Movistar Yamaha MotoGPのバレンティーノ・ロッシとマーベリック・マーベリック・ビニャーレスがグリッドにマシンを並べると、セパン・インターナショナル・サーキットの上空には雨雲が広がった。ウォームアップ・セッションがドライ・コンディションで行われていたため、いきなりの天候変化によってタイヤ・チョイスがいつも以上に重要な要素となった。ふたりはそのなかでも、滑りやすい路面に足を取られないよう注意しながら最後までハードにプッシュ。それぞれ7位と9位でチェッカーを受け、貴重なポイントを持ち帰った。
バレンティーノ・ロッシは予選4番手の位置から順調に飛び出したものの、難しいコンディションのなかで第1コーナー進入では慎重なブレーキング。そのためここで大きくポジションを落とし、11番手からの追い上げを強いられることとなった。それでも豊富な経験を生かして挽回を図り、着実にペースアップ。転倒もあって順位を上げていった。6ラップ目で8番手につけたバレンティーノ・ロッシは、ひとつでも上を目指そうと7番手との差を詰めにかかるも、3ラップ後には後方から追い上げたD・ペトルッチ(ドゥカティ)に抜かれてしまう。しかしそれであきらめず、ペトルッチとともに7番手のP・エスパルガロ(KTM)に挑んでゆく。路面が乾き始めてタイヤの消耗が激しくなると、これがライバルたちに不利にはたらき、残り8ラップでエスパルガロをパスして8番手。バレンティーノ・ロッシはここから自己ベストを何度も更新して、さら上位を狙ってゆき、1ラップ後にはSレッディング(ドゥカティ)をパスして7番手へと浮上し、そのままゴール。マーベリック・ビニャーレスはグリッド5番手から好スタート。しかしウォームアップからのコンディションの変化を考慮し、リスクを避けて慎重に1ラップ目を終えた。しかもそのあとの3ラップでタイヤが暖まるのを待つ間に16番手まで後退して苦しい展開となったが、リズムを取り戻すや少しずつペースを上げていった。ウエット・コンディションに足を取られて数台が早々に戦列を離れるなかで、マーベリック・ビニャーレスはひたすら身体を伏せて全力の走りをキープ。レース中盤までに13番手へ上がると、ラップタイムを 2分15秒台へと短縮してさらに上を目指してゆく。そして残り2ラップまでに9番手へ浮上しチェッカーを受けた。9ポイントを獲得したバレンティーノ・ロッシはトータル197ポイントでランキング4位をキープ。マーベリック・ビニャーレスは29ポイント上回る226ポイントでランキング3位につけている。ヤマハはコンストラクターズ・ランキング3位に後退。またMovistar Yamaha MotoGPチームは、トップに44ポイント差のランキング2位をキープしている。Monster Yamaha Tech3 Teamのヨハン・ザルコが3位を獲得し、グランプリのルーキー・シーズンに2度目の表彰台に上った。雨が降りしきるなかグリッド2番手から好スタートを切ったヨハン・ザルコは、8ラップ目までレースをリード。その後3番手に後退し、ヤマハ勢トップの3位でチェッカーを受けた。一方、ジョーナス・フォルガーの代役に抜擢されてグランプリ・デビューを果たしたマイケル・ファン・デル・マークは、悪天候に苦しみながらも最後まで懸命にプッシュ。グリッド8列目からスタート後、すぐさまリズムをつかむと安定したペースでライディングを続け、何人かのMotoGPライダーを抑えて16位で完走を果たした。3週連続で行われたアジア・オセアニアラウンドが終了し、1週間のインターバルのあと、チームは最終戦の舞台となるバレンシア・サーキットへと向かう。Movistar Yamaha MotoGPバレンティーノ・ロッシ (7位)「ドライ・コンディションだったら、もっと良いレースができたはずですが、今日はこのような天気になりアンラッキーでした。フィリップアイランドで表彰台に立ち、非常にポジティブな気持ちでここにやって来ていただけに残念な気持ちでいっぱいです。コンディションのせいだけではなくて、マシンの状態もあまり良くありませんでした。たくさんの問題にぶつかり、全体の4分の3ほどは苦しい戦いが続きました。こうした現状をしっかり理解し、改善を目指していかなければなりません。次のバレンシアは非常に重要なレースであると同時に、とても難しいコースでもあります。上位争いを目指してチャレンジしていきます」マーベリック・マーベリック・ビニャーレス (9位)「前回のフィリップアイランドではウエット・コンディションの走りが格段に進歩。実際、フリープラクティス第2セッションではフィーリングがとても良く、リズムも上々で、ラップタイムでも3番手を獲得することができました。ところが決勝ではフィーリングがまったく変わってしまったのです。コーナーでリアの感触がつかめず、マシンを傾けることができませんでした。そのためリズムも良くないし、なかなか自信をつかめないまま我慢のレースが続きました。このように悔しい結果になってしまいましたが、いつまでも今日のことを引きずらず、フィリップアイランドで感じた良い印象を大切にしたいと思っています。今回も、好調なセッションもありましたし、今朝のウォームアップでは良いセッティングが見つかり手ごたえを感じさせてくれました。次のバレンシアは大好きなコースなので、シーズン最終戦を良い形で締めくくれるようベストを尽くします」マッシモ・メレガリ (チームディレクター)「天候がレースの行方を左右するだろうということは、スタート時点からわかっていました。金曜日のフリープラクティス第2セッションでもウエットを経験していて、そのときは、とくにマーベリックが非常に好調でした。ところが今日は、状況がすっかり変わってしまったのです。リアタイヤがなかなか暖まらなかったため、ふたりはレースの半分くらいまでペースを上げることができませんでした。そしてこれが、最終的なポジションに大きく影響してしまったのです。タイヤのフィーリングが良くなってくると、それにつれてラップタイムも上がってきましたが、そのときはもう遅すぎました。マシン・セッティングは金曜日とほとんど変わっていないので、今日のコース・コンディションがどのように違っていたのか、しっかり分析・検討しなければならないでしょう。でも必要以上に思い悩まず、1週間よく休養してから気持ちを切り替え、次のバレンシアに集中していきたいと思っています。コンストラクターズ・タイトルのチャンスを逃し、チーム・タイトルも難しい状況になっています。それでも最後まであきらめず、チーム全員で復活を目指します」Monster Yamaha Tech3 Teamヨハン・ザルコ (3位)「最高のレースができました。表...
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