マルケス悔しい2位も、チャンピオンシップで大きなリードを築くMotoGP 第12戦イギリスGPは、4戦連続8回目のポールポジション(PP)から決勝に挑んだマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が今季7勝目に挑んだが、最終ラップの攻防でアレックス・リンス(スズキ)に惜敗し、今季7勝目と5年ぶりのイギリスGP制覇を逃した。
20周で行われた決勝レース。オープニングラップから首位に立ったマルケスはレースのほとんどをリードしたが、最終ラップの最終コーナーでリンスの先行を許した。その差、0.013秒。最終コーナーでフロントがスライド。転倒を避けるためにアクセルを戻さなければならず、悔しい2位となった。前戦オーストリアGPも最終ラップの攻防で惜敗し、わずかの差で2位。2戦連続の2位に終わったことで、さすがに悔しさをにじませた。しかし、チャンピオンシップでは、総合2位につけるアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)がスタート直後のアクシデントで転倒リタイアとなったことで、58点差を78点差とした。これでマルケスは、12戦を終えて、6勝を含む11回の表彰台を獲得。安定した速さと強さを存分に発揮し、4年連続6回目のタイトル獲得に向けて大きく前進した。ホームGPに闘志を燃やしたカル・クラッチロー(LCR Honda CASTROL)は、予選9番手からオープニングラップに6番手につけると、フランコ・モルビデリ(ヤマハ)、ジャック・ミラー(ドゥカティ)らとバトルを繰り広げた。終盤は7番手へとポジションを落としたが、地元ファンの声援を受けて最後は6位でフィニッシュした。予選ではPPを目指したが転倒を喫し、決勝ではタイヤのパフォーマンスをうまく引き出せず苦戦。シルバーストンで3年ぶりの表彰台獲得は果たせなかったが、最後まで熱い走りを見せて地元ファンを喜ばせた。4戦ぶりに復帰のホルヘ・ロレンソ(Repsol Honda Team)は、ハフィス・シャーリン(KTM)と13位争いを繰り広げて14位でフィニッシュ。復帰戦で2ポイントを獲得した。今大会は体調が十分ではなかったが、2分02秒台から03秒台のペースで着実にフィーリングを取り戻すことに成功し、貴重な2ポイントを獲得した。予選10番手から決勝に挑んだ中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)は、序盤、7台に膨れあがった8位争いの集団をリードしたが、7周目の16コーナーでスリップダウン、再スタートを切ったが17位でチェッカーを受けノーポイントに終わった。マルク・マルケス(MotoGP 2位)「チャンピオンシップを考えたらうれしいリザルトですが、レースのほとんどをリードしながら、最後の最後に負けてしまったので、あまり喜べませんでした。シルバーストンは、ずっとトップを走行することが難しいサーキットです。1周ゆっくり走ってリンスを前に出し、様子を見ましたが、彼も前を走りたがりませんでした。そのうちビニャーレスがうしろにいることが分かったので、プッシュすることにしました。目標はレースに勝つことではなく、チャンピオンシップでした。もしヤマハ勢が追いついてきていたら、結果はもっと悪かったと思います。最終ラップの最終コーナーは、フロントが流れそうになったのでアクセルを戻したら、リンスが前に出てしまいました。勝てなかったのは残念ですが、チャンピオンシップで総合2位との差が78ポイントになったことはうれしいです。でもドヴィツィオーゾが大きな転倒をしたので、ケガがないことを願っています。避けられない転倒だったしとても残念でした」カル・クラッチロー(MotoGP 6位)「スタートではベストを尽くしプッシュしましたが、タイヤの状態が十分ではありませんでした。グリップが足りないことがすぐに分かり、ほかのライダーとバトルすることは不可能でした。ムジェロのレースとよく似ていました。トップから19秒も遅れてフィニッシュしたことは、僕もチームも受け入れがたいことです。私たちはベストを尽くしました。昨日まではいいペースもありました。今日のレース終盤より1.5秒速いペースで走行できていました。タイヤによって、うまくいったり、いかなかったりすることが不思議です。今日はグリップがよかったとしても優勝は難しかったと思いますが、もっといい結果は残せたと思います」ホルヘ・ロレンソ(MotoGP 14位)「今日は思ったよりうまく行きました。今大会は難しいレースになることがわかっていたし、トップとの差が1分以上になると思っていました。なぜなら、ウイークを通して、トップタイムから3秒遅れていたからです。そういう状態でしたが、1分以内の差でフィニッシュし、2ポイント獲得できたことはよかったです。タイヤをセーブすることについてたくさんのことを学ぶことができました。自分の体力を試すこともできたので満足しています。今は痛みがありますが、ミサノのテストに向けてもっとよくなると思います。そしてミサノのレースに向けてもっと体力を付けなければなりません」中上貴晶(MotoGP 17位)「スタートはよくて、序盤は想定内のペースでした。もっと早めに2分00秒台に入れたかったのですが、ポル(エスパルガロ)とバトルになり、2分00秒台に入れるのが1、2周遅れてしまいました。その後、ポルを抜いて00秒台に入れたのですが、その次周、16コーナーでスロットルを開けた途端、フロントが切れ込んでしまいました。転倒を回避しようと最後まで粘ったのですが、リアがスピンしてこらえられませんでした。ウイークを通して、フロントが切れ込む症状はなかったので、どうしてそうなったのかはわかりません。タイヤの選択は間違っていなかったと思うし、ちょっとプッシュしすぎたのかも知れません。今日は、ペース的には7位、8位でゴールできたと思うし、こういう結果に終わり本当に残念です。しかし、次のサンマリノGPに向けて今週はミサノでテストがあります。2日間しっかり走って、次のサンマリノGPに向けて準備をしたいです。がんばってくれたチーム、スタッフには本当に申し訳ない気持ちです」