ポルシェは、世界のモータースポーツ選手権の中で最も重要なレースのひとつであるFIA世界耐久選手権(WEC)全8戦の第6戦として富士スピードウェイにて10月11日の11:00に開催される6時間耐久レースに挑む。日本は、スポーツカーにとって成熟した市場であり、熱烈で知識の豊富なレースファンを抱えている。神聖な富士山の麓にあるこのサーキットでは、数多くのポルシェ レースカーが歴史を刻んできた。
富士のコースレイアウトは、レースチームに特別な課題を突き付ける。極めて長いストレートでは車速が上がるが、それに続く16個のコーナーの中には極めてタイトなものも含まれ、車両には異なるセッティングが要求される。ポルシェは、2種類の車両でこの課題に挑む。最高峰のLMP1(ル・マン・プロトタイプ・クラス1)のポルシェ919ハイブリッドは、シリーズ戦の連勝記録を伸ばすことを目指している。約1,000PSのシステム出力を発生する軽量な870kgのハイブリッドガソリンレーサーは、今シーズンこれまでにル・マン24時間をはじめ、それに続くニュルブルクリンクと米国での6時間レースで優勝している。ポルシェは、アウディとトヨタに先行してマニュファクチュアラー部門をリードし、ドライバー部門でもトップを射程圏内に捉えている。ポルシェは同じWECレースにおいて、市販車ベースのレーシングカー専用のGTクラスにポルシェ911 RSRも参戦させている。このカテゴリーでワークスチームから出走する911 RSRは、フェラーリにわずか2ポイント差まで迫っており、ポルシェのワークスドライバーであるリヒャルト・リーツは、ドライバー部門をリードしている。919と911には大きな違いがあるにも関わらず、いずれのレーシングカーも日本のポルシェファンの間で絶大な人気を誇る。最先端のテクノロジーを採用したル・マン・プロトタイプは、とりわけハイブリッド車に強い関心のある日本人の目を引き付けている。特にそのドライブコンセプトは、31台の中で最も革新的。919のガソリンエンジンは、ターボチャージャー付きの2リッター4気筒という小排気量ながら、500PSの出力を発生し、ポルシェがこれまでに作った中で最も効率的なエンジンとみなされている。しかし、それだけではない。919ハイブリッドには、2つの異なるエネルギー回生システムが装備されている。ポルシェはこれらを用いて、日常走行のより良い未来に向けて取り組んでいる。排気ガス流から取り出されたエネルギーは、2基目のタービンにより電気エネルギーに変換される。フロントアクスルでは、運動エネルギーが制動時に回収され、これらの回生システムがリチウムイオンバッテリーに充電され、ドライバーは、ここに蓄えられたエネルギーをスイッチひとつで放出することができる。こうして400PSを超える出力の電気モーターがフロントアクスルを駆動し、919を4輪駆動車にしている。しかし、純粋なパワーだけが、この特別な世界選手権の目的ではない。厳格な燃費規制がエンジニアに発想の転換を余儀なくさせる。そして、まさにこれこそが、ポルシェの参戦理由。LMP1プログラム責任者フリッツ・エンツィンガーは次のように述べている。「ポルシェにとって勝つことは重要ですが、長期的に見れば、こうした勝利は記念写真のようなものです。開始当初より919ハイブリッドの最も重要な役割は、『走る実験室』として将来の市販車の役に立つことでした。」しかし、レーシングカーと市販車の間の技術的なつながりは、市販車に近いGTクラスのポルシェ911 RSRにおいてよりいっそう密接。この車は、世界で最も多く販売され、最も成功を収めたレーシングスポーツカーの象徴であり、第7世代の911スポーツカーをベースにしている。全ての911と同じく、911 RSRのボディは、シュトゥットガルト−ツッフェンハウゼン工場の組み立てラインから生み出されている。特に、軽量設計やエアロダイナミクスなどのエネルギー効率の分野において、モータースポーツは、体系的かつ継続的に市販車の開発に取り入れられる。日本では熱烈なファンが911を待っている。ポルシェのモータースポーツ部門責任者フランク=シュテッフェン・バリサー博士は、次のように述べている。「私達は、とりわけ2ドアスポーツカーとフラッグシップの911により、日本市場で大きな成功を収めています。」ポルシェジャパンの販売台数は、2014年に大きく増加したことで、初めて5,000台の大台を超えた。そして2013年以降、リアエンジンおよびミッドシップエンジンのスポーツカーの販売台数が、再び歴史的な規模に達した。これが、好調な年間実績に大きく貢献した。2015年上半期を見ても、2ドアスポーツカーの日本における販売は好調。バリサーによれば、「ポルシェ911にとって、こうした成功を際立たせるのに、サーキットで強力なライバルを上回る戦闘力を見せることほど確実な方法はありません」
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