2019年の開幕戦カタールGPのフリー走行は、青空が広がる絶好のコンディションとなった。日中に行われたFP1(15時40分~16時25分)は、日射しが強く、気温も26℃まで上昇、厳しいコンディションとなったが、ナイトセッションとなったFP2(20時~20時45分)は、21℃まで気温は下がり、その結果、路面コンディションはよくなり、ラップタイムも大幅に向上した。
その中で4年連続タイトル獲得に向けて新しいシーズンのスタートを切ったマルク・マルケス(Repsol Honda Team)は、FP1では1セットのタイヤで40分間のセッションを走って3番手だったが、FP2では1.784秒タイムを短縮。ロサイル・インターナショナル・サーキットのベストタイム(1分53秒680)を0.3秒短縮する快走でトップに浮上した。2番手に0.474秒の大量リードを築いたマルケス。連続周回でも1分54秒台を連発し、14年以来のポールポジション(PP)と優勝に向けて大きく前進した。Repsol Honda Teamに移籍し、新たなチャレンジのシーズンとなるホルヘ・ロレンソは、初日11番手とまずまずのスタートを切った。FP1ではHonda勢トップの2番手、FP2でも2番手から14番手まで1秒差という厳しい戦いの中で11番手。オフにケガをした左手の状態はまだ完ぺきではないが、RC213Vのパフォーマンスを着実に引き出す走りは、予選、決勝に向けて大きな期待を抱かせた。ウインターテストで常にトップ10入りしていた中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)は、目標としてきたトップ10に0.042秒差の12番手に終わり、悔しい一日となった。FP2では、事前テストでマークした自己ベストタイム(1分54秒789)を0.345秒更新したが、セッション終盤に装着したリアのソフトタイヤがうまく機能せず、わずかの差でトップ10を逃した。土曜日のFP3、そしてQ1でQ2進出を目指す。カル・クラッチロー(LCR Honda CASTROL)は、ロレンソ、中上に続き13番手。FP1はセットアップが進まず1分55秒869で17番手だったが、FP2ではセットアップを進め、1.068秒のタイム短縮に成功し13番手へとポジションを上げた。この日はソフトタイヤを装着してのアタックでミスをしたため、さらなる上位進出を逃したが、土曜日のFP3と予選では、その雪辱に挑む。マルク・マルケス(MotoGP 1番手)「今日はとてもポジティブでした。ダイレクトにQ2へ進めるよう集中しました。ラップタイムはよかったのですが、大事なのはいいリズムで走ることでした。もう少しリズムの改善に取り組む必要があります。どうすればいいのかという方向性も見つかっています。しかし、全体的には、今日の結果はとてもうれしいです。このサーキットでは、いつも苦戦してきましたが、今日はいい感触で走ることができました。まだフリー走行なので引き続き、最も重要な日曜日に向けてセットアップに取り組みます」ホルヘ・ロレンソ(MotoGP 11番手)「今日はとてもうれしい一日でした。自信もつきました。マシンも快適です。ポテンシャルの高さを感じました。いい仕事ができています。そしていい結果を出せると信じています。とてもいいスタートが切れたと思います。FP1はとても速かったのですが、気温が下がったときのマシンの挙動をもっと理解する必要があります。正しいセッティングが見つかれば、まだまだ強くなれると思います」中上貴晶(MotoGP 12番手)「ウインターテストからキープしてきたトップ10を逃し、とても残念です。FP1は10番手、FP2も常にトップ10内で走行していましたが、ソフトタイヤを装着してからのアタックでは、わずかの差でトップ10に届きませんでした。ミディアムタイヤではかなりいいペースで走れていました。しかし、セッション終盤になると、みんなソフトタイヤでアタックを開始し、まるで予選のようになりました。日中に行われる明日のFP3でタイムを更新するのが難しいため、結果的にFP2はとても大事なセッションとなりました。自己ベストを更新できたことはうれしいのですが、アタックした周回ではスライドが激しく、完ぺきなものにはなりませんでした。天候やコンディションがどう変わるかは分かりませんが、明日の予選ではQ2に進めるように全力を尽くします」カル・クラッチロー(MotoGP 13番手)「今日は少し残念な結果に終わりました。FP1は苦戦しましたが、FP2では大きくタイムを更新することができました。しかし、Q1からの予選になってしまうと思います。日中に行われる明日のFP3は、気温が高く、タイムの更新がとても難しいからです。みんなが必死にプッシュしていたのはそのためでした。今日は2本のソフトタイヤを使いました。最初のアタックは大きなミスをしてタイムにはつながりませんでした。しかし、タイヤのパフォーマンスはとても満足のいくものでした。それだけに自分のミスに腹が立ちました。しかし、ケガをした3ヵ月前には、こうして開幕戦に出場していることは考えられなかったし、ポジティブに受け止めたいと思います。まだ、チャンスが残っているので、Q2に進出できるようにがんばります」