2021年 第20戦 F1カタールGP 決勝でのタイヤ戦略をF1公式タイヤサプライヤーのピレリが解説した。メルセデスのルイス・ハミルトンが、初開催となるカタールグランプリで優勝した。ポールポジションからC2コンパウンドのP Zeroイエロー・ミディアムタイヤでスタートしたハミルトンは、C1コンパウンドのP Zeroホワイト・ハードタイヤへ交換し、その後再度ミディアムタイヤへと繋いだ。この戦略は、最速戦略として予測されていたものだった。
レッドブルのマックス・フェルスタッペンが2位でフィニッシュした。ハミルトンと同様の戦略を採っていたフェルスタッペンは、バーチャルセーフティーカーが導入された終盤にC3コンパウンドのP Zeroレッド・ソフトタイヤへ交換し、ファステストラップポイントを獲得した。30秒以上差がついた3位には、アルピーヌのフェルナンド・アロンソが入った。3番グリッドからソフトタイヤでスタートしたアロンソは、ハードへ交換する1ストップ戦略で表彰台を獲得した。トップ3ドライバーが、それぞれ異なる戦略を実行した。スタート時の装着タイヤはミディアムとソフトが入り混じり、タイヤ戦略は1ストップから3ストップまでが展開された。スタート時の気温27度、路面温度30度前後のコンディションは、レースを通して継続した。4名のドライバー(バルテリ・ボッタス、ジョージ・ラッセル、ランド・ノリス、ニコラス・ラティフィ)が、左フロントタイヤのパンクに見舞われた。この問題は、激しい摩耗に加え、非常にアグレッシブなロサイルサーキットの縁石へ高速で接触したことによって発生した可能性がある。■各コンパウンドのパフォーマンス【ハードC1】多くのドライバーが第2スティントで使用した。デグラデーションは低く、予測どおりの性能を発揮し、1ストッパーの戦略に貢献した。【ミディアムC2】ハミルトンとフェルスタッペンを含むトップ10グリッド中の4名がミディアムでスタートした。ミディアムでのスタートはベストな戦略を可能にした。一方、1ストッパーにとっては、予測よりも長いスティントの走行を必要とした。【ソフトC3】予測どおり、ロサイルの厳しいコンディションにおいて、高いデグラデーションと摩耗が見られた。しかしながら、タイヤ選択が自由な11番グリッド以降のドライバー中の半数が、序盤でのアドバンテージを狙ってソフトでスタートした。特に、ともにトップ5に入賞したアルピーヌの両ドライバーは、ソフトタイヤをマネジメントして長いオープニングスティントを走行した。マリオ・イゾラ(ピレリF1およびカーレーシング責任者)「高負荷のコーナーが存在するロサイル・インターナショナル・サーキットは、初開催で未知の要素も多いことから、各チームは、レースと同条件のフリー走行を1度経験したのみで、理想的な情報が不足する状態でレースに臨みました。しかし、1ストッパーは摩耗に関してぎりぎりの戦略であり、高いレベルのマネジメントを要することがレース中に明確になりました。終盤、数名のドライバーがタイヤの問題に遭遇しました。この問題は、長いスティントに伴う高い摩耗と、アグレッシブな縁石への高速での接触によって発生した可能性がありますが、詳細はミラノの研究所で分析を行います。ハミルトンとフェルスタッペンは、選択した戦略で限界までプッシュし、1ストップ戦略で3位を獲得したアロンソに30秒以上の差をつけてフィニッシュしました」
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