ピレリが、2020年のF1世界選手権 第12戦 F1ポルトガルGP 決勝でのタイヤ戦略を振り返った。F1ポルトガルGPでは、メルセデスのルイス・ハミルトンが、ミディアム~ハードと繋ぐ1ストップ戦略でキャリア通算92勝目を挙げ、F1最多勝記録を更新した。前日までの走行データが不足気味の中、ハミルトンの採った戦略は最速戦略と予測されていた。
天候状態やトラックの路面など、タイヤにとって厳しいコンディションの下、ピレリの全3種類のコンパウンドは素晴らしい性能を示した。特筆すべきはP Zeroイエロー・ミディアムタイヤの卓越した一貫性だった。ルノーのエステバン・オコンは53周を、ハミルトンは45周(40周:レース、5周:予選Q2)をミディアムで走行した。ハミルトンのチームメイトのバルテリ・ボッタスは、ハミルトンと同じ戦略で2位を獲得した。ボッタスは、ハミルトンより1周遅くピットストップを行った。3位以下では多様な戦略が展開され、トップ10で異なる4種類の戦略が見られた。1ストッパーが主流となった中、5名のドライバーが2ストップ戦略を実行した。そのなかで、レーシング・ポイントのセルジオ・ペレスを含む3名は全3種類のコンパウンドを使用した。ペレスは、接触によって1周目のピットストップを余儀なくされたが、7位でフィニッシュした。低温のコンディションが続き、路面温度は25度前後だった。スタート直後とレース終盤には雨がパラついた。■各コンパウンドのパフォーマンス【ハードC1】メルセデスの両ドライバーは第2スティントでハードを使用した。ウォームアップに2周を要したハードは、レース終盤のハミルトンによるファステストラップに象徴されるように、卓越した性能を示した。ハースのケビン・マグヌッセンのみが、スタート時にハードタイヤを装着した。【ミディアムC2】レースにおいて鍵となる役割を演じた。ポールタイム計測時に使用され、スタート時には半数以上のドライバーがミディアムを装着した。性能と一貫した耐久性との卓越したバランスを提供したミディアムタイヤは、長いスティントを可能にした。【ソフトC3】一貫した性能を示した。マクラーレンのカルロス・サインツは、ソフトの蹴り出しスピードを活かし、レース序盤に一時トップに立った。また、アルファタウリのピエール・ガスリーは、ソフトで28周を走行した。マリオ・イゾラ(ピレリ カーレーシング責任者)「各チームにとって未知の部分が多いチャレンジングなサーキット上で、全3種類のコンパウンドが示した性能に大変満足しています。また、フリー走行時間が短縮されたにも関わらず、広範囲に渡る戦略で使用された全3種類のコンパウンドは、スピードと耐久性を発揮しました。路面温度が低く、雨もパラついたトリッキーなコンディションでしたが、いくつか印象的なロングスティントが見られました。なかでも、予選のポールタイム計測でも使用され、全ドライバーが使用したミディアムタイヤは際立っていました。大記録を樹立したルイス・ハミルトンを祝福するとともに、新しい歴史が刻まれた瞬間の目撃者になれたことを光栄に思います」
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