平均値に引き上げる”ことが鍵となる。2026年の激動レギュレーション下で、この“経験×才能”の組み合わせがどのような成果を上げるか。レーシングブルズは来季も育成チームとしての役割を果たしつつ、競争力向上を狙っていく。
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