F1は、公式サイトでレースをライブストリーミングで観戦できるようにするために放送モデルの大変革を検討している。現在、レースをオンラインで放送する権利は各放送局が有しており、放送局は他国でのテレビ視聴者数が減少しないように母国以外で映像を視聴できないようにしなければならない。
だが、F1の商業権を所有しているF1グループは、各放送局の契約からオンライン放送資格を取り除き、公式サイトで課金し、レースを生中継することを検討している。ライブストリーミングの計画は、シンガポール証券取引所に上場するF1の498ページにまわる目論見書に密かに埋め込まれている。目論見書の144ページには「我々はデジタルメディア資産開発の初期段階にある。オンラインでのレース・ストリーミングの権利は、通常世界中の放送パートナーにライセンスアウトされているが、将来このモデルを変更し、独立して活用することを検討するかもしれない。世界選手権の独占権利所有者として、我々はオンラインプラットフォームとコンテンツの両方を管理することで、内部および第三者のソリューションを通じたものを含め、我々の権利を収益化する幅広い機会が得られる」と書かれている。また「高品質のデジタルコンテンツへのアクセスを許可したり、ウェブサイトに言語選択肢を追加することで、新しい機会を活用し、ファンに対するデジタル経験を強化し続けていく」と述べられている。現在締結されている63件のF1放送契約のうち、56件は2015年末までに終了。そのため、ライブストリーミングの実現までに長期間は要さないだろう。欧州連合の独占禁止法は、レース開催国での契約は5年間、それ以外の国での契約は3年間と定めているため、各契約は通常3〜5年となっている。F1グループが、この新しいアプローチを検討するきっかけとなったのは、昨年2月のタタ・コミュニケーションズとのスポンサーシップ契約だった。F1の公式技術サプライヤーとなったタタは、テレビ放送と同様の基準でレースをライブストリーミングする基盤を作っている。タタの最大の強みのひとつは、世界最大の海底ケーブルネットワークを有していること。これによってかつてF1が依存していた衛星を使うよりも高速でデータを伝達することが可能になり、伝達容量も大きく増加する。契約開始後、タタはすぐにネットワークにF1を組み入れ、現在、全グランプリは有線接続されている。重要なのは、一度に数時間しか接続しない衛星とは異なり、有線は常時接続で双方向であることにある。つまり、個人が特定のコンテンツを要求することができ、将来は相互作用も可能になる。
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