スクーデリア・アルファタウリの元F1ドライバーであるニック・デ・フリースは、彼のキャリアに融資を行った企業から起こされた訴訟で敗訴した。アムステルダム地方裁判所は、デ・フリースが25万ユーロ(約4000万円)のローンを返済し、さらに2023年7月までのアルファタウリでの部分的なF1シーズン中に得た給与とスポンサー収入の半分を支払わなければならないとの判決を下した。デ・フリースは現在、この決定に対する上訴を検討している。
デ・フリースは、2018年にプレマからF2に参戦するための予算を上積みする必要があり、イェルーン・ショートホルストのインベストランド社から融資を受けた。その際、2022年までにデ・フリースが現役F1ドライバーになった場合、彼がトップレベルで戦っている限り、収入の50%をインヴェストランドが受け取ることで合意していた。もし、その時までにデ・フリースがF1ドライバーになれなかった場合は、インベストランドが融資を帳消しにするというものだった。後に同社は、メルセデスのテストドライバーとしての活動はカウントしないことで合意した。2022年のイタリアGPでは、ウィリアムズのアレックス・アルボンが体調を崩したため、代役としてリザーブドライバーのデ・フリースが土壇場で招集されるという複雑な事態が起こった。デ・フリースは、レースでは9位入賞を果たし、レッドブルの注目を集めるのに十分な活躍を見せ、翌年のアルファタウリのF1シート獲得につながった。だが、2023年半ばにデ・ブリースはアルファタウリのF1シートを失い、その後、マヒンドラでフォーミュラE、トヨタで世界耐久選手権に復帰している。2022年のモンツァ参戦をめぐり、それがレース契約にあたるのか、それともテスト活動の一環なのかでインベストランドと争いが生じた。それが融資が帳消しになるか50%契約が発動されるかの違いを生むことになるからだ。昨年初めの略式裁判では、裁判官はデ・フリース側を支持し、「2022年9月11日のイタリアGPでF1に参加したのは事実だが、それはリザーブドライバーとしてだった。彼はそのときレースドライバーとして契約していなかった。彼は虫垂炎にかかった別のドライバーの代役を務めていただけだ」としていた。裁判官はまた、デ・フリースが長年にわたってインベストラントに契約の詳細を十分に伝えていなかったという主張についてもデ・フリーう側を支持した。デ・フリースは当時、事実上勝訴し、この問題が終わったことを望んでいるとメディアに示したが、インヴェストランドは現在、昨年の訴訟は主に情報を得るためのもので、今週アムステルダム地方裁判所で審理される本案への第一歩にすぎなかったと強調している。今回、裁判官はインバーストランド側を支持し、デ・フリースが2022年のイタリアGPにレースドライバーとして参加した事実を覆すためにメルセデスのテスト契約に頼ることはできないと認めた。そのため、彼は25万ユーロのローンと利子、そして2023年のアルファタウリの収入の半分を返済しなければならないことになる。「我々は、彼のキャリアの中で重要な時期に、他の誰も望まなかったニックをサポートした」とショートホルストは語った。「もちろん、このような手続きが必要であったことは残念だが、裁判官が我々に有利な判決を下したことをうれしく思う」「私たちは、適切な協議を通じて、手続きを経ずに合意に達することを望んだが、残念ながら、我々の試みはニックと彼の弁護士によって断固として拒否された」「このため、法廷に立つことは避けられなかった。たとえF1でなくなったとしても、ニックがすでに素晴らしいモータースポーツキャリアを継続できるよう、可能な限りの成功を祈っていることに変わりはない」デ・フリース側の弁護士であるイェルーン・ベドーは、デ・フリースが2022年末までの追加支払い請求などいくつかの要素で勝訴したことを指摘しつつ、まだ上訴する可能性があることを示唆した。「裁判所の契約解釈は、いずれにしてもデ・フリースが契約締結時に意図したものとは一致しない」と同氏は語った。「また、デ・フリースは2022年まで、そして、それを含む2022年までの義務を完全かつ良心的に果たしており、それは法廷でも確認されている」「それにもかかわらず、デ・フリースがローンの返済と2023年の最初の数カ月間に関する固定金利と変動金利の支払いを命じられたことは、当事者たちが合意したことと矛盾している。そのため、デ・フリースは依然として控訴を検討している」同氏はまた、2022年のモンツァでのリザーブ参戦をレースドライブとしてカウントすることは「非常に独創的な合意解釈」であると示唆した。