ピレリが、2012年 第10戦 F1ドイツGPが開催されるホッケンハイムリンクでのレースをタイヤメーカーの観点から解説した。ニュルブルクリンクとホッケンハイムとで隔年開催となるF1ドイツGP。ホッケンハイムは、バーレーンやアメリカとともにピレリにとって初めてである3つのサーキットのひとつ。
ピレリは、2010年からサプライヤーを務めるGP3シリーズでホッケンハイムを経験しているが、F1用P Zeroタイヤは未だこのトラックを走行していない。しかし、コンピュター・シミュレーションと数学的モデリング技術によって、ピレリのエンジニアたちは、今週末直面する可能性がある状況に対して万全の準備を整えている。かつては世界の最速サーキットのひとつであったホッケンハイムは、現在では何本かの長いストレートと低速でテクニカルなスタジアムセクションの組み合わせが特徴となっている。このため、汎用性の高いセットアップが求められ、タイヤもまた非常に広範囲のスピードとコンディションに対応しなければならない。全ての低・中速コーナーから抜け出す良いトラクションを得ることが、速いラップを刻むための鍵となり、この点において、タイヤは重要な役割を果たす。また、多くのヘビーブレーキングエリアがあり、タイヤは5Gに至る減速Gを吸収しなければならない。ピレリの最新型P Zeroシルバー・ハードタイヤは、シルバーストンのフリー走行でデビューを予定していた。だが、ブリティッシュウェザーによって実現できなかったため、この新型ハードタイヤはドイツへ持ち込まれ、金曜日のフリー走行でテストされる予定となっている。各ドライバーには、ドイツで選択されているP Zeroホワイト・ミディアムコンパウンドとP Zeroイエロー・コンパウンドによる通常のアロケーション11セットに加えて、2セットの新型ハードコンパウンドが供給される。ポール・ヘンベリー (ピレリ・モタースポーツ・ダイレクター)「ウェットだったシルバーストンの後、我々はここホッケンハイムのフリー走行でドライバーたちが試験的ハードコンパウンドをテストできることを期待しています。しかし、この時期のドイツの気候もイギリス同様、予測が難しいのです。過去には非常に暑いコンディションもありましたが、2年前のGP3シリーズでは大雨も経験しています。新型ハードタイヤは、大きな進化ではありませんが、作動領域がわずかに広範囲になっているため、各チームにとって、タイヤを正しい作動温度領域に入れ、維持することが容易になっています。現在のチャンピオンシップ争いが非常にバランスの取れたものになっているため、この新型ハードを使用するのは金曜日のフリー走行のみです。現在、各チームが理解し、その性能を最大限に引き出す努力を行っているタイヤの基礎的なパラメーターのひとつを突然変更することはフェアではないと考えるためです。しかし、我々は、ドライバーたちとの生産的な話し合いを楽しんでいますす、大勢を占める要望を常に考慮に入れています。新型タイヤについての彼らからのフィードバックは、間違いなく興味深いものになるでしょうし、我々がプライベートテストから引き出した結論と彼らのインプレッションがマッチするものかどうか検証したいと思います。経験のないサーキットを訪れる際は、我々自身の過去データがないため、常に様々なチャレンジが存在します。しかし、シミュレーションの進歩には目を見張るものがあります。今日では、走行したことのないサーキットでも、タイヤ動作の情報を得ることができるのです。これらの先進的なモデリング技術は、我々のF1への参画が、日常の乗用車用タイヤの改善へ貢献している一例を示しています」
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