日産は、2016年のFIA世界耐久選手権(WEC)にNissan GT-R LM NISMOを復帰させると発表。チームは6月に行われたル・マン24時間以降、ル・マンで起きた技術的問題の解決に向けてテストに取り組み、LM P1復帰への開発プログラムを進めてきた。チームは人員の強化も図った。ベン・ボウルビーに集中していた業務を軽減するため、メキシコ日産からマイク・カルカモが新たにチームに加わり、チーム代表に就任した。
「ベンがやっていた業務量は膨大です。マシンをデザインし、レースやテストのオペレーションも担当していました。これは、誰がやったとしても、なかなかこなせる量ではありません」とマイク・カルカモは語る。「特に、マシンコンセプトは開発に高いレベルを要求するものでした。私のこれまでの、日産のエンジニアリングプロセスやプロジェクトをプランニングしてきた経験は、ベンをサポートし、チームがマシン製作により集中できるようになるでしょう。新しい形のマシンの性能を引き出すには多くの時間がかかりますが、我々の挑戦を明確にし、さらに高いレベルに達するための基盤を作っていきます」ル・マン以降、チームはマシンに対しいくつかの変更を加えているが、オリジナルデザインは維持する。チームは、テキサス州オースティンにあるサーキット・オブ・ジ・アメリカで、ハリー・ティンクネルとオリビエ・プラがステアリングを握り、2日間のテストを行った。。このテストはKERS(エネルギー回生システム)なしでの走行となった。タイヤは、ル・マン後にさらに変更を加えたものではなかったが、以前ここで走行した時に比べマシンは速くなり、信頼性に関する問題は出なかった。「我々は最高レベルで戦うことにすべての力を注いでいます。そこで勝てなければ喜ぶことはできません」とニスモ代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)宮谷正一は語る。「LM P1への挑戦を進めている間にも、ヨーロッパではブランパン耐久シリーズのプロクラスでNissan GT-R NISMO GT3とともにドライバーズタイトルを獲得しました。また、日本では昨年に続きSUPER GTのGT500クラスでの年間タイトルを狙っています。レースは私たちのDNAの一部であり、それを目指して我々は進んでいきます」ニスモのグローバルヘッドオブブランド・マーケティング&セールス、ダレン・コックスは加えて、「マイクをチームに迎え、我々のマシンは技術的な問題を解決し飛躍するでしょう。2016年に照準を定め、マイクがプロジェクトを支え、ベンとチームが我々の目標とするレベルまでマシンの力を引き上げてくれると思っています」と述べた。