ポルシェのFIA世界耐久選手権(WEC)の2016年シーズンが、3月25(金)〜26日(土)にポールリカールサーキットでの公式テスト「プロローグ」によって幕を開けた。南フランスにある1周5,791kmのサーキットにおける2日間のテストは、WECのスターティンググリッドに並ぶ主要マシンの初顔合わせとなる恒例のイベント。プロローグの直前に披露され、タイトルディフェンダーとなるポルシェ919ハイブリッドの2016年モデルにとっても、これがWECの公式イベントにおける初めての登場となった。
ポルシェ チームは、2台の車両を現地に持ち込んだ。金曜日には、ロマン・デュマ/ニール・ジャニ/マルク・リーブ組の2号車が走行し、土曜日にはドライバーチャンピオンであるティモ・ベルンハルト/ブレンドン・ハートレー/マーク・ウェバー組が1号車でテストを引き継いだ。2015年モデルから改良されたポルシェ チームのプロトタイプカーは、2日間で合計2,197kmを走破。どのセッションでも、ベストタイムを刻んだのはポルシェ919ハイブリッドだった。プロローグ全体でのファステストラップは、土曜日にブレンドン・ハートレーが達成した1分37秒44だった。LMP1担当副社長のフリッツ・エンツィンガーは、「2台のニューマシンは、基本的には問題なく走り、ドライバーたちから良いフィードバックを受け取りました。それゆえ、4月17日のシルバーストンでの開幕戦には自信を持っています。そこで初めてライバル全体について正しい判断を下せるでしょう。我々は、大いに興奮しながらその時を待ち望んでいます。プロローグは、スターティンググリッドの初めてのスキャンのようなものです。WECが用意してくれたこの素晴らしいイベントは、チームにとってもメディアにとっても非常に有益です。観客にとっても、今日はコースとパドックへ自由に出入りできて楽しめたことでしょう」と述べた。チーム監督のアンドレアス・ザイドルは「先週はテスト車両とともにここへ来ましたが、今回は初めて2016年型シャシーの2台で走りました。2台を再び走らせたことは、チームにとって第1戦を前にした良いデータ取りとなりました。また、ピットストップ手順のレギュレーションが変更されたので、その練習も行いました。ドライバーたちは、ここ数週間で多くのテストを行いましたが、プロローグでは、バーレーンでの最終戦以来、初めてコース上で他車と混走しました。シーズンの準備として自らに課していた目標をプロローグの終了までに達成しました。シルバーストンに向けて、技術面でも準備は整っています」と述べた。ティモ・ベルンハルト(1号車)「新しいレーシングカーに乗り込むのはいつでも特別なことですが、その車がゼッケン1を掲げていれば、よりいっそう心は弾みます。チームメイトたちが金曜日に仕事を終えた翌日にテストを引き継ぎ、彼らが見つけたことを100パーセント生かしました。このようなチーム作業は、私たちの強みのひとつであり、ピットクルーと一緒にセットアップを改善する際にも当てはまります。プロローグの雰囲気は、ほとんどレースのようでした。ポルシェ チームの誰もがシーズン開幕戦を楽しみにしています。」ブレンドン・ハートレー(1号車)「テストはとてもうまくいきました。最近のテストでは耐久性を重視していましたが、今回はプロローグをレースウィークエンドとみなし、セッションが開始されると同時にコースへ出て、シーズン中の週末と同じようにパフォーマンスの改善に取り組みました。全てのセッションをリードできたのはもちろん素晴らしいことですが、ライバルが何を隠しているかは分かりません。」マーク・ウェバー(1号車)「数多くの周回をこなし総合的に見て有益なテストでした。ライバルのことはあまり分かりませんが、シルバーストンに向けて最善の準備を整えました。ここに来る前、あまりできなかったハイダウンフォースのテスト結果も、ポジティブなものでした。レギュレーションにより大型化されたヘッドレストも、ドライバー交替時の問題ではなかったです。」ロマン・デュマ(2号車)「プロローグでの走行は、とても実り多いものでした。新しいレースエンジニアのジェロミー・ムーアとのコミュニケーションも良好です。さまざまなセットアップを試し、マシンを昨年以上に理解できていると思います。新しいレギュレーションの制約事項により、燃料消費量が減少しているにもかかわらず、2015年とほとんど同じ速さを維持しています。シルバーストンでライバルたちが何をするのかとても気になります。」ニール・ジャニ(2号車)「マシンが順調に走ってくれたおかげで、シルバーストンへの準備に専念することができました。マシンのセットアップを大幅に改善し、ドライバー交替を含めたレースにおける作業手順も充分に練習しました。」マルク・リーブ(2号車)「素晴らしいテストとなりました。新しいレースエンジニアとさまざまなメカニックによる新しいチーム編成で初めて作業を行いました。マシンは順調に走り、良い感触でした。開幕戦では良いスタートが迎えられそうです。ここのコースでは、さまざまなエアロダイナミックセットアップが可能なため、誰がどんな仕様で、どのタイヤで、どれだけの燃料を積んで走るのかを決めるのはとても困難です。そのため、昨年と比べてとても良い内部データが得られていますが、ライバルにどれくらいの能力があるのかは分かりません。」
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