2007年のF1ワールドチャンピオン、キミ・ライコネンがF1パドックを離れてから数年が経つが、その闘争心はいまも健在だ。現在は“ライコネン家の次世代ドライバー”として注目を集める10歳の息子ロビンを支える父親として、サーキットで再び工具を握っている。イタリア・ジェゾロのピスタ・アズーラで開催されたカートレースでは、ロビンが見事な走りを披露し、堂々の表彰台フィニッシュ。
ピットでは、元フェラーリのエースであるキミがクールな表情でマシンセッティングを調整しながら、息子の走りを見守る姿が印象的だった。「セットアップを詰めるのも、アドバイスするのも全部自分でやる。アドバイスはいつも同じ、“もっと速く行け”だけさ」と、キミ・ライコネンらしい無駄のない一言で語る。F1引退後も“レース脳”は健在──ライコネン流の次世代育成ライコネンは現役時代から“無口で実直”というイメージが強かったが、そのストイックな姿勢は今も変わらない。ロビンのためにマシンの整備やデータ分析まで自ら行い、父として、そして元世界王者として、レース現場での経験を惜しみなく注ぎ込んでいる。彼が選んだ“親子二人三脚”の育成スタイルは、かつてのF1チームで培った冷静な判断力と、妥協を許さないメカニカルなこだわりの融合だ。まだ10歳ながら結果を残し始めたロビンの走りには、すでに父譲りの落ち着きとスピード感が見える。静かに、しかし確実に──“アイスマン”の血を継ぐ新たなレーサーが、次の世代へと走り出している。