マルケスが今季5勝目、HondaはドイツGP10連覇を達成。クラッチローが3位で今季2回目の表彰台を獲得シーズン前半戦を締めくくる第9戦ドイツGPは、フリー走行、予選とトップタイムをマーク、ライバルを圧倒したマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が、決勝でも好スタートからホールショットを奪い、30周のレースで真っ先にチェッカーを受けた。
今大会はタイヤ選択が勝敗のカギを握るだろうと言われていたが、フリー走行、予選でタイヤテストを行ったマルケスは、フロントにハード、リアにミディアムを選択すると、レース中盤までは1分21秒台のハイペースで後続を引き離し、後半は1分22秒台とややペースを緩めるも約7秒の大量リードを築く悠々の独走優勝となった。これでマルケスは、ドイツGPでは、最高峰クラスで7年連続でポールトゥウインを達成。2010年の125ccクラス、11年と12年のMoto2クラスを含め、10年連続でポールトゥウインという偉業を達成した。この優勝でマルケスは、総合2位で今大会5位のアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)との差を58ポイントとし、総合3位で今大会4位のダニーロ・ペトルッチ(ドゥカティ)との差を64ポイント、今大会も転倒リタイアに終わった総合4位のアレックス・リンス(スズキ)に84ポイントの大量リードを築いた。また、この優勝でHondaは、ドイツGPでの最高峰クラス10連勝。コンストラクターズポイントで2位のドゥカティに対し34ポイント、3位のヤマハに38ポイントのリードを築いた。今大会の2位はマーベリック・ビニャーレス(ヤマハ)で、そのビニャーレスを厳しく追撃したカル・クラッチロー(LCR Honda CASTROL)が3位でフィニッシュ。開幕戦カタールGP以来、今季2回目の表彰台を獲得。ドイツGPでは16年以来の表彰台となった。今大会、クラッチローは開幕前のトレーニング中に右ヒザを痛め、ヒザに血がたまるなど完ぺきな状態ではなかった。しかし、得意のコースで熱走をみせ、ファンを喜ばせました。これで総合10位から9位へとポジションを上げた。前戦オランダGPのフリー走行で転倒し、背中を痛めて欠場したホルヘ・ロレンソ(Repsol Honda Team)の代役として出場したステファン・ブラドルが、予選14番手からスタートして10位でフィニッシュした。今季2回目の出場となったブラドルだが、今大会は、Repsol Honda Teamからの参戦で、これからのマシン開発に向けて収穫ある大会となった。また、地元ファンの期待にも応えるすばらしいレースだった。前戦オランダ大会でほかのライダーの転倒に巻き込まれ、左足首を負傷して今大会に挑んだ中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)は、予選10番手から序盤16番手までポジションを落とすが、それから着実に順位を上げて13番手へ。後半はタイヤの消耗に苦しんでポジションを落とすものの、粘り強い走りで14位でフィニッシュした。マルク・マルケス(MotoGP 優勝)「完ぺきな戦略でしたが、スタートは完ぺきではありませんでした。そのため1コーナーで少し深く入ってしまいました。今大会のプランは、フロントタイヤをしっかり温めるために2周をゆっくり走り、そのあとプッシュして少しずつ差を広げるというもので、計画通りに進みました。後方とのギャップが3秒に広がってからは、タイヤをセーブしてライディングを楽しみました。優勝して夏休みに入ることができるのはすばらしい気分です。今日優勝した弟(アレックス)にもおめでとうと言いたいです。一緒に優勝できるのは本当にうれしいです。今回のレース、そしてシーズン前半がんばってくれたRepsol Honda Teamに感謝したいです」カル・クラッチロー(MotoGP 3位)「HJCグランプリで表彰台に上がることができて、とてもうれしいです。チームはすばらしい仕事をしてくれました。レースウイークを通してレースペースに取り組みました。昨日は28周くらい走行して、1分22秒7を出しました。今日の28周目のタイムと全く同じです。そのときはみんな僕のペースに驚いていましたが、僕はそれがレースでのペースだと思っていました。路面コンディションはあまりよくありませんでした。レース中盤はマーベリック(・ビニャーレス)より少しペースがよかったのですが、リンスが転倒したあとは、表彰台に上がれると思いました。後方とは9秒の差があり、毎周差は広がっていたからです。残り5周でアタックしようとしましたが、風が強く目に涙がたまったので、瞬きして流そうとしているうちに、ビニャーレスとのギャップが広がってしまいました。再び差を縮めましたが、残り2周の10コーナーで大きなミスをしてリアが流れてしまい、3位でフィニッシュすることにしました。今日は表彰台に上がることができてとてもうれしいです。チームとHondaの多大な努力が報われました」ステファン・ブラドル(MotoGP 10位)「レースウイークを通して楽しく走り、仕事をすることができました。ホームレースで、Repsol Hondaカラーで走れるライダーはそんなに多くいません。特別な週末になりました。すべての瞬間を楽しむことができました。温かく迎えてくれたチームに本当に感謝しています。とてもいい仕事ができました。レースへのアプローチもよかったです。序盤でもう少しアグレッシブに走れていたら、前の集団についていけたかもしれません。それでも目標だったトップ10でフィニッシュできました。安定した走行ができました。自分自身、チーム、そしてHRCが課した目標を達成できてよかったです」中上貴晶(MotoGP 14位)「金曜日はそれほではありませんでしたが、昨日、今日と痛みとの戦いになりました。今日もウォームアップ前と決勝前に痛み止めを打ちましたが、本来の自分の走りができず、厳しく苦しいレースになりました。加えて、終盤の8周は、左側のリアタイヤの消耗が激しく、それまでより1秒から2秒、ペースを落とさなくてはいけませんでした。そういう状態で14位で完走してポイントを獲得できたのはよかったです。予選は一周だけがんばって10番グリッドを獲得しましたが、決勝はそうはいきません。なるべく体力を温存してレースを走りきろうと決めていました。身体の動き、メリハリをおさえて走ることに決めて、リアにソフトを選びました。なんとか最後まで持たせられるだろうと思っていましたが、タイヤを使いきってしまったのは残念でした。それがなければ、ブラドル選手とは戦えたのではないかと思います。これから夏休みに入るので、日本に帰って、MRIなどでしっかり検査と治療をして後半戦...