Movistar Yamaha MotoGPのマーベリック・ビニャーレスが、2017シーズン開幕戦のカタールGPで優勝して見事なヤマハ・デビュー。チームメイトのバレンティーノ・ロッシも3位を獲得し、そろって表彰台に上った。昨日は路面にたまった雨の影響ですべてのセッションがキャンセルされ、プラクティスやセッティングのための時間が大幅に短縮。さらに今日も、天候悪化のためスタートが2回も中断されたことから、ウォームアップ・ラップを2周行い路面の感触をつかんだあと、予定より45分遅れて決勝レースが始まった。
MotoGP初のポールポジションを獲得していたビニャーレスだが、そのアドバンテージを十分に生かすことはできなかった。素早く飛び出して2番手で第1コーナーに進入したものの、混乱のなかで5番手まで後退。そのあと少しずつペースを上げてゆきながらコンディションのフィーリングをつかみ始め、さらにはチームメイトの息づかいまで感じられるようになっていた。そして6ラップ目、いよいよ勝負のときを実感したビニャーレス。トップを走行していたヨハン・ザルコが転倒したあと、前を行くアンドレア・イアンノーネ(スズキ)との差を詰め、背後に迫ってプレッシャーをかけると、11周目にイアンノーネがビニャーレスの目の前で転倒。これを巧みに避け、そのまま勢いに乗ってマルク・マルケス(ホンダ)をパスし、さらにトップのアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)を追って行った。身体を伏せ、果敢な走りで1.2秒の差を一気に詰めると、14周目にはトップに浮上。ロングストレート・エンドではドビツィオーゾが抜き返すが、ビニャーレスはヤマハYZR-M1の特性である敏捷性をフルに引き出して対抗した。残り5ラップは、ふたりの激しい競り合いとなったが、最終ラップではビニャーレスが自己ベストの1分56秒157を記録してトップでチェッカー。ドビツィオーゾとの差は0.461秒だった。最高峰クラスにおいて、異なるメーカーのマシンで優勝したライダーとしては、マイク・ヘイルウッドに次いで2番目の若さ。一方、チームメイトのロッシは予選10番手、グリッド4列目からのスタートを強いられたが、シグナル消灯とともに飛び出し、第1コーナーでの接触もものともせずに7番手へ浮上した。2ラップ目には全車中、最速ラップを記録してダニ・ペドロサ(ホンダ)を追跡。トップグループがリードを広げ始めたと見るや、4周目にはペドロサをパスしてビニャーレスの後ろにつけた。その後、ザルコとイアンノーネが転倒したため、ふたつポジションアップ。難しいコンディションのなかで、ロッシは第1コーナー進入で大きくはらんだものの、すぐに修正してビニャーレスとともにマルケスをパス。これでふたりそろって表彰台圏内まで上がってきた。ロッシはビニャーレスとドビツィオーゾのトップ争いを見ながらチャンスを窺う。そして残り4ラップでは自己ベストを1分56秒398へ更新して勝負をかけようとするが、タイヤの消耗が激しく、ふたりに襲いかかることができないまま3位でゴール。トップとの差は1.928秒だった。ビニャーレスは25ポイントを獲得してランキングトップ。ロッシは16ポイントでランキング3位につけた。またチーム・ランキングでは合計41ポイントでトップ。コンストラクター・ランキングでもヤマハが25ポイントでリードしている。Monster Yamaha Tech3 Teamは、シーズン開幕戦のカタールGPで見ごたえあるショーを披露。難しいコンディションのもとで、MotoGPルーキーのヨハン・ザルコがレースをリードして注目を集めた。全車がグリッドについたところで雨が降り出したため一旦、中断。スタートを遅らせ、20ラップに減算して決勝が行われた。ザルコは序盤からトップに立つと、果敢に攻め続けてそのまま6ラップにわたってポジションをキープ。しかし第2コーナーで転倒してリタイアとなった。一方、チームメイトのジョナス・フォルガーは、オープニングラップで18番手まで後退したものの、懸命の挽回で10位へ浮上してチェッカーを受けた。第2戦は2週間後、アルゼンチンで開催される。Movistar Yamaha MotoGPマーベリック・ビニャーレス (優勝)「フィーリングは最高。それを結果に表すことができました! ウイークを通じて、とてもいい仕事ができましたし、テストも順調でした。そしてフリープラクティス第1セッションですでに、十分に好感触をつかんでいたんです。でも決勝は楽ではありませんでした。またしても雨が降り出し、どうすればいいかわからなくて少し混乱。序盤は路面が滑り易くて厳しい状態だったので、無理をせず、冷静にいきたいと考えていました。ペースはとても良かったので、終盤になってからプッシュを開始。前のほうでたくさんの転倒があったので、十分に待ってから攻めたのが良かったのだと思います。トップでゴールラインを通過したときの気分は、ことばでは表現しきれないほど。ヤマハで初めての優勝は、最初のMotoGPウインよりも重たいんです。なぜなら、僕にとってはプレッシャーがより一層、大きかったので。冬季テストでリードし、"やれる!"と思って、こうして実際に結果を残しました。チームの仕事もとても素晴らしかったので、彼らに助けられて、僕はプレッシャーに打ち勝つことができたんです。電子制御システムも順調で、タイヤも最終ラップまでしっかり働いてくれました。実際のところ、第3セクションが勝負所だったと思います。アンドレア(ドビツィオーゾ)はソフト・タイヤの恩恵を受けて常に加速で優っていたし、タイヤの消耗も激しくなかったので、とても手強かったんです。でも第3セクションは僕がウイーク中ずっと好調をキープしていて、最終ラップも最高の走りができました。それが、優勝するための最小限の差につながりました。本当に素晴らしい、本当にハッピーです。次のアルゼンチンでは完璧なスタートを目指したいですね。今日もスタート自体はうまくいきましたが、ちょっとだけラインを外したらザルコと接触。それでマシンを一旦、起こさなければならなくなり、マルケスとドビツィオーゾに抜かれてしまったんです。このような混乱のなかでも集中力をキープできてよかったです。これからもこの姿勢を維持していかなければなりません」バレンティーノ・ロッシ (3位)「成功の秘密は僕のチーム、そしてヤマハです。僕らは全員が目標に向かって集中し、決してあきらめませんでした。まわりの人たちからのサポートと信頼を、僕はいつも感じています。自分たちのポテンシャルはよくわかっているし、マシンにもチームにも恵まれています。それでも今日は、5位に入れれば十分と言っていました。それどころか表彰台に上ることができたん...
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