2021年のF1世界選手権 第3戦 F1ポルトガルGP 決勝でのタイヤ戦略をF1公式タイヤサプライヤーのピレリが解説した。メルセデスのルイス・ハミルトンが、2位に約30秒の差をつけてポルトガルグランプリを制した。2番グリッドからスタートしたハミルトンは、37周目にP Zeroイエロー・ミディアムからP Zeroホワイト・ハードへ交換する1ストップ戦略を採った。
2位を獲得したレッドブルのマックス・フェルスタッペンと、3位でフィニッシュしたメルセデスのバルテリ・ボッタスは、ハミルトンと同様の戦略で走行していが、レース終盤にファステストラップポイントを狙ってP Zeroレッド・ソフトへ交換した。結果的には、トラックリミット違反によってフェルスタッペンのファイナルラップの記録が削除されたため、ボッタスがファステストラップポイントを獲得した。もうひとりの2ストッパーは、ハースのニキータ・マゼピンだった。マゼピンも全3種類のコンパウンドを使用した。4番グリッドからスタートしたレッドブルのセルジオ・ペレスは、ラスト15周時点でミディアムからソフトへ交換する戦略で4位を獲得した。ソフトでスタートしたドライバー中の最上位ドライバーは、マクラーレンのランド・ノリスだった。7番グリッドからスタートしたノリスは、ソフト~ミディアムと繋ぐ戦略で5位フィニッシュした。昨日までよりも温暖な天候となり、最高気温22℃、最高路面温度40℃のコンディションだった。■各コンパウンドのパフォーマンス【ハードC1】多くのドライバーが第2スティントでハードを使用し、レースでの成功への鍵のひとつになった。コンディションが温暖になったことで、ハードタイヤは、性能を損なうことなく、トラックの厳しさに対してより完璧に適応していた。【ミディアムC2】表彰台に上ったドライバーを含む大半のドライバーがミディアムでスタートした。ハミルトンがピットストップ直前にファステストラップを記録するなど、ミディアムは優れたスピードと耐久性を示した。16番グリッドからスタートしたマクラーレンのダニエル・リカルドは、ミディアムで長いオープニングスティントを走行し、ポイント圏内でフィニッシュした。レッドブルのセルジオ・ペレスもミディアムで長いオープニングスティントを走行し、51周目時点でトップを走行していた。ペレスが使用したミディアムタイヤは、予選で6周を走行済みのものだった。【ソフトC4】トップ10グリッド中の5名を含む7名のドライバーがソフトでスタートした。高い気温によって、より硬いコンパウンドの使用が多くなるなか、アストンマーティンのランス・ストロールは、ソフトでレースの3分の2近くを走行した。レース終盤、ボッタスがソフトタイヤでファステストラップを記録した。マリオ・イゾラ(ピレリF1およびカーレーシング責任者)「昨日までよりも暖かい天候が軟らかいコンパウンドの摩耗を加速させたことで、ドライバーたちは、タイヤマネジメントにより注力する必要がありました。また、路面の改善によってグリップが増したこともあり、ハードコンパウンドの使用が促進されました。全3種類のコンパウンドは、それぞれ異なる理由で際立っていました。ハードタイヤは、今日のコンディション下、完璧なレースで優勝したルイス・ハミルトンを含む多くのドライバーがファイナルスティントで使用し、レースの鍵となりました。ソフトタイヤは、予測どおり主に短いオープニングスティントでの使用に限定されましたが、ランス・ストロールは40周近くをソフトで走行しました。また、セルジオ・ペレスは、非常に長いスティントをミディアムで走行し、独自の効果的な戦略を実行しました」