日産デルタウイングは、ロードアトランタで行われた米国ル・マンシリーズ(ALMS)最終戦プチ・ル・マンの1000マイルのレースで、耐久レースに挑んだ42台の最後尾からのスタートとなったにも関わらず、初完走で総合5位という見事な成績を残した。波乱含みの前日までと比べ、決勝レースでは比較的安定したパフォーマンスを見せた日産デルタウイングだが、水曜日のテストセッションではGTCクラスの車両からヒットを受け、突然の中断を余儀なくされた。
予選ではトップ10圏内のタイムをマークしていた日産デルタウイングだったたが、今回は章典外でのエントリーだったため、主催者の判断により決勝レースではグリッド最後尾からのスタートとなった。この判断は筋の通ったものだったたが、後方からのスタートとなることで、レース序盤に、すべてのGTマシン勢を追い越さなくてはならなくなることを意味していた。水曜日に徹夜で修復作業を完遂し、気持ちを入れ替えたチーム陣は、これ以上のダメージを発生させてはならないと強く意識していた。しかし、その心配は無用で、日産デルタウイングは1000マイル、10時間に及ぶ過酷なプチ・ル・マンのレースを疾走、総合5位に入って見せた。ドライバーのルーカス・オルドネス、ガナー・ジーネットが見事な走りを見せ、それぞれのスティントをトラブルなく好ペースで走り切り、日産デルタウイングに記念すべきレース初完走をもたらした。最初のスティントを担当したのはガナー・ジーネット。42位から8位にまで一気に浮上するガナー・ジーネットの走りに、チーム陣は大いに奮起。次に替わったルーカス・オルドネスはトリプルスティントをこなし、さらに3位に浮上。日産デルタウイングは、通常のル・マンスポーツカーに比べ、重量、馬力、空力抵抗が半分。ダナー・ジーネットがタイヤ無交換で4連続スティントをこなすのも不可能なことではなかった。「信じられないようなレースでした」とルーカス・オルドネスはコメント。「日産のマシンでレースをする時はいつも、新たなチャレンジを与えてくれますが、今回は一番大きなチャレンジだったと思います。背負う責任は大きくなりましたが、同時にとても楽しくもありました。このマシンをドライブするのは本当に素晴らしい体験で、ミシュランタイヤも本当にいい働きをしてくれました。全体のパッケージをまとめるために、とてもがんばってきました。このマシンがとても強くて速いことを、モータースポーツ界のみんなに見てもらえたと思います。フィニッシュラインを越えられたことをとても誇りに思いますし、これからみんなとお祝いしたいと思います」