ピレリが、2020年のF1世界選手権 第3戦 ハンガリーGP 決勝でのタイヤ戦略を振り返った。F1ハンガリーGPの決勝は、前日夜からの雨によってラバーが洗い流され、ウエットコンディションでレースはスタート。雨天用タイヤでのスタートによって2種類のタイヤ使用義務はなくなり、各マシンが異なる局面で様々なコンパウンドを装着することになった。
レースはポールポジションからスタートしたルイス・ハミルトンが、3ストップ戦略で優勝している。■キーポイントスタート前の雨が今日の戦略に影響を及ぼし、ダンプトラック上でレースが始まった。Cinturatoブルー・フルウエットを装着したハースのケビン・マグヌッセンを除く全ドライバーが、Cinturatoグリーン・インターミディエイトタイヤを装着してグリッド上に並んだ。フォーメーションラップ終了時、ハースの両ドライバーはピットへ向かい、P Zeroイエロー・ミディアムタイヤへと交換した。レース序盤、急速に乾いていくトラック上でほかのドライバーたちが皆スリックタイヤへ交換することになり、ハースの両ドライバーは一時3番手と4番手を走行していた。上位5名で4つの異なる戦略が展開された。ハミルトンはレース終盤、ファステストラップポイントを狙って、P Zeroレッド・ソフトタイヤへと交換する3回目のピットストップを行った。3位を獲得したチームメイトのバルテリ・ボッタスも3ストップ戦略を採り、レッドブルのマックス・フェルスタッペンを猛追した。フェルスタッペンは、レコノサンスラップ中にクラッシュしながらも、2ストップ戦略で2位を獲得した。雨天用タイヤでのスタートとなったため、異なる2種類のスリックタイヤ使用義務は適用外となりました。■各コンパウンドのパフォーマンス【ハード C2】レース週末当初から戦略の中心となり、大半のドライバーがファイナルスティントで使用した。ハミルトンを含む3名のドライバーのみがハードを使用しなかった。アルファタウリ・ホンダのダニール・クビアトは、P Zeroホワイト・ハードで50周以上を走行してフィニッシュした。【ミディアム C3】スタート直後、大半のドライバーがインターミディエイトからミディアムへと交換した。2回ミディアムを使用したルノーのダニエル・リカルドなど、数名のドライバーが長いスティントをミディアムで走行した。【ソフト C4】上位10名中ハミルトンのみがソフトを使用した。ハミルトンは、ソフトタイヤのスピードを活かし、ファステストラップポイントを獲得するとともに、ハンガロリンクのレースラップレコードを更新し、チャンピオンシップのトップに躍り出た。【インターミディエイト】ほぼ全ドライバーがスタート時にインターミディエイトを装着したが、急速に乾いていく路面に対応するために、わずか数周の間に全員がスリックタイヤへ交換した。マリオ・イゾラ (ピレリ カーレーシング責任者)「夜半から午前中にかけて降った雨がトラック上のラバーを洗い流したことにより、冷涼なコンディションの下、グリーンで滑りやすい路面でのスタートを迎えることになりました。その後、急速に乾いていく路面が戦略にとって重要な鍵となりました。不安定な天候状態が続いたため、再度インターミディエイトへ交換が必要となるリスクに備え、スティントを延長するドライバーも見られました。結局、最後までドライコンディションが続き、とくにフロントタイヤのデグラデーションが目立ちましたが、これは今回のような異例のコンディション下では予測されたことです。大半のドライバーが2ストップ戦略を採ったなか、フレッシュタイヤのパフォーマンスを活かしてオーバーテイクを試みたり、ファステストラップポイントを獲得するために3ストップを行うドライバーも見られました」関連:F1ハンガリーGP 決勝:ハミルトン優勝、フェルスタッペンが2位表彰台