ポルシェのワークスドライバー、ティモ・ベルンハルト(ドイツ)/ブレンドン・ハートレー(ニュージーランド)/マーク・ウェバー(オーストラリア)組は、メキシコシティで行われた世界耐久選手権2016シリーズ第5戦の6時間レースにおいて勝利を収めた。これによりポルシェ919ハイブリッドはマニュファクチュアラー部門でのリードだけでなく、ロマン・デュマ(フランス)/ニール・ジャニ(スイス)/マルク・リーブ(ドイツ)組が4位入賞し、ドライバーズ選手権でも大きくリードを広げた。
F1と同じ全長4.304kmのコースで記録されたファステストストラップは、ブレンドン・ハートレーが114周目に記録した1分25秒880だった。ポルシェが革新的なポルシェ919ハイブリッド・プロトタイプカーを2014年にデビューさせてから、今回の勝利は通算11回目になる。今シーズンに限ってもル・マン24時間を含めて919ハイブリッドは4つのレースを制している。ベルンハルト/ハートレー/ウェバーにとってはWECにおける6回目の優勝に当たる。ポルシェのマニュファクチュアラー部門のポイントは201となり、アウディ(158)、トヨタ(112)をリードしている。またデュマ/ジャニ/リーブ組はドライバー部門を41ポイント差でリードしている。カーナンバー1のレース展開4番手グリッドからスタートしたブレンドン・ハートレーは同じチームのマーク・リーブをオープニングラップの1コーナーでかわし2台のアウディの直後に付けた。21周目にはカーナンバー#7のアウディ(アンドレ・ロッテラー)を抜いて2番手に浮上した。35周が終了した時点でハートレーはフルコースイエローを利用して早めのピットストップを敢行し、ステアリングをマルク・ウエバーに託し、フレッシュタイヤへ交換しながらも2位をキープしてコース上に復帰できた。リスタートの直後、ウェバーは#8のアウディ(ルーカス・ディ・グラッシ)を抜き去り、トップに浮上し、次のピットストップの前のラップまでその座を維持した。スタートから74周終了時点でウェバーはディ・グラッシの直後でピットに入る。ポルシェのクルーがここで素早く作業を終え、ティモ・ベルンハルトはふたたびレースリーダーとしてコースに復帰した。110周目にはティモのリードは10秒以上まで増えており、次のフルコースイエローを利用して2台の919が同時にピットへ向かうことになった。その時点ではピットストップを109周か110周かがはっきりしなかったため、ベルンハルトはピットレース入口のホワイトラインをカットしてコースに戻る羽目になってしまった。これによってカーナンバー# 1はペナルティを課せられることになる。ハートレーが搭乗している120周目にそのペナルティを消化してレースリーダーの座を譲ったが、134周目に彼はベースボールスタジアムセクションにおいて#8のアウディ(ロイック・デュバル)を捉えることに成功。137周目、ハートレーは再びピットインを行いレインタイヤに履き替えてそのままコースに復帰する。140周目、#8のアウディ(オリバー-・ジャービス)がコースオフを喫した。レースディスタンスの2/3が終了した時点でポルシェはワン‐ツー体制を築き上げていた。162周でハートレーからベルンハルトへドライバーを交代し、今度はインターミディエイトタイヤでピットを離れた。この間にポジションは2番手へ後退。というのも、ロッテラーがステアリングを握る#7のアウディがスティント初期の遅れを目覚ましい勢いで取り戻していたためだ。ロッテラーが172周目にピットインした時ベルンハルトがトップへ返り咲いた。199周目、彼はスリックタイヤに変更するべく最後のピットインを行いそのままレースへ復帰。勢いを増す雨の中226周目にはコースオフを喫したが、トップのまま230周を終えて勝利を手にした。カーナンバー2のレース展開マーク・リーブはスタート時に2番手から4番手へとポジションを落としたが#7のアウディ(ロッテラー)がストップしたことで3位へ浮上。35周目の最初のピットストップの時、チームメイトの車両が同時にピットインしており、ピットを離れる際に時間を要したため、#2 ポルシェも時間をロスした。ニール・ジャニは#5のトヨタ(中嶋一貴)の後、4番手でコースに復帰した。この2台は激しいバトルを展開しジャニは40週目にパスすることに成功した。75周終了時点でフルコースイエローが提示されている間にジャニはロマイン・デュマと後退し3番手のままコースへ復帰。デュマは先行車とのギャップを確実に詰めていき110周時点でリーブに交代するが、この時もまた2台の同時ピットが必要であり、混乱を招いた。リーブは2番手でコースに復帰するが127周目にハートレーに先行された。その代わり、彼は136周目にアウディを駆るデュバルを攻略し2番手に復帰する。そしてその翌周、リーブはレインタイヤを装着してふたたびコースへ戻りた。148周目、LMP2カーとの接触があり左リアのボディワークに損傷を受けた。154周終了時点でレースコントロールから支持が出たためリーブはリアエンド交換のためピットインを余儀なくされる。これでポジションは3番手へ後退する。さらに乾いていく路面に対して彼が装着していたレインタイヤは足枷となり、166周目には#6のトヨタ(ステファン・サラザン)にかわされる。169周を終えた時点でリーブはジャニへ交代し、インターミディエイトタイヤで走り続ける。ポルシェのピットクルーがトヨタよりも素早く作業を完了したためジャニは3番手へポジションを戻したが、178周目に再びトヨタの先行を許す。194周終了時にジャニはインタミディエイトからスリックタイヤへ替えるために早めのピットストップを敢行し、最終スティントを担当することになったデュマがポジションを4位まで上げてチェッカードフラッグを受けた。レース後のコメントフリッツ・エンツィンガー (LMP1担当副社長)「激しいバトルと変わりゆく路面コンディションのおかげで、今回は私が今まで見た中で最もスリリングなレースのひとつでした。1位と4位という成績は我々にとって大きな前進です。勝利の数を増やしたことはもちろんのこと、マニュファクチュアラーズ選手権、ドライバー選手権ともにリードを大幅に増やすことができたからです。すべての人々に感謝の気持ちでいっぱいです。これからすぐにヴァイザッハへ帰ってオースティンで行われる次のレースに向けて慎重に準備をします。ふたつのタイル防衛という目標へ向けて、2週間後まで努力を続けます」アンドレア・ザイドル (チーム監督)「何と言ったらいいのでしょう。またしても3つのマニュファクチュアラーが表彰台を分けることになりました。ふたつの世界選手権を防衛すると...
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