ハリウッド俳優ブラッド・ピットが6月25日、主演映画『F1/エフワン』の公開を記念して東京・丸の内ピカデリーで行われた舞台挨拶に登壇。日本のファンの大歓声に包まれながら、F1マシンでの本格的な撮影体験や、映画に込めた思い、そして「唯一の後悔」について語った。約3年ぶりの来日となったブラッド・ピットは、観客からの「映画どうだった?」という声に笑顔で応え、「素晴らしかった。新幹線より速く走れたんだ」と、劇中のスピード感をユーモアを交えて振り返った。
「新幹線より速く走った」F1マシンで挑んだ未曾有の撮影「この映画に関われて本当にうれしいよ。アイデアは監督のジョセフ・コシンスキーからだった。彼は“リアルな俳優をリアルなF1カーに乗せて、本物のサーキットで撮る”っていう、ちょっと無謀とも言える構想を思いついたんだ。それが実現して、こうして皆さんに見てもらえるなんて、すごく感慨深い」映画『F1/エフワン』は、実際のF1グランプリ開催中に撮影が行われ、ピット本人もF1マクラーレンのMCL60をドライブした。ピットは撮影を通して「僕とダムソン(・イドリス)は2年間で6000マイル(約9600km)を走った。トレーニングと撮影を合わせてね。本当に信じられない経験だった」と明かす。「最初のころはラップごとに数秒ずつタイムが縮んでいって、それが嬉しかった。でも後半になると、0.1秒を削る争いになってた。いつも“もう1周、もう少し”って思ってて、ピットに戻れって言われると、がっかりしてたよ」「鈴鹿を走れなかったのが唯一の後悔」ピットは「唯一の心残りがある」と語り、その内容をこう明かした。「鈴鹿を走る機会がなかったんだ。F1ドライバーの多くが“世界で一番好きなサーキット”って言ってるよね? 信じられない体験ができるって聞いてる。だから、もし誰か鈴鹿を走れる方法を知ってたら、ぜひ教えてくれないかな」「F1と映画づくりはそっくり」チームワークの力を実感映画を通してF1の世界に深く関わったピットは、F1の舞台裏についても熱く語った。「F1ってドライバーだけじゃない。チームには500人近く関わってる。車を設計する人、メンテナンスする人、戦略を練る人、本部のスタッフ……それがひとつになって走るんだ。まさに“チームスポーツ”だよ」「実は映画づくりもまったく同じ。たとえ短いシーンでも、400〜500人が関わってる。みんなで力を合わせて作るという意味では、すごく似てると思った」トム・クルーズの来場に「本当に嬉しかった」舞台挨拶中には、前日にロンドンで本作のUKプレミアを訪れていたトム・クルーズが来日中であることも紹介された。ピットは長年の親交について言及し、こう語った。「トムとは古い友人なんだ。90年代には一緒にカートレースもしてたしね。彼ほど“スケールが大きくて凄いことをやれる人”はいない。今回、僕たちの映画を応援してくれて本当に嬉しかった。ジョー(監督)やジェリー・ブラッカイマーとも関係が深いし、まさに家族みたいな存在だよ」「諦めかけた夢が戻ってくる」物語に込めた想い映画『F1/エフワン』でピットが演じるのは、かつてF1で夢破れた男「ソニー」。彼が再びレースに挑む物語は、世代を問わず多くの観客の心を打つ。「これは“やり残したことに向き合う”という話なんだ。人生には、もう終わったと思っていたことが、また自分のもとに戻ってきて、今度こそちゃんと答えなきゃいけない、って場面があるだろ? そういう意味で、きっと誰でも共感できるストーリーだと思うよ」「運転は圧倒的だった」F1マシンの性能を絶賛2年間のトレーニングを経てF1マシンを乗りこなしたピットは、ドライビングの魅力をこう語る。「文句なしに“運転が一番楽しかった”。F1マシンが180マイル、200マイル(約290〜320km/h)で走る感覚って、もう説明できないくらいすごい。ブレーキングやコーナリングのGもとてつもない。本当に信じられない体験だったよ」そのためには体力づくりも欠かせなかったようで、「特に首の筋肉。ずっと高い負荷がかかるから、ちゃんとトレーニングしておかないと耐えられない。F1ドライバーって、本当にアスリートなんだなと実感したよ」と語った。「日本が大好き。次はもっと地方を旅したい」今回で複数回目の来日となったピットは、日本について「とても特別な国」と表現。「僕の友人たちも日本が大好きなんだ。僕自身、これまで何度も訪れてるけど、次はもっと地方を旅してみたい。もっと日本を知りたいと思ってるよ」ラストは「三本締め」で大ヒットを祈願最後は、日本の伝統文化「三本締め」にも挑戦。観客とともに「チャチャチャン、チャチャチャン、チャチャチャン、チャン!」と大きな拍手を打ち、映画の大ヒットを祈願して舞台挨拶は幕を閉じた。
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