ピレリが、2014年 第16戦 F1ロシアGPが開催されるソチ・オートドロームをタイヤメーカーの観点から解説した。F1は、ロシアの黒海近郊に位置する新設のソチ・サーキットでの初開催のグランプリに臨む。ソチは、2014年冬季オリンピックの開催地。新設のサーキットでの開催は、2012年のオースティン以来初となる。
完成して間もないトラックのため、トラック上の実データは豊富に存在しないが、ピレリは、各チームの協力のもと、先進的なコンピュター・シミュレーションを備え、想定戦略を予測した。その結果、ロシアGP用として選択されたタイヤは、P Zero ホワイト・ミディアムとP Zero イエロー・ソフトだった。この組み合わせは、スパで行われたベルギーGP以来の登場となる。ソチは、多様なコーナーが存在する中速サーキット。中には、3つのエイペックスを持つイスタンブールパークのターン8を思い起こさせる、右フロントタイヤが酷使される左回りコーナーもある。合計12の右回りコーナー、6つの左回りコーナーが存在し、ターン1と2の間の650mのストレートでは、マシンのトップスピードは約320km/hに達する。平均ラップスピードが約215km/hのトラックレイアウトは、サーキットの建設で有名な建設家ヘルマン・ティルケの設計によるもの。直近のティルケの設計によるF1サーキットは、テキサスのオースティンだ。ソチは、現存するいずれのF1サーキットとも類似していないが、2012年までに使用されていたバレンシア市街地サーキットと共通する特性をいくつか持っている。モントリオールやメルボルン同様、ソチは半常設のサーキットで、モントリオールと同じく、オリンピックが開催された場所でもある。新しいアスファルトが滑りやすい理由のひとつは、ビチューメン中のオイルが表面に滲み出て、トラック上に見えない膜を形成すること。時間の経過とともに、オイルは一掃され、路面は次第に粗くなっていく。もしこの時期には決して珍しくない雨が降れば、特に油断はできない。ポール・ヘンベリー (ピレリ・モータースポーツ・ダイレクター)「ロシアは、世界中の主な自動車メーカー同様、ピレリにとって鍵となる地域ですので、F1にとっても重要なマイルストーンとなる初開催のロシアGPでソチを訪れることをとても楽しみにしています。タイヤ性能のあらゆる側面が試される多彩なコーナーにより、タイヤの観点からすると興味深いチャレンジとなりそうです。今シーズンの他のグランプリ同様、決勝で2〜3回のピットストップを狙ったタイヤ選択をしています。全体的なタイヤの負荷に関しては、ロシアは中程度の部類に入ると思います。また、アスファルトはそれほど粗くありません。現時点の予報によると、温暖なコンディションになりそうです。新しいサーキットを訪れることは常にエキサイティングであり、実際に走ってみるまで完璧なイベージは掴めませんから、フリー走行での作業は、全チームにとって特に重要になるでしょう」ジャン・アレジ (ピレリ・コンサルタント)「シミュレーション技術が進歩した今日では、ドライバー、チーム、タイヤサプライヤーが初開催のグランプリに臨むことは、私の時代よりも楽になっていると思います。しかし、シミュレーションが全てを再現できるわけではなく、バーチャンルと現実との間には大きな違いが存在します。したがって、ドライバーやエンジニアにとって入念にチェックすることは重要です。路面の特性を把握するために、路面に触れて、路面を感じておく必要があります。特にレース週末の初日はトラックが非常にダーティーでドライブが難しいため、セットアップやタイヤ特性に関する適正なアイデアが得られにくいでしょう。過去の情報がないことから生まれる誤った認識や誤った方向hのセットアップなども珍しくない、初開催ならではの難しさがあります」


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