日産とニッサン・モータースポーツ・インターナショナルは、電力駆動レーシングカー「NISSAN ZEOD RC 」で今年6月のル・マン24時間レースに参戦するドライバーに本山哲を追加すると発表した。SUPER GTで3回チャンピオンに輝いている本山哲は、日産GTアカデミー卒業生のルーカス・オルドネスやヴォルフガング・ライプと共に革新的な電力駆動レーシングカー「NISSAN ZEOD RC」で参戦する。
本山哲のル・マン挑戦はこれが4度目となる。今回は、300馬力の電力パワートレインと出力400馬力、重量40kgの1.5リットルのガソリンターボエンジンを組み合わせたNISSAN ZEOD RCを駆る。本山哲は今週、チームメイトと共にフランス南部にあるポール・リカール・サーキットで、初めてこのマシンでの走行に臨んだ。本山哲には、2012年のル・マン24時間でやり残したことがあった。フォーミュラ・ニッポンで4度のタイトルを獲得している実力者の本山哲は、この年のル・マンにも日産から参戦したが、レースでは他車との接触によりコース脇の壁に激突した。その後、マシンをコースに復帰させるために自らの手で修復に奮闘する姿が、観客に感動を与えた。ル・マン24時間では、コース上でマシンが停車した場合でも、コース外からの助けを借りることができず、自身の手で修復を行わなくてはならないが、本山哲の「決してあきらめない」姿を映し出したYou Tube動画は、世界中で大きな反響を巻き起こした。ピットレーンの入り口まで数百メートルの位置からピットへの帰還を目指し、メカニックから助言も受けながら最善を尽くした本山哲だったが、むなしくもその努力は実らず、リタイヤとなった。「僕にはル・マン24時間でやり残したことがあります。2年前のアクシデントは、本当に不運なものでした。ル・マンは完走するということさえもとても難しいことです。僕たちにとっても完走が一番の目標です。今年のレースを心から楽しみにしています」と本山哲はコメント。「チームメイトのヴォルフィ(ライプ)とルーカス(オルドネス)は、既にこのマシンでかなり走り込んでいます。今週、ふたりと一緒に、とても充実した走行ができました。今後の開発においては、これまでの自分の経験を活かしたいと思っています」本山哲は、電気自動車「日産リーフ」のパワートレインを用いたレーシングカー「NISSAN LEAF NISMO RC」の開発も携わっており、イベントでのデモ走行なども実施している。「NISSAN LEAF NISMO RCをドライブした時は十分なトルクがあり、通常の内燃エンジンと比較してもそのパフォーマンスは引けを取らないと感じました」と本山哲は述べた。「NISSAN ZEOD RCは、まったく新しい挑戦です。とてもわくわくしていますし、ル・マンでレースに臨むのを楽しみにしています。ル・マンは伝統の一戦で、日本でもとても人気があります。過去にも、たくさんの日本人ドライバーが活躍を見せてきたので、僕もそのひとりになりたいと思っています。チームのために、全力を尽くします」本山哲とオルドネスは、SUPER GTのレースと日程が重なるため、6月1日に行われるル・マン恒例の公式テストに参加できなかったが、本番までにできる限り走り込みをおこなう予定。「2年前、マシンをコースに復帰させようと奮闘した本山を、今回のZEOD RCプロジェクトに迎えることに何の迷いもありませんでした」とニスモのグローバルヘッド・オブ・ブランド/マーケティング&セールスのダレン・コックスは述べた。「あの“決してあきらめない"姿勢は彼の心髄であり、ファンからも絶大な支持を得ています。彼は前回のル・マンでも素晴らしい速さを見せていましたし、私たちも彼の参戦にとても沸き立っています。2年前のル・マンの後、私は彼と再びル・マンに挑戦しようと約束をしていました」「NISSAN ZEOD RC」は、レースの主催者であるACO(西部自動車クラブ)が、革新的な技術を披露するマシンのために与える特別エントリー枠「ガレージ56」からル・マン24時間レースに参戦する。「NISSAN ZEOD RC」は、日産が2015年のFIA世界耐久選手権LMP1クラスへの参戦を検討するための取り組みの一つでもある。
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