日産は、革新的なプロトタイプレーシングカー『NISSAN ZEOD RC』をル・マンで駆る最初のドライバーとして、日産/プレイステーションGTアカデミーの初代勝者で、ル・マン24時間ではこれまでにLMP2クラスで2度の表彰台フィニッシュを決めているルーカス・オルドネスを起用することを発表した。NISSAN ZEOD RCは、今年のル・マン24時間で史上初めてサーキット一周13.6kmすべてを電力のみで走行する。
NISSAN ZEOD RCの動力源には、電気モーターと共にわずか40kgと軽量でありながら400馬力を発生する1.5リッター3気筒ターボエンジンを組み合わせられる。今年のル・マン24時間レース参戦に向けて、NISSAN ZEOD RCには、レースの主催者であるACO(西部自動車クラブ)から、革新的な技術を披露するマシンのための特別エントリー枠「ガレージ56」が与えられている。NISSAN ZEOD RCは、ル・マンでは燃料タンクを使用しての走行に加え、さらに電力のみでの走行で一周を走り切る。燃料で走行する間、マシンのバッテリーはブレーキの回生エネルギーによって充電する。カーボンブレーキから発生する熱をリサイクルして、電力を発生させる。この開発プロジェクトは、日産が2015年に目指しているル・マン24時間及びFIA世界耐久選手権(WEC)でのLMP1クラス参戦計画の一環となっている。ルーカス・オルドネスは、2008年に初めて行われた日産/プレイステーションGTアカデミーで優勝。2011年にはル・マン24時間でのデビューを果たし、このフランス伝統の耐久レースにはこれまでに3回参戦、うち2回はLMP2クラスでの表彰台に上がっている。また2011年にはインターコンチネンタル・ル・マンカップ(ILMC)でタイトルを獲得し、昨年はブランパン耐久シリーズでチャンピオンに輝いている。最近ではGTアカデミー出身の後輩ドライバー4人と参戦したドバイ24時間レースでクラス優勝も果たした。ルーカス・オルドネスは、既にNISSAN ZEOD RCではテストドライバーを務めているが、レース実戦でもステアリングを握ることになった。日産グローバルモータースポーツダイレクターを務めるダレン・コックスは「GTアカデミーの初代勝者になってから、ルーカスはLMP2、GT3、GT4、SUPER GT、さらにはV8スーパーカーと、日産のあらゆるカテゴリーのレーシングマシンで、持ち前の速さと才能を発揮してきました。こうした彼の幅広い適応能力は、NISSAN ZEOD RCのレース実戦でのドライバーに起用する上で、重要な決め手のひとつとなりました」とコメント。「このNISSAN ZEOD RCは、どんなクルマとも違う、非常にユニークなマシンです。このマシンをドライブするということは、これまでとはまったく違う経験をするということです。ル・マンに起用する3人のドライバーには、適応力と、学ぼうとする意欲が求められます。ドライバーにとっては、日産のためだけではなく、自動車産業にとっても極めて重要なプロジェクトに関わるという、貴重な機会でもあるのです」